二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 アープの塔編

INDEX|5ページ/5ページ|

前のページ
 

「此処は2階みたいだ……、逃げようと思えば
直ぐに逃げられるけど……」
 
「そうはイカのマンタキです」
 
「……お前っ!?」
 
4人の前に再び現れる性悪お嬢。出会った時から
素性も分からず、名前も名乗らず……。
性悪お嬢は4人にじりじりと詰め寄ってくる……。
 
「早く笛をよこしなさい、……さあ……」
 
「いやだよおっ!卑怯な事ばっかりしてっ!絶対に
この笛渡さないよお!」
 
「そうよっ!」
 
「ピッキー!」
 
ダウドとアイシャは笛を渡すのを拒むが……、
しかし、ジャミルは……。
 
「もう、笛渡しちまえよ、ダウド……」
 
「どうしたのっ、ジャミルっ!!……こ、此処まで
コケにされてこのまま引き下がるなんてオイラ嫌だよお!」
 
「お前、意外とプライドあったんだな……、けど、
もうコイツとはうんざりだ、さっさと本当に縁を
切らせて貰うよ、じゃねえとこっちの身が持たねえ……、
これ以上お前らにまで危険が及ぶんなら俺はこんな笛
要らねえよ……」
 
「うるさいよお!……でも、ジャミル……」
 
「ダウド、ジャミルの言う通りだよ、さっきも
言った通り、その笛は僕らにとってはきっと必要の
ない物なんだよ……」
 
アルベルトがダウドの肩に手を置いた。その表情は
複雑そうではあったが、本当にこれ以上、このワケ
判らん危険なお嬢を相手にしていては自分達の身が
持たないと悟った上での結論である。
 
「私も了解よ……、またスラリンにおかしな事
されたら嫌だもの、……ねっ?」
 
「ピキー!」
 
アイシャがスラリンをちょんと突く。アイシャも
やっと納得した様子。
 
「……も、もういいよお!こんな笛っ!早く
もってけどろぼー!」
 
ダウドが笛を娘の前に等々ブン投げる。笛を見た娘は
にこりと笑い、笛を拾おうとするが……。
 
 
……ドドドドドド……
 
 
「こ、この音……、何の音だよお?」
 
「これは……」
 
突如塔に日々渡る地鳴りの様な騒音。……音の正体は……。
 
「おい、アル、あれって……」
 
ジャミルが息を飲み、騒音のした正面方向を見つめる。
 
「……ビッグホーンだっ!!」
 
娘の背後からヒツジ系のモンスター、ビッグホーン
4体が娘目掛け土煙を上げ物凄い勢いで今にも
突進しようとしている……。
 
「……ほへ、……あ、ああああ!?わ、私に向って……、
この糞羊集団がアアッ!あああああっ!!」
 
「やべえっ!!」
 
ジャミルが叫ぶ。流石にあのスピードでは娘も
避け切れず、ビッグホーンに追突されてしまう、
誰もがそう思った……。
 
「……ジャミルーーっ!」
 
「ほ……、ほへ……?」
 
アイシャがジャミルに向かって大声を出す。
……間一髪、ジャミルがビッグホーンの群れに
追突されそうになった娘を抱え、救ったのであった。
ビッグホーン集団はそのまま何処かへ走って
行ってしまう。
 
「……あなた、何故私を……?」
 
「何故も何も……、アンタが危ねえと思ったら
咄嗟に身体が動いた、それだけの事だよ……」
 
「……おめえ、アホですか?私、笛目当てで散々
あなた方の邪魔をしましたのに……」
 
「アホは余計だっ!たく!」
 
ジャミルは埃と泥を払いながら立ち上がり仲間達の
元へさっさと戻る。連中はわーわー燥いでいる。
……娘はそんな4人の楽しげな様子を呆然と眺めていた。
 
「ほら、その笛必要なんだろ?早く持って行けよ」
 
「……あ!ああ~、笛、ぺしゃんこ……、私の笛、
こんなになったでおます……」
 
ジャミル達も娘の方を振り返る。地面には先程の
ホーンの群れに潰されたのか、笛がエライ事に……、
無残な姿になっていた。
 
「何だか可哀想ね……」
 
「ふん、いい気味だよお!欲かくからだよお!」
 
「う~ん、僕らにとっても、……あの人にとっても……、
手に入れたらいけない物だったのかも知れないね……、
もしかしたら……」
 
アルベルトが呟くが。ジャミルはそんなオーバーな
大した笛じゃなかったんじゃねえのと思う。
今となっては、財宝を探してくれる笛だったのか、
それとも……、自分達にとって必要なオーブ探しの
手助けをしてくれる笛だったのか。今となっては
誰にも分らない。
 
「さ、俺らも本当に行こうぜ、あーあ、本当に今日は
疲れちまったよ……」
 
「うんふふふ~ん、でも、お嬢様ハンターは諦めない、
うんふふふ~!」
 
「おい……」
 
先程まで笛の残骸を見つめ、ボーっとしていた娘、
再びすっくと立ち上がり、フラフラと……、何処かへ
歩いて行こうとする。
 
「今度は……、伝説の黄金の種、探すのでおま、
……埋めたら金塊の木が育つ、んふふふ~……」
 
「そ、そんなのあるの……?聞いた事ないけど……」
 
「さあ~……?」
 
まーた、ワケ判らん娘の言動に苦笑いする
アイシャとアルベルト……。
 
「あ、アンタら、また今度私の邪魔したらメで
ございますわっ!よおーーっ!!」
 
「しねえってんだよっ!いいから早く何処か行けっ!」
 
「んふふ~、んじゃまた、何処かでお会いしましょうで
ございます、では……」
 
「……」
 
娘は最後に。しおらしく4人に挨拶をすると
その場から去っていく……。漸く娘の姿が
塔から消えた時には4人は疲れ果て……、その場に
揃って座ってしまっていた。
 
「最後までなーにやりたかったんだか、素性は
分かんねえし……、ま、まーたとんでもねえのと
遭遇しちまったなあ~……」
 
「……で、でも、この話のパターンだと
いずれまた何処かで遭遇……」
 
「怖い事言わないでよっ、ダウド!」
 
「彼女の目的が明確にはっきりしない以上……、
い、いずれ補足の為に出てくる可能性が……」
 
「……アルまでっ!もうっ、やめてったらああーー!!」
 
……アープの塔にアイシャの絶叫が響き渡る。
分かっている事は、彼女は財宝目当ての自称、
お嬢様ハンターだという事。今回はこれでどうにか
済んだが……、素性、名前、彼女の本当の目的……、の
解明の為、いずれ何処かでまたきっと遭遇する筈である。