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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 アープの塔編

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次はスーの南に有ると言う塔に行ってみる事にした。
海賊達から聞いた情報では此処には吹くと自分達が今、
探している物の在処が分る不思議な笛が眠っているらしい。
女ボスが言うにはその笛があればもしかしたら残りの
オーブを探してくれる助けになるのではないかと言う事。
4人にとっては、ナジミ、シャンパーニ、ガルナに続く、
4度目の塔挑戦となる。
 
「でも、……笛が的外れだったらたらどうするのさあ~……、
変なアイテムだったら……」
 
相変わらずダウドは悲観的で文句ばかり言っている。
 
「ま、そん時ゃそん時だよ、何なら止めてテドンに……」
 
「キャー!行きます、行きまーっす!塔探索、レッツ・ラごー!」
 
「おい……」
 
テドン……、の3文字が出てきた途端、ダウドは態度を変える。
どうしてもテドンには回りたくないらしい。
 
「ダウドったら……」
 
「ハア、此処は別に行かなくてもいいんだけど……、
テドンは村だし、回る必要があるからね、……これは
ダウドを説得するの大変かもね……」
 
困った顔をするダウド以外の3人を見て、スラリンが
きょとんとした顔をする。スラリンにとってもメンバーに
加入してから4人と初めての一緒の探索冒険となる。
 
「スラリン、私達から絶対離れちゃ駄目よ、危ないからね!」
 
「ピキー、おねえちゃん、わかったー!」
 
「……おめえもだよ……」
 
スラリンに対してお姉さんぶるアイシャにジャミルが
ぼそっと言葉を漏らした。
 
「何っ!?何か言ったっ!ジャミルっ!!」
 
「……なんでもなーい(棒読み声)」
 
「プッ……」
 
「何してるのー!早く行こうよおーー!」
 
先に歩いて行ったダウドが手を振って皆を呼ぶ。
やたらと張り切っている。
 
「へえへえ、また、ガルナの時みたいに後で
泣きっ面掻くなよ……」
 
外壁側をぐるっと回って進み、中央の扉のある
場所まで辿り着く。其処に……。
 
「だ、誰かいるよ……」
 
アルベルトの言葉に正面を見ると、扉の前に……、
腰まである長い青髪を伸ばした、ぼーっとした
令嬢ぽい娘さんが突っ立っていた。娘は目の前の
扉をしきりに見つめている。
 
「ひ!?……も、もしかして……、……ゆ、
幽霊っ!?」
 
「んなワケねえだろ、足がちゃんとあんだろ……」
 
さっそく脅えてボケるダウドにジャミルが
突っ込みを入れた。
 
「あの、何してるんですか……」
 
「ピキー?」
 
アイシャが聞くと、扉を見つめていた娘がゆっくりと
こちらの方を振り向いた。
 
「……此処は呪われし塔、……あなた達、呪いを
食らいたくなければ今すぐに
此処からすぐに立ち去りなさい……」
 
「な、……何だと?」
 
「えーーっ!?呪いの塔なのおーっ!?」
 
こういう事に真っ先に敏感で反応するダウド。娘の
言葉を聞き、早くも脅え始めた。
 
「慌てんなってんだよっ!……一体何の呪いなんだ?」
 
「もしかして……、この塔で亡くなった人の呪いとか……」
 
「……ひいい~~!!」
 
ジャミルとアイシャの言葉に娘が反応し、にっこりと
ほほ笑んだ。
 
「……此処は、アープの塔と言います、……アー!
プウ~……の塔です、最上階まで登った者はおならが
止まらなくなると言う曰くつきの呪いの塔です……」
 
「おい……、嘘つくなよ……」
 
「嘘です……、けれど、塔の名称はアープと
言うのは本当です」
 
娘はジャミルの顔を見ると再びにっこり
微笑む。
 
「……あの、僕達、遊びでこの塔に
来たのではな……」
 
アルベルトが眉間に皺を寄せ、娘に注意しようと
したその時……。
 
「あっ……」
 
「……あぶねえっ!!」
 
娘の左右からモンスターが娘目掛けて襲い掛かって来た。
族系モンスターのマッチョな覆面マントのエリミネーター、
鳥顔に足が付いている変な鳥系モンスターのアカイライである。
ジャミル達の加勢は間に合わないかも知れないとそう思った瞬間……。
 
「よいしょ。」
 
娘は片方の手で、拳を使いエリミネーターが斧で
斬り付けてくる、その直前にエリミネーターを
ボカリと殴り飛ばし、エリミネーターはその場に倒れる。
 
「おいこらせ。」
 
……そして、もう片方の足で器用にアカイライの
デカい顔面をキックし、遠くに蹴り飛ばした。
 
「ふうう~、今、何か来ましたかしら……、
何も来ませんわね……」
 
娘はそう言いながら倒れているエリミネーターを
尻目に扉を開け、奥に進もうとする……。
 
「……ちょ、ちょっと待てっ!!」
 
先程まで、一体何が起きたのか分らず……、事の
成り行きをぼけっと眺めていた4人。漸く一人、
我に返ったジャミルが慌てて娘を呼び止める。
 
「なんだべや?」
 
……娘はジャミルに呼び止められると奇妙な
返答で返事を返した。
 
「……なんだべやじゃねーだろっ!アンタ一体
何モンなんだよっ!」
 
「何モンも何も……、暇なのでこの塔を
お散歩しているのです、じゃあ……」
 
……ジャミルの大声に、暫く放心状態であった
アルベルト達も漸くはっとし、急いでジャミルの
側へと駆け寄る。
 
「アンタ、絶対何か冒険者職業についてんだろうっ!
……じゃなきゃ、普通の一般人がこんなとこウロウロ
呑気に散歩するかよっ!」
 
「いや、私はただの……、お嬢様です……、おう、
そなたは普通のお嬢様が塔を冒険してはいけないと
申すか、どうなのだ?チンコロイモ男、言うてみい」
 
艶々の美しい髪と綺麗な顔立ち、そして身に着けている
フォーマルワンピース。ただのお嬢様、そう言っている
彼女にそう言われれば、確かにそうかも知れなかったが……、
先程のエリミネーターを一撃で殴ったあの拳……、おまけに
どんどんおかしくなる変な言葉使い……、どう考えても
ジャミルにはこの娘がただのお嬢様とは思えなかったので……。
 
「てか……、誰がチンコロイモ男だっ!」
 
「この人、初めて会ったばっかなのにジャミルの事
良く分かってるねえ~、凄いなあ……」
 
 
ぼかっ
 
 
「……うわああ~んっ!アルうううーー!ジャミルが
殴ったあああーーっ!!」
 
「よしよし……」
 
ダウドの頭をよしよしするアルベルト。
 
「まあ、私はある目的があり、この塔に来たのは
事実です……、コホン、……えーと、このアープの
塔には吹くと世界中に眠る金銀財宝の場所が分る笛が
眠っていると……」
 
「えっ……!?」
 
「な、何だ……、と……?」
 
娘は急にしおらしくなり普通の言葉使いに
なったかと思いきや、自分がこの塔に訪れた
目的を淡々と話した。娘の言葉に驚きを隠せない4人。
しかし、ジャミル達が海賊の女ボスから聞いた話では、
この塔には自分達の探し物を探してくれる笛が有ると
いう話であった筈だが……。
 
「う~ん、海賊さんの教えてくれた情報が
違ったとか……」
 
「で、でも……、財宝の在処を探してくれる
笛なんて凄いじゃん!……オイラ、自分達の
探し物よりそっちの方がいいよお!」
 
「ダウドっ、駄目よっ!私達の今探し求めている物は
オーブなんだから!」