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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 悪徳商人の町編

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それで又ややこしくなるし……、あんのクソ珍の
野郎をこのまま野放しにしておくのも何かむかつくしな……、
どうしたもんだか……」
 
アイシャはスラリンを抱いたまま、ただ黙って
俯いている。元気の無い、今にも泣きそうなアイシャの
様子を見ながらジャミルも考える。何とか元気を出して
欲しいのだが……。一体どうしたら元気になってくれるのか……。
 
「そうだなあ、どうするか……」
 
とりあえず今は考えても何も出来ないので今日は体を
休めようと言う事で一致する。ジャミル達はホテルの
最上階にあるプールで寛ぐ事にした。
 
「……おねえちゃん、げんきない?だいじょうぶ?」
 
スラリンがアイシャの顔を心配そうに見つめている。
 
「……」
 
「……そんなに気ィ揉むなよ……、アイシャ、ほら、
一緒に泳ごうぜ……、考えたってしょうがねえだろ」
 
プールを一回り泳いで来てジャミルが言うが。
 
「うん……、でもね……」
 
黙っていたアイシャが少し微笑みやっと顔を上げる。
が、すぐに何かを考えてしまうのか、直ぐに又表情に
元気がなくなる。
 
アルベルトはプールの淵に腰掛けていつも通り
読書する。ダウドは椅子に座ってぷーかぷーか鼻提灯、
居眠りをこいていた。
 
「……そんなに本ばっか読んでて楽しいか?運動不足になるぜ、
こんなとこまで来てさあ、見てて苛苛すんだよ……」
 
「本読んでる方が好きなんだ……、どうぞお構いなく」
 
「あーそーですかっ!フンっ!」
 
ジャミルは怒ってアルベルトにバーカと暴言を足れる。
別にアルベルトは気にもしておらず、本に集中している。
……今日は異様に相手にされない為、増々面白くないジャミル。
 
「アル……、私、スラリンと先に部屋に戻って休んでるね……」
 
「あ、うん……」
 
「ジャミルも有難う、私の分まで楽しんで来てね、
いこ、スラリン、お部屋で休みましょ……、スラリンも
お昼寝しなくちゃね」
 
「ピキー!ボク、もうねむーい!」
 
アイシャは部屋に戻って行き、アルベルトは再び読書に
没頭する。
 
「アイ……」
 
「今は少しそっとしておいてあげなよ……」
 
暫く静かにしておいてあげようとアルベルトが
ジャミルを諭す。ジャミルは水に浮かんで仰向けに
なったまま不貞腐れる……。
 
「あー!おもしろくねー!どいつもこいつも……、
しけたツラしやがって……、……ん?そーだ!!」
 
ジャミルの頭にピコーンと豆電球が付く。ジャミルは
一旦プールから上がるとダウドの所まで走って行く。
……アルベルトは気づいていない。
 
「おい、ダウド、起きろよ……」
 
ジャミルが寝ているダウドを揺さぶって突っつく。
 
「んあー?」
 
「んあー?じゃねえよ……、涎なんか垂らしてんじゃねえよ……」
 
「んああー???」
 
「……ちょっと耳かせ……」
 
「ん、わかったよお」
 
ジャミルは何事も無かった様に再びプールに入った。
 
「よ、アル!」
 
「何だい……、いきなり……」
 
アルベルトの背後にダウドがそっと近寄って行った。
アルベルトはまだ気づいていない……。
 
「元気か?」
 
「今更……、何……」
 
「いーち、にーい……」
 
「いや、元気ならいいんだけど」
 
「はあ?」
 
「あはははは!」
 
「……ジャミル……、何か企んで……」
 
「さーんっ!!」
 
「……うわああっ!!」
 
ダウドが思いっ切りアルベルトの背中を押す。
……アルベルトは頭からプールに突っ込み転落する。
その姿はコント番組で出汁にされるゲストさん芸人の様で
実に間抜けであった。
 
「……ぷはぁっ!な、何……!?」
 
「アハハハハハ!やーい、バーカ!引っかかってやんのーっ!」
 
「……くくく」
 
後ろでダウドが声を絞って笑いを堪えている。
 
「……ジャーミールーう!!」
 
体中から水を滴らせ、頭がワカメ状態のアルベルトを
ジャミルがゲラゲラ笑う。
 
「うわっ!!」
 
アルベルトの逆襲。今度は逆にアルベルトがジャミルの頭を
押さえて水の中に沈める。
 
「やっ、やめろ……むっ……ぐごぼぼぼぼ!がぼぼぼぼぼ!
……プハ~ッ!!畜生……、やりやがったな、こんにゃろ!!」
 
ジャミルが慌てて水から顔を出した。
 
「さっきの仕返しだ!」
 
「プ……、ぎゃははははっ!し、死ぬーっ!!」
 
後ろで笑いを堪えていたダウドが等々我慢出来ず、
狂った様に笑い出した。
 
「な、なんだよ……、いきなり……」
 
「だってジャミル……、鼻から水が~っ!きゃーっはっはっは!」
 
「プ……、く、くくくくく……」
 
ジャミルの顔を見てアルベルトもつられて笑い出した。
 
「……つまんねーことで笑うなーっ!!」
 
「だ、だって……、水がアメリカンクラッカーみたいに……、
ぷぷぷぷぷぷ!」
 
「お前もおちろーっ!!」
 
プールから上がってジャミルがダウドを突き飛ばした。
 
「いやーっ!オイラそんなに泳げないのーっ!きゃーっ!」
 
アルベルトに続き、ダウドも二人目の被害者となり、
間抜けにプールに突っ込み転落した。
 
「ご苦労様です……」
 
「つめたひ……、きゅ~……、はっくしょん!!」
 
アホのお蔭で陰険だったムードが少しは明るくなったが。
ジャミルはアイシャに少しでも気分を変えて欲しかったんである。
しかし、彼女は自分が付けた街の名称が何の意味も果たしていない
事実に深く傷ついてしまっていたのだった。


その頃アイシャは部屋に戻って窓の外をぼーっと眺めていた。
 
「……」
 
「おねえちゃん、みんなといっしょにあそばないの?」
 
スラリンがアイシャの顔を心配そうに見つめる。
 
「うん、少し疲れちゃったの……、でも、大丈夫よ……」
 
「ボク、げんきなおねえちゃんがすき、おねえちゃんが
かなしいとボクもかなしいよう、だからげんきだしてね?」
 
「うん……、有難う、スラリン……」
 
アイシャがスラリンをぎゅっと抱きしめる。
 
 
このガキ~っ!!
 
 
「!な、何!?」
 
突如聞こえた罵声に窓の外を見ると親子連れが警備兵と
揉めているのが目に入った。
 
「やめて下さい!どうかお願いします!!」
 
母親の方が警備兵に土下座し必死で頭を下げている。
 
「この糞ガキめ!よくも俺様にぶつかってきたな!」
 
「俺達はなあ……、珍様に認められたエリート中の
エリートだぞ!俺達を馬鹿にすると言う事は珍様に
逆らうのと同じだ!!」
 
「……スラリン、ちょっと此処で待っててくれる?」
 
「おねえちゃん!あのひとたちのところにいくの!?
あぶないよー!!」
 
「……だって、このままほおっておけないの!!」
 
アイシャが外へ走り出して行ってしまう……。スラリンには
止める事は到底無理でこのまま見ているしか出来なかった……。
 
「……おねえちゃあ~ん……」
 
「ふーっ!気持ち良かったあー!」
 
……其処へ、丁度事態を知らないジャミル達が
ホテルを飛び出して行ってしまったアイシャと
入れ替わりでプールから帰って来た。
 
「ピキキキキーッ!」