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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 番外・恋するタマネギ編

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スラリンもかなりそわそわして落ち着かない様子。
 
「……う、ううう……、此処は……」
 
意識の無かったシスターが漸く目を覚ました。
 
「……シスター様!!」
 
「わ……、私は……」
 
「この方達が助けて下さったのですよ、本当に良かった……」
 
「一体何があったのですか……?」
 
アルベルトがシスターに状況を心配そうに尋ねた。
 
「……ハッ……、そ、そうだわ……、お願いです、あの子を、
あの子をどうかお助け下さい……」
 
「ピキッ!?」
 
「あの子って……」
 
ジャミルが訪ねるとシスターは下を向いて顔を曇らせ、
ゆっくりと話しだした。
 
「ホイミスライムのスラミィです……、私の夫は偽の
国王によって無実の罪を着せられ、……そして処刑されました……、
絶望しかけ、生きる希望を失っていた私の前にふとあの子は
現われました……、あの子はモンスターなのに人の言葉を
理解出来る様で……、いつも側に居てくれて夫を失った私を
いつも励ましてくれたんです、とても気持ちの優しい子なんです……」
 
「シスターさまあ!!」
 
「……まあ!」
 
「ボクもスライムだけどみんなとおはなしできるんだよー!」
 
「スラリンたら……、驚かせちゃ駄目よ!」
 
意識が戻ったばかりのシスターをあまり刺激しない様、
アイシャが注意する。
 
「ピーキー……」
 
「……そのホイミスライムに何かあったんだな……?」
 
「……何者かに突然襲われ……、私は後ろから棒の様な物で
頭部を殴られました……、恐らく教会の寄付金が目当て
だったのでしょう……」
 
「まあ……、何て事を……!」
 
「酷いわっ……!」
 
「薄れゆく意識の中でうっすらと覚えているのは……、
数人の男達の笑い声と……、あの子の悲鳴……」
 
「!!」
 
……思い出したのか、シスターは目に涙を浮かべ、シスターの
表情を見たアイシャが口に手を当てる。
 
「私はあの子を神様の思し召しと思い、実の自分の子の様に
大切に思いながらどんな時も支えあい、共に暮らしてきたのです……、
もしもあの子に……、何かあったら……、もしもの事があれば……」
 
「……シスター様……」
 
シスターが顔を覆ってわっと泣きだした……。
 
「ジャミル……、アル、ダウド……」
 
「ああ、判ってる……」
 
「行こう!」
 
「だよお!」
 
アイシャの顔を見てアルベルトとダウドも強く頷く。
 
「シスターさん、後は俺達に任せとけ!こう見えても俺達は
冒険者なんだ、必ず……」
 
 
「……ピーーキーーイーー!」
 
 
「……あら……?」
 
「スラリン!!」
 
スラリンが丸くなって飛び跳ねながら外へ飛び出して
行ってしまった。
 
「……こ、こら!待てスラリン!!」
 
慌ててスラリンを追ってジャミルも外に飛び出して行く。
 
「シスター様、大丈夫ですよ、必ずスラミィちゃんを
連れて帰ります!」
 
「……どうか……、お願い致します……」
 
「さあ、僕らも行くよ、アイシャ、ダウド!」
 
「ええ!」
 
「う、うん……」
 
「ああ、神様……、どうか皆様をお守り下さい……」
 
 
「待てっての!何一人で興奮して鼻息荒くしてんだお前は!!」
 
(て、言うか……、鼻があるのか……?)
 
「ピキィィー!!」
 
「ジャミル!」
 
「おー、皆!丁度良かった!コイツ何とかしてくれよ……」
 
「ピキッキィ!!」
 
「……スラリン、気持ちは分るけど……、後は僕らに任せて
スラリンはシスター様の処で待っててくれるかい?今回は
少々危ないかも知れないんだよ……」
 
スラミィの誘拐犯はもしかしたら4人と一緒にいる
スラリンも狙って来るかも知れない。そう考えると此処で
シスターと待っていた方がいいとアルベルトも皆も考えたのであるが。
 
「ピキー!みなみのほうからスラミィちゃんのニオイがする!!」
 
(だから……、鼻があんのかよ……)
 
「……ん~と、南って言うと……」
 
ダウドが考え込む。
 
「確かラーの鏡があった洞窟の方よね、……もしかして
そこにスラミィちゃんが……!?」
 
「とにかく行ってみるか!」
 
「ピキっ!!」
 
「スラリンは駄目だったら!本当に今回は危ないのよ!
お願い……、判って……」
 
「……ジャミルう、おねえちゃん、おねがい、ボクも
スラミィちゃんたすけにいきたいの……」
 
「スラリン……」
 
「ピキィ……」
 
「……分った……」
 
「ピキ!?」
 
「その代り、何があっても絶対に俺達から離れるんじゃねえぞ、
分ったな?」
 
「ピキっ!ジャミル、うんっ!」
 
スラリンがジャミルの顔を見て目を輝かせ、ぴょんぴょん
飛び跳ねる。いつも洞窟などにスラリンを連れていく場合、
スラリンはモンスターの所為か普段は同系のモンスターには
狙われる事は少ない。……だが今回は欲にまみれた心無い
凶悪な人間が相手である。……何が何でもスラリンを
守らなければならない。
 
「アイシャ、スラリンしっかり抱いてろよ!」
 
「分ったわ!」
 
「……仕方ない、行こう!」
 
「うう~……、結局いつも騒ぎに巻き込まれるんだよね……、
とほほ……」
 
項垂れるダウド。この話で騒動が起きない筈はないのであるからして。
4人と1匹は再びサマンオサ南の洞窟へと急ぐのだった。


4人は再度南の洞窟へ……。洞窟の前に立つジャミル。
思い出した様に言葉を漏らす。
 
「……ここって嫌な事思い出すな……、ケツ噛まれたり……、な」
 
「それは君だけだから……」
 
「……」
 
アルベルトに突っ込まれジャミルが押し黙る。
 
「ピッキピキー!!スラミィちゃーん!!」
 
「コ、コラ……!静かにしてろよ!」
 
「スラリン駄目よ、いい子だから……ね?」
 
「……ピキー……」
 
「こんな広い洞窟の中、また探し回るんだあ……、うう~……」
 
ダウドががっくり肩を落とす。
 
「とにかく奥へ進んでみよう……、まだ行ってない場所も
あるかも知れない……」
 
アルベルトが先に歩き出し、4人は洞窟の中を進み始めた。
 
「……」
 
「ん?スラリンどうした?」
 
「ニオイがどんどんちかくなってる、スラミィちゃんのニオイと……、
なんだかとってもいやなニオイ……」
 
「敵が近くにいるんだわ!」
 
「皆、戦闘準備しとけ!」
 
アルベルト達が頷く。……と、変な声が……、洞窟の奥の方から
聴こえてきた。
 
「のねー、のねー、なのね~♪」
 
「?」
 
「……何だ?……」
 
「ジャミル、あれ……」
 
ダウドがそっとジャミルの肩をつついた。
 
大きな地底湖の傍で変な顔の男が3人集まり騒いでいる。
……男は3人とも同じ様な顔をしており、誰が誰だか
見分けがつかない……。
 
「やったのねー、アニキー、今日は大収穫なのねー!」
 
「ホントなのねー!お金もいっぱいなのねー!」
 
「ついでにホイミスライムまで捕まえちゃったのねー!」
 
「でもはぐれメタルじゃないと価値ないのねー!」
 
「いいのねー!こんなモンでもサーカスにでも売り飛ばせば