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七月七日 夏々
七月七日 夏々
novelistID. 6875
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人は変わると言うけれど1

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「久しぶりネ、レイ!それにバイフーズの皆モ!!」
「マックス!!」

大ホールの扉を開けて中に入ってすぐに聞こえた懐かしい声に、レイが嬉しそうに破顔した。



木ノ宮タカオを始めとした、火渡カイ、金李、水原マックス達『ベイブレード界の黄金期メンバー』と呼ばれた者達が、普通に大会に出なくなって数年が経ったある日のことだった。
BBAの大転寺会長の提案で、交流の少なくなりつつある彼らが一堂に会するパーティーを開く事になった。
とはいえ、彼らのバトルは周囲への被害が甚大な為、バトルはなしだが。

「それにしてもそうそうたる顔ぶれだな」

レイの言う通り、会場となったホテルの大ホールは、今や伝説と化している嘗ての黄金期メンバーがほとんど揃っているという凄い状態だ。

「確かにネ〜〜・・・まさかユーリ達まで来るとは思わなかったヨ」
「フン、まぁたまの息抜きには丁度いいだろう。ちょうど、都合も付いたしな。バトル抜きと言うのは、いささか残念だが」

後ろから唐突に聞こえた言葉に振り返ると、そこには元ボーグのユーリ・イヴァーノフの姿が。
彼もまた、以前よりも大分大人びており、長身の痩躯に黒いスーツがよく似合っている。

「それにしてもやはりというかなんというか、火渡の奴は不参加なんだな。木ノ宮が不参加と言うのは珍しいが」

ぐるりと会場を見まわしたユーリが少しばかり驚いた顔で言った。
そう。
その黄金期メンバーの顔触れの中に、木ノ宮タカオと火渡カイの顔はなかったのである。
しかし、それに対してマックスは自信満々に言い放った。

「No problem!タカオは勿論だけど、カイも来るよ、絶対!連れて来てね、ってカイが唯一絶対に言う事を聞く人に頼んでおいたカラ☆」
「・・・・は?そんな奴いるのか、あの火渡に?」
「あぁ、なるほど。それなら大丈夫だな」

困惑するユーリと対照的に、レイは納得顔だ。

「一体誰なんだ?あの火渡に言う事を聞かせられる強者は」

この数年で大分性格が丸くなったのだろうか、ユーリが少しばかり興味深そうな顔で聞く。
いつの間にか、周りの者達も聞き耳を立てているらしかった。
そして、次の瞬間、マックスの爆弾発言によって、この会場は混乱の渦に巻き込まれる事となる。

「カイのカ・ノ・ジョ・さん、だヨ!」

ピシィッという音が聞こえそうなくらい、参加者たちは一気に固まった。
平然としているのは、この場にいる元BBAメンバーのレイとマックスだけだ。
ちなみに、本日都合がつかず、もしくは連絡がつかずで不参加の、元BBAレボリューションのメンバー、キョウジュ・大地・ヒロミも知っている。




そのまま、間。








更に間。







そしてきっかり一分後。

「「「「「「「「「「はあああぁぁぁああぁあああぁぁああああ!?!?!?!?!?」」」」」」」」」」

レイとマックスが咄嗟に耳をふさぐのと同時に、会場のあちこちから、復活した人々による、素っ頓狂な叫び声の大合唱。
未だにちらほらと、何人かは復活できずに固まっている。
ちなみに、マックスから爆弾発言を引き出したユーリは、前者だ。

「あの、火渡に、か、彼女だとぉ!?」

あまりの衝撃で、普段のユーリのポーカーフェイスは完全に崩れ去り、驚きを前面に押し出した表情をしている。

「ちょ、レイ、オレそんな話聞いたこともないんだけど!?」
「へぇ・・・彼、相当なベイバカだと思ってたんだけど・・・彼女を作る甲斐性、もってたんだ・・・・」
「ていうか、あのベイバカについていける女がいる事に驚きだぜ。一体どんな女で、あれのどこが良くて付き合っているのかってのがすげぇ気になる」

ライはレイに詰め寄り、いつの間にか近くに来ていたブルックリンはどこかズレた感のあるコメントをし、リックは驚きに見開かれた目はそのままに眉を寄せるという器用な表情をしている。

「まぁ、話した事ないからなぁ・・・知っているのは、BBAのチームに所属している者か、もしくは、オレ達のように、以前所属していた者だけだろう」
「そうだネ。でも、君たちもよく知っている子だヨ?」

皆、知っていると言われて、ますます首をかしげる。

「一体誰なんだ?せめて特徴くらいは教えてくれてもいいだろう」

皆が内心思っているであろうことを、ガーランドが代弁する。
その言葉に、レイとマックスは顔を見合わせた。

「ん―――、スッゴク可愛いけど、スッゴク男勝りだよネ!」
「時々男よりも男前だよな・・・だが、精神的に脆い所もあったりする。そういうところがほっとけないんだが」
「あ―――――・・・・あれはボク達がもうちょっと配慮するべきだったネ・・・・」
「本人吹っ切れたつもりみたいだが、未だに引きずってるんじゃないかと思われるところもあるからな・・・・本当にすまない事をした」
「ウン、でもボク達としても譲れなかったんだケド。まぁそれは置いといて、あとは・・・・ベイバトルは滅法強いヨ!」
「ここぞという時の爆発力は半端ない。またぜひともバトルしたいものだな」
「そうだネ、ボク達負け続けだし」
「あ、頑固で、いろんな意味で一途なところは昔から変わってないよな。こうと決めたら一直線!て感じで」
「その辺に、カイは頭が上がらないんだろうネー」
「というか、付き合いだしてからは、アイツは基本的に彼女には甘いから。まぁ、オレ達に言えた事じゃないが。ほら、この間も・・・」

このあたりから二人の会話の論点がだんだんと思い出話の方向へずれて来ていたが、周囲の者達は、情報を整理し、自分たちの記憶の中から探し出すのに精いっぱいで、全く気付いていなかった。

女で凄く可愛いが時々男よりも男前な男勝りでだが精神的に脆い所もある一方でベイバトルは強くてここぞという時の爆発力は凄くてレイもマックスも負け続けで頑固で色んな意味で一途でこうと決めたら一直線でカイが頭が上がらなくてあいつら全員で甘やかしていて・・・・・

もはや、レイとマックスの会話を脳内で(ノンブレスで)辿っているだけで、整理しきれていない。
周囲の脳みそは爆発寸前、レイとマックスによる思い出話はだんだん捏造を多分に含んでいそうな怪しい方向へと向かいだした、まさにその時。

「おい。人の過去を勝手に捏造するな」

怒りを含んだ、絶対零度の、地を這うような声と共に、捏造思い出話に花を咲かせていたレイとマックスの頭に伸びた手のひらが、ギリギリと二人の頭を締め付けた。

「ちょっ・・・!いだだだだだだ・・・・っ」
「イタイイタイ、頭がい骨陥没しちゃうネ!」

その声と手のひらの主は勿論。

「「「「「「「「「「火渡カイ!!!」」」」」」」」」」

今話題の、時の人。
火渡カイである。

「・・・・本当に来るとは・・・・・」

カイは、レイとマックスの頭をつかんだ手をそのままに、呆然とつぶやくユーリにちらりと一瞥寄こすと、すぐに目をそらして憮然と言い放った。

「頼みこまれたので仕方なく、だ。でなければこんな所になど来るか。・・・全く、どっかの馬鹿があいつにいらんこと頼んだせいで・・・」