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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 番外・恋するタマネギ編

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珍問題も漸く解決し、ジャミル達は船内の休憩室で
ワイワイ賑やかおやつタイムを楽しんでいる最中。
船は自動操縦で勝手に動くので楽チンである。
 
「ねー、アル、このお菓子なんだろう?美味しいかなあ」
 
アイシャは幸せそうに美味しそうなお菓子を見つめている。
 
「ああ、スコーンじゃないかな……」
 
「へえー、そうなんだ!町でお買い物したらどうぞって、
お店のおばさんがおまけでくれたんだけど……、本当に
焼きたてで美味しそうねえ!」
 
「ふふ、アイシャは徳があるんだよ」
 
アルベルトがニコニコ笑った。
 
「おい、アルよう!これあんまり味しねーぞ!」
 
野獣現る……。もうジャミルは早速スコーンに食いついている……。
 
「……そのまま食べても美味しいけど、結構味はあっさりだよ……、
相変わらず食い意地張ってるね、ジャミルは……」
 
「うるさい!」
 
「ほら、ジャム……、これをつけるともっと美味しいと思うよ」
 
「へえ……」
 
アルベルトがオプションで差し出したジャムをスコーンに
べちゃべちゃ塗り捲るジャミル。そしてそのまま勢いよく
スコーンに齧り付いた。
 
「……おー!本当だ、ジャムつけたら味変わった!」
 
スコーンに舌鼓、口の周り中ジャムだらけになり
ジャミルが目を輝かせる。
 
「……ハア……」
 
「……じゃあ、オイラはチョコクリームをつけて食べてみようか……」
 
 
         ……ピ~キ~……
 
「な……?」
 
「何だ……?」
 
スコーンを口に銜えたままぴたっとジャミルの手が止まった……。
 
「あ、スラリン……、お昼寝から目が覚めたんだわ、連れてくるね」
 
アイシャがとてとて船室へと走っていく。
 
「それにしちゃ……」
 
「ねえ……」
 
「馬鹿に声が枯れてた様な……」
 
男3人衆が顔を見合わせる。やがてスラリンを抱いたアイシャが
休憩室に戻って来た。
 
「はーい、スラリン連れてきましたー!」
 
「ビキ……」
 
「!?」
 
「おい……、スラ公どうしたんだよ!お前、頭のトンガリが
萎れて曲がってんぞ!」
 
「ビキ……?」
 
「……えっ!ホントだわ!気づかなかった……、立たせてあげないと……、
よいしょ……、えっ?えーっ!?立たないわ……」
 
「ビキー……」
 
「ど、どうしよう……、病気かしら……」
 
……もっとよく観察してみるとスラリンは異様にぐったりしている……。
 
「んな病気あんのかよ……」
 
「あーーのーーーねーーーえーーー」
 
やけに口調がスローモーションなスラリン。話を聞いている4人も
動きが鈍足になりそうだった。
 
「な、なあに?スラリン、どうしたの?」
 
「おねえちゃーーーん、ボーーークーーーねーーーえーー」
 
「……う、うんっ、うんっ」
 
「こいしちゃったのーーー……」
 
「……なーんだ、恋かあ……」
 
原因が分り安心した様に笑うアルベルト……。
 
「恋ねえ……、あはははは……!?」
 
 
             ……ブッ!!
 
 
ジャミルが勢いよく口から吹いたスコーンはジャミルの真正面の席に
座っていたダウドの顔にモロ直撃した……。
 
「……えーーっ!?」
 
「ぎゃー!顔が顔が~!スコーンまみれだよおー!!」
 
「は、はあ!?スラリン……、お前何言って……」
 
口元を服の袖で拭いながらジャミルが喚く。
 
「ボクもこいするんだもーん……」
 
「そっか……、スラリンも大人になったのよね!」
 
アイシャが嬉しそうにスラリンを抱き寄せた。
 
「……で、相手は誰なの?」
 
アルベルトが興味深そうに身を乗り出してくる。
 
「誰だ?誰なんだよ?」
 
「教えて!教えて!」
 
ジャミルとダウドも野次馬根性むき出しである。
 
「もう……、しょうがないんだから!皆して!」
 
まるでマスゴミ状態の男共にアイシャが項垂れる。
 
「……サマンオサのまちにすんでたホイミスライムさんな~の~……」
 
スラリンは赤くなり頭のトンガリはますますだらしなく曲がる。
 
「サマンオサにホイミスライムなんていたのか?」
 
「いや?気づかなかったけど、僕は……」
 
「そっか、その子に会いたいのよね!」
 
「ピーキー……」
 
「ねえ……、アル……」
 
訴える様な眼差しでアイシャがアルベルトを見た。
 
「……分った、行くんだね?サマンオサに……」
 
「アル!」
 
アイシャの顔がぱあっと明るくなる。
 
「……ま、俺もどんなモンなんだか少しは興味あるし」
 
ジャミルが頬をポリポリ掻く。
 
「息抜きにはなると思うよお、何せこの間の偽王様騒動で町も
ゆっくり見られなかったし……」
 
「ジャミルもダウドもありがとう!」
 
「んじゃ、又行くか!サマンオサに!」
 
 
……そう言う訳でジャミル達は再びサマンオサへ訪れる。
 
「わあ~、以前と比べると町がとっても明るくなってるわ!」
 
「で、その……、お相手さんつーのは何処にいんだ?」
 
「……ピーキー……」
 
スラリンはトンガリをくねらせたままモジモジしている。
 
「……ピーキーじゃ分んねえだろが……、ほら、教えろよ、何処だ?」
 
「きょうかいの……、シスターさんの……おうち……」
 
「教会か、よし行ってみよう!」
 
彼も気になる様で……、アルベルトが促す。
 
「それにしてもいつの間に城下町へ行ったの?意外と
抜け目ないんだね、スラリンて……」
 
「ピキ?」
 
スラリンの方を見てダウドが笑った。……しかし、そんな
和やかな雰囲気をぶち壊す事態が……。
 
 
「……誰か……!誰か来てーーっ!!」
 
 
「何だあ?」
 
「ビキー!!きょうかいのほうだ!!」
 
「……大変っ!!」
 
「急ぐぞ!!」
 
「!?あ……、ちょ、ちょっと待ってよー!全くもう……、
どうしてこう……、次から次へと……」
 
走って行ってしまった3人の後をダウドがしぶしぶ追った。


「……うう……」
 
「ああ……、どうしたら……、お願いします、誰か来て下さい……」
 
「どうしたんだ!?」
 
「ああ!あなた達は……!」
 
ジャミル達が教会へと辿り着いた直後に見た光景は床に倒れている
シスターと必死にシスターを介抱している女性の姿であった。
 
「動かさないで!……大丈夫、今、回復魔法を掛けますから……」
 
アルベルトがシスターの胸に手を当てべホイミを唱える。
 
「シスター様……」
 
「もう大丈夫……、さっきまで呼吸が荒かったけど
落ち着いたみたいだ……」
 
「あああ……、有難うございます……!」
 
「このまま静かにベッドへ移そう、ジャミル、ダウド、手伝って……」
 
「はいよ」
 
「はーい」
 
男衆がシスターをベッドに運び、アイシャ、スラリン、
そして教会に訪れていた女性はシスターを静かに見守る……。
 
「それにしても……、酷い事するわね、一体何があったのかしら……」
 
「ピキイ……」
 
「……私が教会に来た時にはもう……、シスター様が倒れていて……」
 
「……ピキ……」