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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 悪徳商人の町編

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「ジャ、ジャミル、駄目っ!」
 
……切れたジャミルの毒舌攻撃発動。アイシャは騒ぎを
大きくしない様、必死でジャミルを止めようとするのだが。
 
「このガキ!……ふざけおって!痛い目に
遭わせてくれるわ!」
 
「大人を舐めるとどう言う事になるか思い知らせて
やるぞ!」
 
警備兵達が護身用の槍を構える。それを見たジャミルは
いい加減にしろとうんざりする。
 
「知り合いなのは本当ですよ……、全く、やれやれですね……、
本当にあなた方は……」
 
「珍様……」
 
「珍……」
 
屋敷の中から、ゆっくりと誰かが姿を現す。……珍である。


「お前達、少し向こうで休んでいなさい……、優しい
私からの、これはお小遣いだよ」
 
珍はそう言うと警備兵達にチップを渡した。
 
「は、はい……、で、では、……頂きます……」
 
警備兵達は揉み手をしながらチップを受け取ると
さっさと何処かへ行ってしまった。
 
「さてと、一体何なんです?まさか……、私の
提供した素晴らしいホテルに文句を付けに来たのですか?
これだから貧乏庶民は……、何か不満があったと
言う事ですか……」
 
「珍さん、そうじゃないの!あのね……」
 
「アイシャ、……黙ってな……」
 
アイシャが喋り終える前にジャミルが口を挟む。
 
「つまり……、手っ取り早く言うと……、独裁者は
長生き出来ねえ……、そう言う事だ」
 
「さっきから回りくどい……、あなたは一体何が
言いたいのです?」
 
「オメーが権力者になって街の人を扱き使って奴隷に
すんなって言ってんだよ、判ったか?」
 
「こんな事ばっかりやってると後で絶対自分に
返ってくるのよ、お爺さん、とっても悲しんでいたわ……、
珍さんの事も本当に心配しているの……」
 
アイシャが悲しそうに俯いた。しかし、珍は全然悪びれた
様子も見せず淡々と話す。
 
「何を言い出すかと思えば……、偉そうに……、
私に口答えする気ですか?何ならあなた達が今
泊まっているホテル代、今すぐ150000ゴールド
請求しますよ!?」
 
「……なっ!?」
 
当然ジャミル達にはそんな金は無い……。
 
「それは……、珍さんが私達を無理矢理ホテルに
連れ込んだんじゃない!」
 
「何を言っても無駄ですよ、あなた達はもうホテルを
利用してしまったのですから」
 
「……くっ!」
 
「随分楽しまれていた様でしたねー、……実は
あのホテルにはそこら中に監視カメラを設置して
おいたんですよー」
 
「すんげえ悪趣味……」
 
「これ以上逆らうとプールの使用料金も頂きますよ、
そうですね、サービスで10000ゴールドになります」
 
「……げ~っ!!」
 
どこまでも金にがめつく意地汚い珍の態度にジャミル達は
これ以上何も言えなくなった。
 
「判ってますよ、あなた達は所詮金の無い可愛そうな
貧乏人なんですから、あなた方には一応世話になりましたし
チャラにしておいてあげます」
 
「……珍さん、悪かったな……、俺達ホテルに
戻るよ……」
 
「ジャミル……」
 
「フン……、金持ちの私に逆らおうとするから嫌な目に
遭うのですよ、学習しなさい」
 
「……戻ろう、アイシャ……」
 
「でも……」
 
しかしアイシャは見てしまう。ジャミルの顔に青筋が
浮かんでいるのを……。
 
どうしよう……、ジャミル……、すんごく怒ってる……
 
気分がすっきりしないまま二人はホテルへの道のりを
歩いて行った。……立場としては完全にジャミル達の
負けであった。
 
「ねえ……」
 
ジャミルの後を歩いていたアイシャが立ち止まる。
 
「ん?」
 
「やっぱり……、この世の中って……、お金が
全てなのかなあ……、珍さんが言っていた様に……」
 
「コラ」
 
「いたっ!」
 
ジャミルがアイシャの頭をゲンコで軽くこづいた。
 
「……らしくねえぞ?お前がそんな考え方するなんて……」
 
「だって……」
 
「ま、確かに大金がありゃ、やりたい放題だし、ステーキも
焼肉も食いたい放題だしな……」
 
ジャミルがじゅるりと涎を垂らした。此処に来てから碌に
食事をしていないのでそろそろお腹も空いてきた様である。
ちなみにホテルで出された食事には皆、一切手を付けていない。
予め所持していたお菓子などを食べ、食い繋いでいたんである。
珍へ唯一出来る、4人の抵抗と意地でもあった。
 
「もう……」
 
「だけど……、金じゃ買えない物もある……」
 
「え……」
 
「友達や大切な人は金じゃ手に入んねーの」
 
「……ジャミル……」
 
アイシャの方を見てジャミルが笑い、明るい笑顔を見せた。
 
「ジャミルーーっ!」
 
「おわっ!?」
 
アイシャがジャミルに思わず飛びついた。
 
「やっぱり私はジャミルが大好き!世界中の誰よりも
だいだいだいだーいすき!!」
 
「よ、よせよ……、皆見てるじゃねえか……、
恥ずかしいよ……」
 
「いいのっ!」
 
「おわーっ!!」
 
「……おい、お前ら……」
 
「……きょわーっ!!」
 
いつ来たのか……、二人の背後に珍の屋敷の警備兵が
突っ立っていた。
 
「珍様からの伝言だ、お前達は明日、早急にこの街を
立ち去るようにとの事だ」
 
「へーい、分りましたよー、出ていきまーす!」
 
「フン、二度とお前達の顔を見たくないと
おっしゃっている……」
 
警備兵はそれだけ二人に伝えると屋敷に戻って行った。
 
「お互い様だよっ!バーカ珍、クーソ……」
 
「ジャミル……」
 
「おっと、あぶねえ……」
 
「……でも……、ほんの少しでも一緒に旅して色々
お話した人だもん、そんな風に言われるのは何だか
悲しいな……」
 
珍との船でのやり取りを思い出したのか、みるみる
アイシャの顔が曇る。……あの時はジャミル達も、
まさか後後こんな事になるとは夢にも思っていなかった。
 
「泣くなアイシャ!ほらほら、元気だせーっ!」
 
「ふええ……」
 
……ぐぎゅるる~……ぷう~ぴい~……
 
「まーた鳴ったよ、俺の腹……」
 
「あはは、あはは!変な音ーっ!」
 
「うーん、どうも俺って決まらないんだよな……、
真面目な処なのに……」
 
「あはははは!真面目な顔してるのにー!なーんか
ジャミルってばトイレ我慢してるみたいな変な顔ー!」
 
「……あんたちょっとうるさいよ!」
 
「あははははは!」
 
とりあえずアイシャが笑ってくれてほっと安心する
ジャミルだった。
 
「……ジャミルさん……」
 
「あ、じいさん……」
 
いつも通り突然出てくる爺さんにどっから出てくんの?と、
気になってくるジャミル。
 
「お嬢さん、お身体の方、もう大丈夫?」
 
「ご心配掛けてすみません、でも、もう大丈夫です」
 
「こちらこそ、ご迷惑申し訳ない、……本当に……」
 
爺さんが弱弱しく、ジャミル達に何度も何度も
頭を下げた。
 
「別に爺さんが悪いわけじゃねえよ、もう
気にしないでくれよ、俺らの方こそ、珍を
説得できる処か……、結局駄目になっちまって、
ごめんな……」
 
ジャミルが謝ると爺さんは、とんでもない!と、