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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 海賊集団現る!&ルザミ編

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くわあーっ!!」
 
「わ、悪かったよ……」
 
ジャミルが慌てて謝る。どうやら彼はまだ若い
青年らしかった……。
 
「でも、こんな所でぐるぐる回って何をしているの?」
 
「……」
 
変な青年が回るのを止め、自分の目の前に現れた
アイシャをじーっと見つめた。
 
「あの……」
 
「……かわいい……」
 
「え、え……?」
 
「お嬢さん、お名前は……?」
 
「ア、アイシャです……」
 
「アイシャさんですか、可憐でお美しい……」
 
青年がアイシャの手を取りぎゅっと握り締めた。
 
「あー!何やってんだよっ!!てめえ!」
 
ヤキモチ屋のジャミルが騒ぎ出した。
 
「これから良かったら家に来ませんか?
お茶くらいなら出せます」
 
「え、えーっと……、ど、どうしよう……?」
 
アイシャは困って男衆の方を見る。
 
「んじゃあ、お言葉に甘えて寄らせてもらおうじゃねーの!」
 
「あの、あなた方には言ってないんですけど……」
 
「いこーいこー!レッツゴー!」
 
「……もう……、ジャミルったら……」
 
「れっつごー!」
 
スラリンも真似をする。
 
「ダウド、僕達も行く?」
 
「ん?う、うん……」
 
暫くして歩いて行くと町の中央に汚いボロ小屋が
見えて来た。……例えるとまるで掃除の行き届いて
いない公衆便所の様な……。
 
「あそこが私の家です」
 
「……げ」
 
「さあ、行きましょう、あ、あなた方は別に
入りたくないのでしたら入らなくて構わないですよ、
アイシャさんは行きましょうね」
 
「え、ええ……」
 
「行くよ、行きますよっ!行くに決まってんだろ!
ほれほれ、お前らもお邪魔させて貰おうぜっ!」
 
「ジャミル、幾ら何でもちょっと図々し……、あ……」
 
アルベルトが言い終わらない内に、ジャミルは
当事者の青年よりも早く勝手に家の中へと入って行った。
何だか又機嫌が悪い様である。……青年にアイシャに
触られたくないのか、何だかかんだか。やっぱりこの
バカップルって何となく似てるなあ~と、ダウドは心で
こっそり思う。どうしようもなく意地っ張りでヤキモチ
焼きな処とか、そっくりだなあと。
 
「何か、あの方図々しいですね、嫌、図々しいを
通り越してますが!?」
 
「ハア、……ど、どうもすみません……」
 
「です……」
 
青年は残りの男衆、アルベルトとダウドに
軽蔑の目を向けた。
 
「ごめんなさい、ジャミルが本当に申し訳ありません……」
 
「!わわわ、アイシャさんはいいんですよ!謝らなくて!
嫌だなあ~、もう、ははは!」
 
「はあ……」
 
青年はアイシャにだけは気を遣う。見ていたダウドは
面白くなさそうな様子。
 
「あんだよお、アイシャにだけは随分態度が違うなあ!」
 
「ははは、仕方ないよ、ダウド、さあ、僕らも
お邪魔させて貰おう……」
 
ブスくれるダウドを宥めつつ、アルベルト達も家の中へ……。
 
「うわ、くさっ!……何だこりゃ!?」
 
家の中には錯乱したゴミが散らかり辞書や地図、
大量の本やノートでいっぱいだった。
 
「ここんとこ忙しくて、かれこれ2週間は風呂に
入ってないので……」
 
「はえ!?」
 
「待ってて下さいね、今お茶を……」
 
「駄目よ!その前にお掃除しなくちゃ!」
 
「いいんですよ、どうせまたすぐに散らかりますから……」
 
「そんなんじゃ女の子にもてないわよ!」
 
「……うっ……」
 
「ほらほら、ジャミル達も手伝って!」
 
「じゃあ僕は此処のゴミを片付けようかな」
 
「面倒くせー!バーカ!」
 
「オイラ掃除嫌い!」
 
ジャミルとダウドが口を揃えて文句を言う。
 
「アル……、この二人ゴミ袋に入れて粗大ゴミに
出してきて……」
 
「うそでーす!すいませーん!」
 
「お掃除しまーす!」
 
漸く掃除が終わったが時間は2時間近く
掛かってしまい、辺りはすっかり真っ暗に。掃除が
終わるのをずっと待っていたスラリンはすっかり
眠ってしまっていた。
 
「疲れたあ~……、やっと終わったよお……」
 
「よくもまあこれだけのゴミ溜めたよな……、
尊敬するよ……」
 
「皆さんどうも有難うございました、見違えるように
綺麗になりましたね……、はあ……」
 
「ね?綺麗になると気持ちいいでしょ?」
 
「……全くです……、でも、もっと綺麗なのは……」
 
「え?」
 
「あ!どさくさに紛れてまた……!」
 
「今日くらい我慢しなよ……」
 
「……う~!!」
 
掃除開始から2時間近く立ち、時刻は夜の10時に。
 
「でもこんなに汚くなるまで部屋ん中で何やってたんだ?」
 
「研究ですよ、日々研究!」
 
「研究?」
 
「私はこの島に来る前までは天文学者をしていました」
 
「学者ぁ?」
 
「えー、凄いのね!」
 
「ははは、……まあ……」
 
アイシャに褒められ、青年が顔を赤くする。……が、
次の瞬間、直ぐに顔を曇らせた。
 
「……ですが、訳あって島流しにされ、以来ずっと
この島に住んでおります」
 
「何か悪ィ事でもしたのか?」
 
「……自分の考えを譲らなかったからですよ、
地面は丸くてぐるぐる回っていると言う事が
長年の研究の末、解ったのです、しかし……、
信じてもらえず島流しにされました……」
 
「酷いわ……」
 
「ピキイ、かわいそう……、ひどいことするんだね……」
 
スラリンも既に目を覚まし、アイシャの膝の上。
アイシャと共に悲しそうな顔をする。
 
「いいんですよ、元々根が人嫌いなんで……、
静かな処ですので人もあまり来ませんし
此処に流されてむしろすっきりしてます」
 
「まあ、俺は頭悪ィし難しい事は全然分んねえけど、
あんたがそう思うんならそれでいいんじゃねえの?」
 
「……ジャミルさん……」
 
「何だよ……」
 
「……あなたはいい人です……、お友達になりましょう!
ぶ、文通しませんか!?ジャミルさん……、ジャミルさん!
……ジャミルさぁぁぁん!」
 
「……うわーーっ!!」
 
今まで、ジャミルを軽蔑していた青年。ジャミルの
言葉に態度を一変し、ジャミルに飛び付いて来た。
 
「……やめろっつーの!気持ち悪ィな!!」
 
「そんな事言わないで下さいよー!」
 
「アル、あの人……、アイシャの事はもう
やめたのかな……?」
 
「うーん……、ホモ毛があるみたいだね……」
 
「ピキー?」
 
「……」
 
……横でアイシャが面白くなさそうな顔をしていた。
そして、ジャミル達は青年と別れルザミを後にする。