二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 悪徳商人の町編

INDEX|7ページ/7ページ|

前のページ
 

首を振った。
 
「わし、珍の補佐、……でも何も言う事出来ない、
本当、情けない……」

「……爺さん、ごめんな、俺達も力不足でさ……」
 
「いや、こちらこそ、とんでもない事たのんだ、
でも、ジャミルさん達には本当に感謝、嫌な役目、
引き受けてくれた、心からありがとう」
 
「いや……、礼なんかいいんだけどさあ……」
 
「うん……」
 
ジャミルがアイシャの顔を見るとアイシャも
返事を返した。
 
「……やはり珍自身、自分のしたわるいこと、
きづく、これしかない……」
 
爺さんが力なく肩を落とした。……ジャミル達も
そうだが、爺さんも疲労で相当疲れている様だった。
ジャミル達はまだ若い分、いいのだが爺さんは歳の為か、
余計に疲れてやつれてしまっている様に見えた。
 
「でもどうして、こんなことなったか……、
わし、分らない……」
 
「……爺さん、俺達、明日には此処を出ていくよ……」
 
「出て行けって言われちゃったから、珍さんに……」
 
「重ね重ね嫌な思い、申し訳ない、……でも、わし、
どうすることもできない……」
 
爺さんはそう言ってよろよろしながら何処かへ
再び歩き出した。
 
「お爺さん……」
 
消えていく淋しそうな爺さんの背中を二人はただじっと
見つめるしかなかった……。
 
「アイシャ、俺達もホテルに戻ろう……、けど、
漸く明日には此処を出られるんだ……」
 
アイシャの小さな肩をジャミルがそっと抱き寄せた。
 
「……うん……、そうだね……」

「ラッシャー!ラッシャー!」

「……」

肩を落とす2人の目の前を……、変な親父が走って
横切って行った……。そしてホテルに戻ったジャミル達は
一部始終をアルベルト達に話した。話を聞いた二人は……。
 
「そう……、そんな事が……、でも、仕方が
ないのかもね……」
 
「全く!どうりでいつまで立っても戻って
来なかった訳だ!」
 
「な、何だよ、ダウド……、おま、やけに今日
機嫌悪いな……」
 
「……ついでに二人でなんかしてたんじゃないの?」
 
「おい、何だよ!アルまで……」
 
「してたんじゃないのお?」
 
スラリンも真似をしてみる。勿論、意味は分かっていない。
 
「ねえねえ、アルベルトとダウドってさみしい
せいしゅんなんだよね?」
 
「こ、コラ!スラリン……!」
 
「……何の事?」
 
アイシャが不思議そうに首を傾げる。……アルベルトと
ダウドは二人して無言でジャミルの方をじ~っと睨んでいる。
 
「と、とにかく、明日には此処を出るからな!」
 
「……また誤魔化した……」
 
「誤魔化したね……」
 
「あ……、あー!プールから直接外行ったから
水着置きっぱなしだ、取ってこよーっと」
 
「私もだ、一緒にいくー!」
 
「……やれやれ……」
 
二人は揃って部屋を出て行く。見ていたアルベルトは、
もーお好きにして下さーい状態。
 
「……どうせオイラ達はさみしい青春だよ、けっ……」
 
「ダウド大丈夫?何か性格変わってる様な気がするけど」
 
「あ、ねえねえ、オイラ考えてたんだけどね」
 
「ん?」
 
「なんかあの二人って、自転車に乗って太陽を
追い掛けて行ってそのまんま何かにぶつかって
衝突しそうだよね……」
 
「……青い山脈って感じかな……」
 
「は?」
 
「い、いや、何でも……、最近読んだ他国の古い文学の
タイトルなんだよ……、中々面白くて、つい、読みふけって
しまうよ……」
 
 
「……うっせーぞおめーら!それに全部聞こえてんだよ!
馬鹿ダウド!!」
 
 
「あら~、まだ行ってなかったのね……」
 
「ハア……」
 
廊下の方でジャミルの罵声が響き渡ったので
あった。 そして次の日。 いよいよドリームバーグを
離れる時が来た。 煮え切らない気分のままジャミル達は
早朝早く街を出発する事になった。漸くこの街から解放され
自由になれるのは良かったが、4人は後味悪く、何とも複雑な
気分であった……。
 
「船も大分お留守にしちゃったから、相当汚れてるわね、
戻ったらお掃除しないと……」
 
「そうだね!……殿下にお借りした大切な船だもの!
戻ったらまずは皆で船内掃除だね!……ジャミルも
ダウドもだよ!頑張ろう!」
 
「うげ……」
 
「掃除嫌だよお~……」
 
……殿下、殿下で熱くなり、やたらと張り切るアルベルトに
ジャミルは勘弁してくれと顔を背けた。
 
「ピキー!ボクもみんなとおそうじするー!」
 
「スラリンもお手伝いしてくれるのね、偉いわね、有難うー!」
 
「ピキー!、おねえちゃん、ボクがんばるー!」
 
「……」
 
スラリンも一緒に掃除を手伝いたいらしいが。丸いだけの
スラリンが一体何処をどうやって掃除するというのか。
ジャミルは気になって仕方が無かった。
 
「ジャミルさん、みなさん」
 
其処に爺さんが現れ、別れ際に4人に声を掛けてきた。
 
「色々と皆さんお世話になりました、わし、うれしかった」
 
「いえ、こちらこそ……」
 
アルベルトが頭を下げるとダウドとアイシャも頭を下げた。
 
「もう一度、わしも頑張る」
 
「?」
 
「わし、珍、なんとしても説得する、このままじゃ、駄目」
 
「爺さん……」
 
「何年掛かってもいい、優しい珍に戻ってくれる……、
わし、信じてる……、みなさん、どうか元気で、旅の無事、
祈ってる……」
 
爺さんはそう言うと、4人に再び頭を下げて礼を言い、
街の奥へと消えて行く。
 
「おじい……」
 
「アイシャ、今の俺達じゃ何も出来ねんだ、悔しいけど……」
 
……もう少し、何か伝えたい事があったのか、爺さんに
声を掛けようとしたアイシャをジャミルが止める。
 
「僕達は僕達で今出来る事をしよう……、ね?」
 
「アル……、うん……、そうね、分った……」
 
アイシャはいつの日か、自分が付けたこの街の本当の
名前の意味、夢と希望に満ち溢れた街として
再起動してくれる事を……、心の中で静かに
願うのであった。
 
「はあ~……、やっと船に戻れるよお~……」
 
ダウドが安堵の溜息を洩らす。数日、この街に
閉じ込められていたのでストレスも溜まりっ放しであった。
 
「う~ん……、でもなあ……、なーんか珍の野郎に一言
言ってやらねえと気が済まねえんだよなあ……」
 
「いいから!早く戻ろうよおおおおお!!
オイラこんな街にいつまでもいたくないのよ
おおおお!!……二度と来たくないよおーー!」
 
「……アホ!声が大きいっつーの!!……ったくもうーーっ!」
 
「ピキー!おおおおおお!」
 
「……スラリンたらっ、もうっ、真似しなくていいのよおー!
……キャー!わ、私までえーーっ!うつっちゃったわーっ!」
 
「……はあ~……」
 
ぐずりだしたダウドを抱えてジャミル達は一目散に
バーグを後にするのだった……。