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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 ネクロゴンド編

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次の日、漸く岬を越えた4人は小さなほこらの有る島を見つける。
 
「あ、ほこらだね……」
 
「よし、行ってみっか!」
 
4人とスラリンはほこらへと入る。……ほこらの内部は
牢獄へと続いていた。
 
「なんか……、やけに淋しそうなところだねえ……、
牢屋がいっぱいあるし…」
 
周囲を見て歩きながらダウドが不安そうな声を出す。
 
「……嫌な臭いもするわ……、何なのかしら……、臭いわ……」
 
「あ、バレた?」
 
 
「……」
 
 
「悪ィ……」
 
暫しの間沈黙が流れる。ジャミルが頭を掻いた。
 
「あのねえ……、君はさあ……」
 
アルベルトがいつも通り、スリッパの準備をしようとした、その時。
 
 
……此処は淋しいほこらの牢獄……
 
 
「……ひゃあっ!?」
 
「おい……」
 
突然ダウドがジャミルにしがみ付く。……どうやら此処の
牢屋で亡くなった人の魂なのだろうか、が、おり、
ぽつんと一言言葉を漏らし、……そして消えた。
 
「……あ、あれ!見て!」
 
アイシャが何かを指差さす。話題が反れアルベルトの
スリッパ攻撃から逃れ安心するジャミル。
 
「今度は何だい、どうしたんだよ……」
 
「あそこの牢屋の中に……」
 
「は?あ……」
 
アイシャが指差した牢屋の中に大人の男の骨らしき屍が
横たわっていた。
 
「どうしてこんな事を……、酷い……」
 
 
勇者ジャミルよ……、待っていたぞ……
 
 
「え?え?え?だ、誰……?」
 
 
私はこの屍の主、サイモンだ……
 
 
「!」
 
突如、牢屋の中に入り口付近で現われたのと同じ、
無念の魂がぽっと現れる。この牢屋の屍の主、
……サイモンである……。
 
 
「まさか……、あんたが!?」
 
サイモンの魂がジャミル達に話しかけてくる。牢獄へと
送られたサイモンはやはりもう力尽きて既にこの世には
いなかったのである。
 
 
私の屍の側を調べよ……
 
 
サイモンに言われるまま、屍の側に有るベッドの下を
調べると錆びた剣が置いてあった。
 
「これか……?」
 
 
そうだ、……そのガイアの剣を火山の火口に投げ入れるのだ……、
私の無念を晴らしてくれ……
 
 
「なあ、あんたは何で……」
 
 
私は昔、お前の父親と良き友でありライバルだった……
 
 
「おい……」
 
困った様にジャミルがアルベルト達を見た。
 
「パ……、パラレルだから……、パラレル……」
 
 
お前の父親と共に誓い合ったのだ……、一緒にバラモスを
倒そうと……
 
 
「ほへ……」
 
 
しかし心変わりしたサマンオサの王によって私は国を
追放され……、此処に閉じ込められた……
 
 
「ほへ……?」
 
 
あの頃は楽しかった……、共にオルテガと過ごした日々を思い出す……
 
 
「ねー、ねー、ジャミルの父親ってポカパマズって
言うんじゃないの……?」
 
「……偽名だよ、偽名……、身分を隠してたんだよ……」
 
「……おやじ……、親父……、おやじ……、うーん!
……わかんねえ~っ!!」
 
……ふとジャミルの頭に髭の生えた見知らぬおっさんと
サイモンがお花畑で手を繋いで走っている変な光景が浮かんできた。
 
「気持ち悪ーーーっ!!」
 
「どうしたのさあ、ジャミル!しっかりしてよお!」
 
「でも、どうしてあなたはジャミルがオルテガさんの
息子だって分ったの?」
 
 
顔がそっくりだからだ……、君は本当にオルテガに良く似ている……
 
 
「……うふふ……、うふふ……、うふ、うふふ……」
 
ジャミルが変顔になり、発狂しだした。
 
「それは僕の……、特技なんだけど……」
 
「少し落ち着いてよお!!ジャミル!!」
 
「今、オルテガさんは何処にいるんですか?」
 
 
……バラモスを追って……、行方はわからない……、
噂ではネクロゴンドの火山に落ちたとも……
 
 
「そうですか……、教えて下さってどうも有難うございます……」
 
アルベルトが丁寧に頭を下げた。
 
 
それではこれで私は消える……、後は頼んだぞ、勇者達よ……
 
 
サイモンの魂はそれだけ言うと牢屋からふっと消えた。
 
「……」
 
此処にはもう用はない。ジャミル達は祠の牢獄を後にし、
船へと戻った。亡くなったサイモンの冥福を祈りながら……。
 
 
……
 
 
「アイシャ、ジャミルは?折角お茶も淹れてあるのに……、
冷めちゃうね」
 
船へと戻ったジャミル以外の3人はネクロゴンドに
着くまでの間、休憩室でお茶タイム。今日のおやつは
シンプルなプレーンクッキーである。
 
「……アル……、それが……、戻って来るなり部屋に入ったきりよ、
呼んでも出てこないのよう……、暫く一人にしてほしいって……」
 
「そう……、珍しいね……、おやつも食べたくないなんて……、
何があっても食べる事だけは欠かさないのに……」
 
呟きながらアルベルトがクッキーを口にほおり込む。
 
「何落ち込んでんのさあ?オルテガさんの事?お父さんが
いたんだからいいじゃない?」
 
「ピキキー」
 
「いや、滅茶苦茶な設定に苛苛してるらしい……」
 
「……」
 
「おねえちゃん、こんどはボクがジャミルみてくる」
 
「スラリン、駄目よ……」
 
「ピキ?」
 
「……今はそっとしておいてあげよ?」
 
「うん……」
 
 
その頃のジャミルはと言うと……。
 
「バラモスの野郎と戦う前までに腹ごしらえして体力つけておかねえと……」 

単純なアホなのでもう立ち直っていた。
 
「ジャミル……、入るわよ……?」
 
心配したアイシャが再度様子を見に来るが。
 
「……こ、こら!ノックぐらいしろ!!」
 
「……」
 
アイシャが船室のドアを開けると、大量の焼き芋を
一人でがつがつと食べているジャミルの姿が。見てしまった
アイシャは一瞬固まる……。やはり食べる事に関しては
心配要らなかったらしい。
 
「何……、このお芋の山……、一人で食べてたの?
もうっ、こんなに食べたらまた爆発するじゃないの!
一体何処でこんなに……」
 
腰に手を当て、アイシャがジャミルにめっ!する。
……おなら大爆発の心配をしているらしい。
 
「……苛々したら猛烈に腹減ったの……」
 
「とりあえず元気になったのね……?」
 
「はい……」
 
「じゃあ、いこ、準備しなくちゃ、もうネクロゴンドの
火山付近に着くみたいよ……」

船を留め、4人は魔王バラモスが君臨している地、
ネクロゴンドへと上陸する。決戦の時、いよいよ近し……。
目の前に立ちはだかる大きな火山を目の前にした4人……。
 
「それにしても大きい火山だね……」
 
「うん、今にも噴火しそうだよお……」
 
「……うん、怒った時のアイシャそっくりだな……」
 
「……何よーっ!!」
 
「イテテテテ!」
 
「いいから……、早くガイアの剣を入れて……」
 
又アイシャを構うジャミルにアルベルトが注意。
アイシャに殴られたジャミルが
口を尖らせ火口にガイアの剣を投げた。
 
「あ、道が……」
 
火山が噴火し、近くの川が埋まって通れる道が出来る。