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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 アープの塔編

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落とされた時に危険を承知で飛び込んで助けに来て
くれたでしょう?……私だってジャミルを助けるわ!」
 
「アイシャ……」
 
アイシャはアルベルトの瞳を見つめると再び口を開いた。
 
「ごめんなさい……、私、笛よりもジャミルの方が大事なの……」
 
「うん、アイシャの事だからそう言うと思ったよ、
そうだね、笛の力を借りなくてもこの先も大丈夫だしね……、
僕らには最初から縁のない必要の無い物だったのかもね……」
 
「はあ、此処まで来て……、でも、仕方ないよね、
オイラ達にとっては笛なんかよりもジャミルの方が
ずっと大切だもんねえ!」
 
「アルもダウドも有難うっ!」
 
「うん、じゃあ……」
 
「行きますか……、だよお!」
 
3人は強く頷く。そして向こう側の岸にいる娘の方を見た。
 
「話が長いよ……、んで、話は終わったんのんかよ?」
 
娘はごろんと横に寝転がる。もはや最初の時の様な
清楚な令嬢のイメージも既に消え失せて無くなっていた。
 
「……もう、笛はあなたにあげるわ、だから今すぐ
スラリンに掛けた催眠術を解いてっ!」
 
娘は待ってましたとばかりに起き上がる。
そして顔を赤くし、突然しおらしくなる……。
 
「分ればいいんですのよ、分れば……、
分って頂ければ私もあなた方にこんな
酷い事はしなくてよ、そのケダモノを
私の方に向けなさい、催眠術を解いて
差上げますわ……」
 
「本当に大丈夫かしら……、って、スラリンは
ケダモノじゃないわっ!」
 
アイシャは不安に駆られつつも、眠っている
スラリンを南西の岸にいる娘の方に向けた。
……娘は岸の向こう側から仕切にスラリンに
向かって何やら手を振り回し、催眠術を解いている様子。
 
「……そーれ!ケダモノ、元に戻れ、戻れ……」
 
「ピキ……?おねえちゃん……?」
 
「……スラリン?……良かった……、
元に戻ったのね……」
 
「ピキー?」
 
アイシャは漸く元に戻ったスラリンを抱きしめ
涙を溢す。スラリンは何が起きたのか、
何故アイシャが泣いているのか良く分かって
いない様であったが。
 
「さあ、あなた方は此処に用は無い筈です、
……ほれ、さっさと下の階に落ちなさい、
大切なお友達が待っていますわよ……」
 
娘は最初の時の様にアイシャ達を見て
にっこりほほ笑む。しかし、今の3人には
その微笑みが邪悪で不愉快に見えて仕方がなかった。
 
「言われなくても分かってるよお!アル、
アイシャ、スラリン、ジャミルを助けたら
こんな塔、もうさっさと出よう!」
 
珍しくダウドが率先し、威勢よく喋る。
相当頭にきている様である。
 
「そうだね、僕らはジャミルを助けたら
すぐに此処を出ます、御心配なさらず……、
ゆっくり探索して下さい……」
 
「べーだ!さ、行きましょ、皆!」
 
「あらあらあら……」
 
……そして3人と1匹は堂々と先程ジャミルが
落ちた先へと飛び込むのだった……。
 
「まあ、本当に野蛮人……、何かもう
慣れっこってカンジ?……けど、私にだって、
やらなければいけない使命があるのですわ……、
例え憎まれても……、ね……」


「……ジャミル、大丈夫……?」
 
「ピキイ~……」
 
「……アイシャ……、それに……、アル、ダウド、
スラリンも……」
 
下に落とされ、気を失っていたジャミルが
目を覚ました。気が付くと自分の側には
いつもの騒がしい仲間達がいた。どうやら
ジャミルが墜落した場所にも足場がどうにか
有り、其処に落ちたらしかった。
 
「お前ら、来てくれたのか……、て、てっ……、
無茶しやがって、ホント、アホだなあ~……」
 
「ちょ、何その言い方!ジャミルに
言われたくないよお!」
 
「本当だよ、可愛くないなあ~……」
 
「うるせーうるせーっ!……たくっ!
節介野郎共めっ!」
 
「お互い様っ!」
 
「だよおーだ!」
 
ジャミルはダウドとアルベルトから顔を背ける。
……顔を赤くして。それを見たアイシャはくすりと
笑う。本当は嬉しいのにどうしても素直になれない
ジャミルのいつもの照れ隠しだという事もちゃんと
分かっているから。
 
「それにしてもここ狭い場所だねえ~、
ぎゅうぎゅうだよお~……、うっかりすると
落ちちゃいそうだあ~……」
 
「大丈夫だよ、リレミトがある、さあ、早く
此処の塔から脱出しよう、あの厄介なお嬢様の
邪魔をしたらいけないからね……」
 
苦笑いするアルベルト。確かにオーブの在処探しを
手助けしてくれる笛ならそれは有難いが、別に
どうしても必要な物ではない。大変であったが、
これまで見つけたオーブも自分達の力で探し当てたのだから。
 
「でも、ジャミル、みんな……、ここ、
たからばこがあるよ?」
 
「……何?」
 
「ええっ?」
 
スラリンが4つの宝箱を発見する。早く塔から
脱出しようとしていた4人。しかし、落とされた
階にも宝箱がちゃんとあったのである。
 
「ど、どら……」
 
ジャミルが慌てて宝箱を開け……、後の3人も
ドキドキしながら見守る。宝箱の中身は、
ゴールド、命の木の実、ちいさなメダル、
そして……、謎の笛。
 
「う~ん、またこのメダルか……、まあいいとして、
命の木の実はアイシャ、お前使えよ、HP低いからな、
あとは……」
 
ジャミルは最後に残った異様な奇妙な造形の笛に
注目している。……仲間達も、勿論。
 
「もしかしてこれが……、この塔の目玉の宝だって
言う笛なんじゃ……」
 
「そ、そうよ!だとしたら……、私達、あの人より
先に笛を手に入れられたって言う事になるわっ!」
 
「ピキー!」
 
「わあー!じゃあ、落とされて良かったんだねえー!」
 
「……俺は正直気分が良くねえが……、まあいいや、
取りあえず笛もうっかり手に入れられちまったんだし、
もう此処には本当に用はねえな、はは……」
 
ジャミルの言葉に頷く後の3人。……しかし……。
 
 
……だーめえええーーーっ!!じゃあああーーー!!
 
 
「!?」
 
突如頭上から甲高い声が響き渡る。……またあの
お嬢である。4人が上を見上げると……。時すでに遅し。
声と共に4人に向けべギラマも4人に向け発射される。
4人は崩れた足場と共に更に
下へと落下するのだった……。
 
「あいててて……、俺、まーた落とされたわ、
畜生……」
 
痛む腰を抑えながらジャミルが立ち上がる。
他の仲間も皆無事だが、相当機嫌が悪い様である。
 
「もうー!本当になんなのっ!幾ら何でも酷いわっ!」
 
「ピキピキピッキー!」
 
「本当だよお!……も、もう完全に頭きたっ!
オイラ何が何でもこの笛渡さないよ!そう決めたよお!
道具管理係のオイラが管理しておくからっ!ジャミルも
アルもいいよねっ!?」
 
「ああ……、けど、その笛持ってる限りあの女
何処までも追い掛けてくんぞ……」
 
「はあ、本当にしつこい人なんだね……」
 
陰険な娘の嫌がらせ攻撃に流石のジャミルも
うんざり。相手にしたくない様子。
アルベルトはアルベルトで、自分達が落とされた
階の場所の確認をしている。