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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 オリビア&エリック編

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辺りに優しい光が溢れ出し周りを包み込んでいく。
 
「見える……?」
 
「ああ、俺にも見えるよ……、あの二人の幸せだった頃が……」
 
そして……。
 
「……ジャミル……、あれ誰?宙に浮かんでる……」
 
寝ぼけ眼でダウドが目をこする。目を凝らすと確かに
其処にいたのは……。
 
「……もしかして……、エリックなのか……?」
 
「ええーっ!?あの人があーっ!?」
 
ダウドがオーバーリアクションでおったまげた。
 
 
オリビア……、やっと会えた……、もう離さないよ……、
二度と離すものか……!!
 
ああ……、エリック……、会いたかった……!!私……、
あなたの事を誤解していたの……、本当にごめんなさい……!!
でも私……、あなたの事を思わない日は一度だって……なかった……
 
 
二人は手を取り合い、くるくる回り……、そして硬く抱き合う。
長い間引き離されていた悲しき恋人達が遂に漸く再会を果たす。
 
 
エリック……!!
 
オリビア……!!
 
 
「……エリックさんのペンダントを通じて……、
二人は再会出来たんだね……」
 
二人の姿を見守っていたアルベルトがしみじみと呟く。
 
「……うん、良かった……、良かったね、ね……、ジャミル……」
 
「ああ……」
 
涙を溢したアイシャをジャミルがそっと側に抱き寄せた。
 
 
      ……ありがとう……
 
 
二人はジャミル達に礼を言い天へと昇天した……。
 
「……もう2度と離れちゃ駄目だよ……、生まれ変わっても
ずっと一緒にいて……、ね?」
 
明るくなった空を見上げて涙交じりにアイシャが呟いた……。
 
「よかったあー!これで一件落着だねえ、♪うーん、岬も
やっと通れるよおー!」
 
「ピキッキー!やったー!」
 
嬉しそうにダウドが甲板を踊りまわっている。ついでに
スラリンも真似し、飛び跳ねて喜んだ。
 
「……たく……、何もしてねーくせに……」
 
「そ、それは言わないでえー!!」
 
「……?あ、あれー?れれれー?」
 
急にジャミルが勢いよくその場にひっくり返り、
ぶっ倒れた……。
 
「……ジャミル?」
 
「どうしたのっ!」
 
アルベルト達が急いで駆け寄るが、ジャミルは顔が真っ青で
痙攣を起こし掛けていた。
 
「……心配すんな、いつものだからよう……」
 
「あ、ああ……、判ったよ……」
 
真面目でシリアスに耐えられないジャミルが限界で
貧血を起こしたのである。……ジャミルはそのまま
ぶっ倒れたまま船室のベッドへと運び込まれた……。
 
 
……
 
 
そして、漸く岬も無事越え、落ち着いた一行は
とりあえず今日は岬の近くに船を留め、一夜を超す事にした。
 
「……はあー……」
 
アイシャは船室でベッドに座り頬杖をついて
ずっと考え事をしていた。
 
「……素敵だったなあ、エリックさんとオリビアさん……」
 
エリックとオリビア、大人の恋愛にずっと心がときめいて
ドキドキしている。
 
「私もいつかはジャミルと……、大人の雰囲気が漂う
二人になれるのかなあ……?」
 
 
アイシャ……、愛してるぜ……、ずっと離さないからな……
 
ああ……、ジャミル……、私もよ……
 
 
「……なーんて……、きゃーっ!!きゃーっ!!うふふふっ!」
 
「ピキー?」
 
枕をばしばし叩いて一人で興奮し妄想するアイシャをスラリンが
不思議そうに眺めていた。その直後の事だった。
 
 
「……ジャーミールーううう!!」
 
 
廊下にダウドの絶叫が響き渡り、一体何事かと、アイシャは
慌てて船室を飛び出る。
 
「……ダウド?」
 
「あ!アイシャあ!聞いてよおー!!」
 
「どうしたのよ?」
 
「オイラのおやつのヤッチャンいかをジャミルがぜーんぶ
食べちゃったんだよお!」
 
「や……、やっちゃん……?」
 
「ねえ……、ジャミルがこっちに逃げて来なかったかい?」
 
「ど、どうしたの……、アルまで……」
 
「やられたんだよ……、ポルトガで買った限定版の
ポッキーを……、全部食べられた……」
 
「……」
 
「あ、いたっ!」
 
「……やべっ!」
 
「待てえーっ!!ジャミルーっ!!」
 
「オイラのヤッチャンいか返せーーっ!!」
 
「ピキー!ボクもおいかけっこするー!」
 
……スラリンまで加わり、アルベルトとダウドはジャミルを追掛けて
船内の廊下をドタドタ駆け回る……。ジャミル本人は懲りておらず、
又休憩室に入ったかと思いきや、今度は塩煎餅を銜えて頭ポリポリ、
休憩室からのっそり出て来た。そして、アルベルトとダウド、二人が
いないかキョロキョロ確認、欠伸をし、スタコラ逃走する。
……まるで白黒の喜劇映画の様な光景だった。
 
「……」
 
アイシャが夢見る大人のムードの二人には一体
何時になる事やら。これではまだまだ遠い様である。
 
「……ふーんだ……」