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晴れのハレの日

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(…久しぶりに来たな。)

達哉はそう思いながら、クレール・ド・リュンヌの建物の前で少し立ち止まっていた。

クレール・ド・リュンヌは静かで落ち着いた雰囲気のレストランで、どちらかというと夜に食事に来る客が多そうなイメージだが、今は昼間の時間で晴れており、眩しい太陽光がその建物を明るい雰囲気に変えていた。

今日は達哉の誕生日で、このレストランで誕生日会を兼ねて皆でランチをすることになっていたのだ。
このお店には、達哉が食事の目的で入ることはあまりなかったが、武器を購入するために度々寄っていた。
そして店主のギャルソン副島とは、度々世間話をしていて顔馴染みの関係になっていたのだ。

ガラン、と言う音と共に、扉を開ける。
ちょうど入り口近くのカウンターに立っていたギャルソン副島と目があった。

「周防さん、いらっしゃいませ。…お元気そうですね。」
「あぁ。最近は悪魔も強くなってきているから、こまめに街に戻って回復するようにしていたんだ。
「悪魔も軍隊も襲ってくる世の中ですからね。無事が何よりですよ。…それでは、お席にご案内いたします。」
達哉は頷き、ギャルソン副島の後に着いていった。

「こちらのお席でご用意しております。」
そう言って、広めのテーブル席に案内された。

「あ!達哉君来たわね!」
舞耶姉が達哉が近くにきたタイミングで気がついた。
席には舞耶姉、永吉ことミッシェル、淳がすでに座っていた。後はギンコと、ゆきのさんと吉栄杏奈も来る予定になっている。

どうやらミッシェルがガスチェンバーの曲について話していたタイミングだったようだ。
そして、少しするとギンコが現れた。
「お待たせ〜!色々準備してたら時間かかっちゃった。」
「リサちゃんチャ〜オ。私達もさっき来たところよ。」
確かに、今日のギンコは服装がワンピースで、なんとなくいつもより気合いが入っているようにも見えた。

その後、ゆきのさんと杏奈が到着した。
「みんな、久しぶりだね。」
「あ、ゆきのさん…こんにちは。」
淳が挨拶した。
「久しぶり。どうやら私達が最後みたいだね。」
「……少し、道に迷った…。」
堂々とした雰囲気のゆきのさんと、対照的に杏奈が静かに呟いた。

今日のランチはコース料理らしいことは聞いていた。メインディッシュは秘密らしい。

その後、雑談を楽しみながら前菜やスープ等の料理が運ばれてきたので食べ始めた。

そろそろメインの料理が来るかもしれないとと思いながら、雑談を楽しんでいる時だった。

ギャルソン副島が、料理を持ってこちらに歩いてくる。そして、達哉の前にお皿が静かに置かれた。
白い大きめなお皿の真ん中に、ほどよい大きさの肉の塊が乗っている。美味しそうな香りと共に。
もしかすると、これは…

「本日、周防様のお誕生日という事で、メインディッシュにこちらのレアステーキをご用意いたしました。」

「……!!」
血が喜びでざわめいた。
「いい….のか…!?」
興奮してしまう。どこから自分の好物が伝わったのかは不明だが。
「はい。」
ギャルソン副島は口角を少しあげて静かに微笑んで戻っていった。

「達哉君、冷めないうちに食べちゃいましょう!」
舞耶姉がにっこり微笑んでいる。他の皆のところにもそれぞれステーキが配られていた。

美味しそうだと思ったレアステーキは想像した通り美味しくて、元気になっている気がした。


その後も、デザートまで食べ終えて、のんびり話している時だった。
「…達哉。」
「何だ?」

「実は皆から、プレゼントがあるんだ。」
そう言って、淳が紙袋の中から何かを取り出そうとしている。

ギンコが、
「選んだのは淳のセンスなんだよー!」と言っている。

そうして取り出されたのは、ブーケだった。
赤い花と、薄いピンクのような薄い紫色のような2種類の花が混じっていた。

「これはね、達哉の誕生花なんだ。
こっちの赤い方がゼラニウムで、こっちの少し細長い薄紫の花がたくさんついているのがハナトラノオって言うんだ。」

「……。」
言葉を失った。
驚きと、感動と、花の存在感に見とれた。

「花言葉はね、ゼラニウムが『真の友情』、ハナトラノオが、『望みの成就』と『達成』なんだ。」

「…ありがとう。」
そう言って、ブーケを受け取った。

「ふふ。すごいよね。過去にあんな事があったけれど、仮面党ごっこの皆で再び集まることができて、前みたいに仲良くできているんだもん。」
「…そうだな。」
達哉はアラヤ神社での過去の思い出を思い出していた。
…そして、シバルバーの散策途中で現れた思い出によって、アラヤ神社に願いを叶えるご利益があるのも知った。

「…望みの成就か…。偶然かはわからないが、噂が現実になる今の状況と似てるな。」

舞耶姉はふふっと笑っている。
「でも、悪いことだらけじゃないわ。いい噂も広まれば、現実になるはずだもの。
ちょっと街の人たちは他の事に関心が向いちゃって、そういう噂は広まりにくい感じみたいだけど…
こういう時こそ、レッツ、ポジティブ・シンキングよ!」

「まぁ、この死神番長ミッシェル様がいれば、何も心配いらないぜ、ホォォォォォウ!」
「パンツのことはほっといて…今まで色んな敵を倒して来れたんだもん!きっと元の世界に戻せるよ!みんなで最後の敵も倒して、また仮面党ごっこの続きしようね、情人!」

「…そうだな。」

「おーい、私らのこと忘れていやしないかい?」
舞耶姉がゆきのさんに話しかける。
「もちろん忘れてないわよ!ユッキーもカラコルまで一緒に戦ってたもんね。ありがと!」
今度は淳が話しかけた。
「ゆきのさん、そういえば、ゆきのさんから受け継いだ僕のペルソナ、クロノスっていうペルソナになったんです。」

そうしてわいわい話した後、ゆきのさんの持ってきたカメラで、皆で写真撮影をした。
撮り終わった後、ゆきのさんが写真の現像が終わったら皆に後日配る事を伝え、その後達哉の近くに来て話し始める。

「ラスト・バタリオンやイデアリアンだけでなく、なんか最近はグランドクロス?とかいうのも流行ってきているみたいじゃないか。」
「ああ。地球の自転が止まるっていうやつだな。」
「世界の崩壊なんて起こさせやしないよ。皆でここまで色々倒してきたんだ。きっと元通りにできるはずさ。…杏奈も、前よりいい表情するようになったしね。」
そう言って、隣にいる杏奈に笑顔を向ける。
「…ゆきのは、私が守るから安心して…。」
杏奈はぷいっと背を向けてそう言った後どこかに歩いていってしまった。

その後、店を出ることになり、ブーケを家に置きに帰った。
部屋に花瓶を用意して飾った後、達哉は家を出た。
兄の克也はまだ帰ってきていなかったが、こういう日には家でケーキを作る可能性が高い…というより、きっとそうなるだろう。
家にいるとたぶんつかまる。
バイクで走り出した。

作品名:晴れのハレの日 作家名:きまま