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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 サマンオサ編

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その後、ジャミルのドラゴンキラーで止めを刺しボストロール戦は
無事終了となった。そして……、本物のサマンオサ国王も
漸く長い時を経て、地下牢から生還、救出されたのである。
 
 
……
 
 
本物の国王が救出された事でサマンオサは喜びと歓喜でいっぱいだった。
 
「お父さんが帰って来たんだよー!」
 
「有難う……、息子の仇をとってくれて……」
 
「もうコウモリやトカゲを料理しなくてもよいのですね……、
本当に良かった……」
 
「捕えられていた優しい母が帰ってきてくれましたわ……、
嬉しくてもう……」
 
「私は旅の詩人ですー、♪あー、よかったあ~、はるか
ロマリアのー、北東湖で死んだ~、サイモンのようにィー、
ならなくてー、あ~、よかったああー……」
 
「ちょっと待て!あんた今、サイモンて言ったな!?」
 
「ヒッ!な、何なんですか……、あなた達は……」
 
「私達、サイモンさんを探してるのよ」
 
「死んだのか……?もしかして……」
 
「あくまでも噂ですがね、ここの国の国王……、は、
偽物が化けていましたね、その偽物に追放され、ロマリアの
遥か北東の牢獄で朽ち果て亡くなったと云う話です……」
 
「……せっかくここまで来たってのに……」
 
「何だったらサイモンが送られた牢獄を探してみては?」
 
そう言って詩人は何処かへ歩いて行ってしまった。
 
「……」
 
「ジャミル……」
 
「探してみようか……、牢獄……」
 
「そうだな……」
 
「サイモンさん……、一体何をしたんだろう……」
 
「つ、つまみ食いとか……?」
 
「……」
 
「……君じゃないんだからさ、ジャミル……」
 
「なんだとお!?アルめっ!!」
 
「あ、いたいた!勇者殿!」
 
衛兵達が揃って此方へと向かって来る。
 
「ピキー!ボクたちをつかまえたおじさんたちだ!」
 
スラリンがぴょんぴょん飛び跳ねた。
 
「うわ!ま、またオイラ達を捕まえに来たのかなあ……」
 
「アホ!見てみろ、もう態度が違ってんじゃねーか!」
 
「その節は本当に失礼致しました……、どうか数々の
ご無礼をお許し下さい……」
 
兵士達がまたまた揃って一斉に4人に向って頭をぺこぺこ下げた。
 
「別にいいよ……、もう終わった事だし……」
 
「さあ、国王様がお待ちです、こちらへ……」
 
ジャミル達は兵へと案内され王座の間へと入っていった。
 
「……また再び此処に座る事が出来るとは……、お前達の
おかげだ、心から礼を言うぞ……」
 
「これ、アイツが持ってた」
 
「これはこの城の宝……、変化の杖だ、この杖を使って
あやつはわしに化けておったのだ……」
 
「良かったな、戻ってきて」
 
「勇者よ、この杖を貰ってはくれまいか?」
 
「え?」
 
「わしには必要の無い物だ……、もしかしたら何かの役に
立つ事が有るかもしれん」
 
「くれるんなら遠慮なく貰っとくけど」
 
「使い方は簡単だ、杖を振るだけで姿を変えられる」
 
「へえー……」
 
「勇者達よ気をつけていけ、余り無理はするな、旅の無事を祈っておるぞ……」
 
ジャミル達は国王に礼を言い城を後にした。
 
「……あの……」
 
若い青年がジャミル達に声を掛けてきた。
 
「先程、サイモンがどうとか話されていませんでしたか……?
私はサイモンの息子です」
 
「息子!」
 
「父は何処かの牢獄に入れられたと言う噂がありまして……、
私も父の行方をずっと探しているのですが……」


サマンオサの宿屋にて
  
ジャミル達はサイモンの息子の為にも何としてもサイモンの
行方を探し出す事に決めた。
 
「生きてるか死んでるか分んねえけど、海を探し捲るしかねえな……、
生きててくれりゃいいんだけどな……」
 
「そうだね……、何処かにサイモンさんが送られた牢獄が
必ずある筈さ……」
 
「くー……、くー……、むにゃ……」
 
「ん、アイシャ?」
 
ジャミル達が見ると、アイシャは一番最初にベッドに
横になって眠っていた。スラリンをしっかり胸に抱いて。
暖かいベッドの中、ほわほわで幸せそうな顔をしていた。
 
「アイシャってば、いつの間にか眠ってるし、幸せそうだよお」
 
「疲れたんだね、きっと……」
 
「う~ん、オイラも眠いよおー!久々の大バトルでオイラも
もう体力消耗……、あふ……」
 
そう言ってダウドもごろんとベッドにひっくり返ったきり、
そのまま眠ってしまった。
 
「ジャミルも早く寝なよ?、君も疲れてるんだから」
 
「うん?ああ……」
 
と、アルベルトには言ってみるが……。
 
 
そして、その夜……。皆が眠りについた頃、この男は……。
 
 
「へへ、いいモンくれたなーっと!」
 
ジャミル一人で起きていた。変化の杖で悪戯する為である。
 
「へーんしーん!」
 
ジャミルは変化の杖を使い、アルベルトの姿に変身した。
 
「うは……、すげえや、俺、マジでアルになってる!」
 
「……すー、すー……」
 
本物はすっかり爆睡中。
 
「俺……、じゃなくて、僕、元・貴族の息子アルベルトだよっ!
腹黒いよ!」
 
「うーん……」
 
「本当はこんな事も趣味でやってるのさ!えーいっ、土壌すくい!」
 
「……」
 
「暇なのでモダンバレー踊ります!♪ちゃーちゃららら~ちゃらっ
ちゃらー♪」
 
「……」
 
こんな風にして、本人が気づかず爆睡しているのをいい事に、
ジャミルは一晩中アホな事をしていた。
 
 
翌朝……。
 
「ジャミル起きなよお、出発するよー、もうお昼になっちゃうよおー」
 
「うーーっ……」
 
「起きないよお……」
 
「ジャミルも疲れてるのね……」
 
「……もう少しそっとしておいてあげようか……」
 
「くすっ、ジャミルったら……」
 
「あはは、ヘソ出してるよお……」
 
「zzz……、ステーキ……、うふう……」
 
と、仲間達は微笑ましい目でジャミルを見ていたが、
夜中に自分に化けて悪戯されていたと言う事実を
全く知らぬアルベルト。そして、船に戻ってもジャミルは欠伸ばかり。
 
「……ふぁああ……」
 
「そんなに眠いの?」
 
「うー……、だるだる……」
 
「はい、ホットミルクよ、目が覚めるわよ、お砂糖も
沢山入れたからね」
 
アイシャがジャミルにカップを差し出す。
 
「ああ、悪いな……、……ん~、美味い!」
 
甘くて温かいミルクを一口、口に入れるとほんのりと体も温まる。
 
「……はくしょん!はくしょん!」
 
と、ジャミルの横でダウドが急にくしゃみを連発しだした。
 
「おい……、風邪ひいたのかよ、うつすなよ……」
 
「違うよおー!なんか急に寒くなってきたんだよおー!」
 
「本当だね……、雪降って来たよ……」
 
アルベルトも少し身震いする。
 
「アイシャは大丈夫かい?」
 
「平気だよ、こいつ隠れ皮下脂肪が……がががががが!」
 
「……何か言った?ジャミル……」
 
そして始まるいつもの馬鹿バトル。ジャミルの口を
横に引っ張るアイシャ。本当にいつもと変わらない毎日である。
 
「あががががががが!」