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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 サマンオサ編

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「ったく……、君達も相変わらず変わらないねえ……、
ほんとに……」
 
「あ、あそこ、何かあるよお!」
 
「何だい?ダウド」
 
「あれー!」
 
……雪原に囲まれた大陸の中に小屋がぽつんと建っているのが見える。
 
「少し休ませて貰うか……、ここじゃ寒くって……」
 
「そうだね、何か聞ける事も有るかも知れないしね……」
 
ジャミル達は船から降りて雪の中を小屋へと歩いていく。
 
「寒……、これじゃ歩いていくのもきついなあ~……」
 
「スラリン、雪だるま作ろうか!」
 
「わーい、つくるう!」
 
「……」
 
元気なのはこの天然コンビ、アイシャとスラリンだけである。
 
「ジャミル……、鼻水垂れてるよお……」
 
「仕方ねーのっ!」
 
「もー、みんな元気ないよ!」
 
「ピキピキ!」
 
「んな事言ったってだな……」
 
「はあ、もう少しだから頑張ろうよ……」
 
4人と1匹は雪まみれになりながらようやく小屋まで辿り着く。
でも、アイシャとスラリンだけは燥いで元気元気。
……アホなコンビにジャミルは呆れる。
小屋の前まで来た時には、もう、全員雪だるまなのだ状態。
 
「お前さん達、何の用じゃ?」
 
小屋の中に入ると、ぬくぬくとストーブにあたっている爺さんが。
 
「……すみません、少し休ませて頂こうかと思いまして……」
 
「ふぇーっくしょん!」
 
アルベルトが代表で挨拶し、ジャミルは大グシャミ。
 
「わざわざこんな所までか?大変だったろう、ここまで来るとは……、
どれ、其処の椅子に腰かけて待っていなさい」
 
じいさんはジャミル達に温かいスープを振舞う。
 
「さあ飲め、野菜のスープじゃ、あったまるぞい」
 
「いただきまーす!」
 
ジャミル達は夢中でスープに齧り付く。
 
「……あ、あっつーーうっ!」
 
「君は絶対それをやると思ってたから注意しようと思ってたけど
間に合わなかったね……」
 
アルベルトが鼻を鳴らした。
 
「……した……、した……、火傷舌……」
 
「バカ……」
 
聞こえない様に、ガチャガチャとスープのスプーンを
弄りながらダウドが呟く。
 
「ところで、さっきも言ったがこんな所になんの用じゃ?
此処はグリンラッドと言う小さな大陸じゃよ……」
 
「!そ、そうでしたか、此処がグリンラッドだったんですね、
成程成程……」
 
「おお、金髪の兄ちゃんは随分勉強熱心じゃの、若いのにのう……、
その地図もいつも持ち歩いておるんかの?」
 
地図を開き、場所を確認し始めるアルベルトに爺さんは感心する。
そして、ちやほやされるアルベルトに何となく面白くないジャミルが。
 
「別に何も用はねんだけど……、単なる暇つぶ……、しっ!?」
 
「……」
 
澄ました顔でアルベルトがジャミルの足を踏んだ。
 
「お、そっちの兄ちゃん、ちょっとそれを見せてくれんかの!」
 
「ん、今度は俺?……何を?」
 
「それじゃよ、その杖じゃ、なんじゃ?その杖は」
 
「これは変化の杖だよ、色々あって手に入れたのさ」
 
「おおこれが幻の……、なんと!何にでも姿を変えられるという……、
ほおー……」
 
「あのねー、ボクしってるのー、ジャミルがねー、きのう、
そのつえつかってアルベルトになってたのー」
 
「え……?」
 
「……コラーッ!!」
 
「どじょうすくいーとか、♪ちゃ~ららら~とかバレーおどってたのー」
 
……スラリンを止めようとするが間に合わない。
 
「……ふーん……、そうだったんだ……」
 
アルベルトがくすりと笑みを浮かべる。しかし、笑っている筈の
顔は全然笑っておらず。
 
「あ…アルベルトさーん……、おこんないでぇー……」
 
「ジャミル、ちょっといいかな?こっち来てくれる?」
 
「かっこいいよー、アルベルトさん日本一!いや、世界一!」
 
「うふふふ♡」
 
「あ、あはははは……」
 
「……ジャーミールーううううう!!」
 
「……ヒイイイイイーーッ!!」
 
 
              ……
 
 
「……ったく……、あんにゃろう……、スリッパで15回も
叩きやがって、おーっ、いてえ……」
 
「もう、何やってんのよ、バカねえ……」
 
「つっこみ専用でみんなにもスリッパあげるよ」
 
「……おーいっ!?」
 
「今度からジャミルが何かやったらそれで叩いていいよ」
 
「わー!面白そう!」
 
「面白くねえやい!」

「なあ、兄ちゃん達、良かったらその杖譲ってもらえんかのう……?」
 
「え?何で……?」
 
「わしには昔から夢があるんじゃよ、その変化の杖を使って
ピチピチギャルに変身してみたいんじゃ……、永遠の夢だったんじゃ」
 
「は!?」
 
「……ピチピチギャル……、死語じゃん……」
 
「どうするの……?国王様に頂いた大切な杖だし……、ちら」
 
アイシャがジャミルの方を見る。……その大事な杖で
悪戯をしたアホなジャミル。ジャミルは横を向いてあははーと
笑って誤魔化した。アイシャは呆れる。
 
「わしももう長くない、頼む……、先の短い老い耄れの頼みを
どうか聞いてくれんかのう……」
 
「僕はいいと思うよ、だってこのまま持っててもジャミルが
悪戯に使うだけだから……」
 
「……うるさーい!」
 
また自分に変身されてはかなわないと思ったのか置いていくように
アルベルトが言う。
 
「タダとは言わん、どうじゃ?この船乗りの骨と交換せぬか?」
 
「あ!」
 
爺さんは4人に紐で括って吊るしてある人骨を見せた。
 
「海賊達が骨を渡した爺さんて、あんただったのか……」
 
「いかにも昔、わしは海賊達からこれを貰ったが……、
何だか知らんがお宝らしいぞ」
 
じいさんが骨を振り子の様に振って4人の目の前で
プーラプラさせる。
 
「しかし、まあ、なんだ……、〇ラ〇エって、もう、あっちも
こっちも爺だらけ……」
 
……パンッ!!
 
アルベルトがジャミルの頭をスリッパで叩いた。
 
「……なんていい音がするんだろう……、石頭……」
 
「うるせー!」
 
「で、結局くれるのか?くれないのか?どっちだ?」
 
「うー、分ったよ、ホラ……」
 
ジャミルはしぶしぶ爺さんに杖を渡した。
 
「すまんのう、では、この骨を渡そう、何のお宝なのか
わしは知らんが」
 
ジャミル達は船乗りの骨を貰って爺さんに礼を言うと
グリンラッドを後にし、再び雪原を歩いて船まで戻った。
 
「何か勿体無かったなあ~、……オイラも変化の杖で
遊んでおけばよかったよお~、ちら」
 
「だから何で俺の方見るんだっての!」
 
……やっぱりこの二人はアホな親友同士、碌な思考を
しないのも同じだなあとアルベルトは今更ながらしみじみと感じてみる。
 
「何だ、アル」
 
「何だよお、アル」
 
「ピキー、おなかすいた、おにくのおだんごたべたい」
 
「……何でもないです」