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晴れのハレの日

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雑木林の近くにバイクを停め、中に入ってしばらく歩いて行く。
周りを見て、誰もいないのを確認すると、達哉はものまねの練習に取り掛かった。

バイクの音、工事現場、戦闘機の音のものまできるが、今は、新たに飛行機の音のものまねに挑戦していた。

「シュオオオオオオン!!」

………まずまずだな。
しかし、前にやってみた時よりは、近づいた気がする。

達哉はさらに奥に進んでいき、適当に座れそうな切り倒されている切り株に腰を下ろした。
…美味しいレアステーキだった。

なんとなく気分が良かったので、持ち前の歌を歌い出した。
「…ぺるぺるぺーるそなーー。」

しばらく口ずさんでいると、サク、サクッと足音が聞こえ、近づいてきた。悪魔の気配だ。
達哉は立ち上がり、刀を引き抜いて構える。

木の後ろ側から、青いギザギザの頭巾が見えた。

「ヒホ?」

「…なんだ。ジャックフロストか…。」
「なんだとはなんだホー!
なんか聞こえたから、面白いことがあるかと思って気になって来てみたんだホー。」
ジャックフロストは今の歌について気になっているようだった。
「さっき歌ってたのは、初めて聴いたホー。なんの歌なのかホー?」

「あぁ。あの歌っていた歌はペルソナ音頭だ。俺の持ち歌なんだ。」
「ヒーホー…!!」

ジャックフロストは感激しているようだった。
「人間は色んなことができるんだホー!」

「…そう言えば、この前ギガ・マッチョでこんなCD見つけたぞ。」

達哉がカバンから取り出したCDの表面には、
ジャックフロストの絵柄と、キャラターズファイルという文字が見受けられた。

「これはお前の知り合いだったりするのか?」

「違うホー。知り合いではないけれど、きっとどこかにいるおいらの仲魔だホー。
…それにしても、人間界でデビューするなんて、度胸あるホー。」

「…税込1362円だそうだ。」

「ホー…!人間、取引だホー。
おいら人間界のお金持ってるから、CDと交換したいホー!!」

「…いいだろう。」

「ありがとホー!」
ジャックフロストから受け取ったお札には若干霜がついており、小銭はやけに冷えていた。
「わーい!仲魔に自慢するホー!!
それじゃあ、おいらそろそろ帰るホー!!
バイバイだホー!!」
「…暑いから、溶けないように気をつけろよ。」

達哉は時間を確認した。夕方になっていた。
「そろそろ帰るか。」


自宅に帰ってドアを開けた。すると…
「達哉!こんな時間までどこに行っていたんだ!」

…バタン。
開けたドアを閉じた。ちょうどあのタイミングで、兄の克也が家の中の玄関前を通るタイミングだったなんて。そしてたぶんあのままだと捕まって厄介なことになりそうな気がした。

甘いケーキの匂いが、ドアを開けた瞬間漂っていて、たぶん手作りしたんだろうと思われた。

…もう少し、外をうろついてから帰ろう。
ケーキは食べようと思うが、今は間が悪い。
そう思って、達哉は街の方へと歩き出すのだった。
作品名:晴れのハレの日 作家名:きまま