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炎のような熱気の太陽光、深淵のような混沌の闇

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帰り道、人気の無い場所を一人で歩いている時だった。
「よう。」
誰もいなかった道に、急に、自分と同じ姿をした人物が現れる。
しかし、シャドウ達哉は以前に倒したはずだった。

達哉は一瞬驚いた。自分やシャドウ達哉と同じような姿をしていながら、纏う雰囲気は出会う悪魔達とは別格の凶悪な何かを感じる。
フューラーや、淳の父親の姿の人物と対峙した時と同じような感じだった。

「…お前は、誰だ…?」

その人物は余裕ありそうに、嫌な雰囲気の笑みを浮かべていた。
「クックック…。名乗ってもいいんだが、それだと面白く無いからな。
人間界では、食後のデザートは最後に取っておくんだろ?」

「………。」
達哉は刀を引き抜いた。

「おっと、今日はお前とやり合うつもりはない。軽くご挨拶に来てやっただけだ」

「シバルバーの最深部の前まで辿り着いたんだろ?お前達の可能性を早くぶつけにくればいい。…そうすれば、楽しい事が始まるのだからな」

(…なぜ、フィレモンと同じ事を言ってる…?)

ペルソナが、危険を叫んでいる。
「人間界の人間達は、ちょっと不安の刺激を与えてやったら魚の群れのようにヒステリックにざわめき動き出す。人間をいじくるのは、実に面白」
「黙れ!!!」

こいつは倒さなければならない。本能的にそう思うと同時に、身体がもう動き出していた。
素早い動きで奴の元へ距離を詰めて、刀で斬りかかろうとした。
しかし、ちょうど刀の真下の地面から、漆黒の色をし、水色と白の顔のような模様がたくさんついた蛸のような触手が音もなく生えて、刀の中心部をぐるりと巻くように捕らえた。
離そうと力を入れるが、全く動かない。

そして、それは音もなく、ゆっくりと蠢き、刀の刃先が、奴に向いていたはずなのにゆっくり天を向く位置になり、やがてそのまま
ひらがなの「つ」の文字のように、Uターンするかのように達哉の方に向けられた。

「…!?馬鹿な…。」
今までの悪魔との戦いでもこんなことは起こらなかった。
そして、身体が金縛りにあった時のように動かなくなっていた。

「せいぜい足掻いてみせろよ周防達哉。
この私が、お前に直々に運命の痛みの凄まじさを教えてやるのだ!!喜べ!!」
その人物は下衆な笑みを浮かべていた。

「…何、言って…」

達哉がそう言うと、その人物はおっと、というような少し驚いた表情をした。
「少し喋りすぎたか…。まあいい。また会う時を楽しみにしているぞ」

「!!待て…!!」

しかし、その人物は達哉に背を向けると、笑い声をあげながら消えていってしまった。
「クックック…ハーッハッハッハ!!」
視界は闇に阻まれるかのように、一面漆黒になった。

気がつくと、達哉はその道の真ん中にぽつんと立っていた。
太陽光に照らされているのに、空気が少し冷たく感じる。

違和感を感じ胸の高さまで持ちあげた掌は震えていた。
「………。」



その後、自宅に戻ってきた達哉は疲れを感じしばらくベッドの上で横になっていた。


透明な水に汚れた液体を入れると簡単に濁るように、邪悪な気を貰い受けたように、どっと疲れ、息苦しさを感じていた。

(…あいつは、一体…。)
ぼんやりとそう考えながら、虚空を見つめていた。

やがて呼吸が落ち着き、達哉はベッドから起き上がる。

机の前に歩いてきて、ゆきのさんからこの前受け取ったクレール・ド・リュンヌでの集合写真を見つめていた。

奴の言っている意味が、どういうことなのかわからない。しかし、まずはあの扉の向こうでフューラー達と決着をつけよう。そう達哉は決意するのだった。