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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 決戦!バラモス編

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ジャミルはアイシャとスラリンを神殿の中に呼び戻すと、先程の事を話す。
 
「そっか、結局、あの人は何者なのかが分らないまま終わっちゃったのね……」
 
「終わらないよおー!またいずれオイラ達の事、邪魔するみたいな事
言ってたもん!あーうー!」
 
「それならそれで仕方ないよ、又来るんだったら今度こそ成敗しなくちゃ……」
 
「おい、……アル?」
 
「うふふふ~う、スリッパ乱舞の練習……、うふふふ~♡」
 
「……」
 
「あの……」
 
「あの……」
 
巫女さん達が先程から4人の方をじっと見ており、ジャミルは慌てる。
 
「あ、待たせちゃったね、わりィね、んじゃ、残りのオーブを……、と」
 
ジャミルは残り5個、全てのオーブを祭壇に捧げる。……すると、
真ん中の祭壇の卵の輝きがいっそう強くなる。
 
「……時は来たれり今こそ目覚める時……、大空はお前の物……、
さあ高く舞い上がれ!!」
 
巫女さん達が再びこの言葉を口に出す。すると、卵に異変が起こった。
 
「あっ……、卵にヒビが……!!」
 
「今度こそ……、今度こそ……、ちゃんとラーミアが産まれるのね!」
 
「オイラなんかドキドキしてるっ!……ううう~!」
 
「ダウド、騒いじゃ駄目だよっ……」
 
 
皆が見守る中……、伝説の不死鳥ラーミアが……、今……、復活する……!!
 
 
「大きいなあ……」
 
「本当ね……」
 
「圧巻……、だよお……」
 
「ラーミア、等々復活したんだね……」
 
 
「……クゥィィーーンッ!!」
 
 
誕生したばかりのラーミアは一声声をあげると翼を羽ばたかせ、
大空へと舞い上がった。
 
「……皆様……、有難うございました……、伝説の不死鳥ラーミアは
蘇りました……」
 
「いいのか……?神殿の天井モロぶち抜いて飛んでったけど……」
 
ジャミルが親指でくいくい天井を指差す。確かに天井には巨大な穴が……。
ラーミアは天井をぶち破り、大空へと羽ばたいたのである。
 
「あっ……」
 
「あっ……」
 
「……」
 
「いいのです……、改築工事をしますから……」
 
「そ、そうか……」
 
巫女さんは一斉に声を揃え、言葉をハモるのであった。
……と、言う事で4人も神殿の外へ。外ではラーミアが待っていた。
 
「うふふ、私、早くラーミアに乗ってみたーい!」
 
「ピキー!!」
 
いつも通り元気なアイシャとスラリンのコンビ。アイシャも
もうすっかり元気になっている。
 
「ラーミアは神の下部……、心正しき者だけがその背中に乗る事が
出来るのです……」
 
「……」
 
「ジャミル……、今内心焦ってるでしょ……」
 
巫女さんの言葉に何だか動揺しているらしきジャミルをダウドが
試しに突っついてみる。
 
「ば、馬鹿言え……、こんなモン……、あ、あれ……?乗れたよ……」
 
「良かったね、乗れて」
 
「るせえっ!」
 
心配してくれて優しいダウドに心を込めてお礼のゲンコを
プレゼントするジャミル。
 
「ジャミルは優しいんだもの、乗れるのに当り前じゃない、ね?」
 
アイシャがくすっと笑う。
 
「あ、あははは……」
 
やがて全員ラーミアに乗り終わった。……アルベルトはナイトハルト提供の
船と別れるのが切ないのか何だか。じーっと名残草しそうにさっきから
船の方をちらちら見ている。
 
「あのさ、この船なんだけど……、バラモス倒したら回収しに
来るからそれまで預かっててくんないかな?」
 
「分りました……」
 
「分りました……」
 
 
「皆さん……、どうか、お気をつけて……」
 
 
「さあいいぞ!飛んでくれラーミア!!」
 
最後の巫女さん達の言葉のハモリを耳にし、ジャミル達を乗せ
ラーミアは大空へ羽ばたく。やがて、神殿も小さくなり、遥か遠くに
なってしまった……。
 
「……こ、こんなに高いの……!?いやだあーっ!!ぎゃー!!
落ちたら死ぬよおー!!」
 
「その内慣れるから平気だよ……、船酔いだって克服出来たんだから……」
 
「怖いよおお~……」
 
涙ぐみ、ぐずり始めたダウドをアルベルトが慰める。
 
「のろいなあ……、しかも長時間乗ってたら痔になっちまう……」
 
「……ジャミル!」
 
「だって何かすげー早ええのかと思ったら、すげーたりー……!?
あわわわわ!!」
 
「……きゃっ!?」
 
ジャミルの毒舌が聞こえたらしく急にラーミアが飛ぶスピードを上げた。
 
「げーっ!!酔っちゃうよおー!!」
 
「ちょ、ちょっちタンマ!って、……あーーーーっ!!」
 
ラーミアは急降下で海へと突っ込みスラリン以外、全員ラーミアの
背中から放り出された。4人は頭から間抜け状態で海へと墜落する……。
 
「……ぷっはーっ!冷てーっ!!」
 
「うう……、浅くて助かった……」
 
「びしょびしょーっ!やーん……」
 
「……どうすんのさ!!バカジャミル!!ラーミアが怒っちゃった
じゃないか……!!」
 
「バ、バカとは何だよ!」
 
「だってバカだもん……、いたーっ!!」
 
「……ダウドにだけは言われたくねえ!」
 
「責任とってラーミアの機嫌直しなよ……」
 
 
「おーーーい!あんたら何してるんだーい?」
 
 
釣りに来たらしきおじさんがジャミル達に声を掛けた。
 
「……このクソ寒いのに水泳大会かい……?若いってのはいいねえ……」
 
「私達……、笑い者……」
 
「……ジャミルっ!!」
 
こんな時でも肌身離さずアルベルトがさっとスリッパを振り上げた。
 
「わ、分ったよ……」
 
ジャミルは水をかき分けて歩き、ラーミアの所まで近寄って行った。
 
「よう、悪かったよ……」
 
「……キュイ……」
 
「駄目よ、そんな謝り方じゃ……、ほら私も一緒に謝るから……」
 
「機嫌直してくれよ……」
 
「ごめんね、ラーミア……」
 
「ああ……、アイシャは悪くないのに……」
 
しかしラーミアの怒りは収まらず、ジャミル達を見ると一声
馬鹿にした様に鳴いた。
 
「……結構プライドたけえな、このクソど……むぐ!」
 
「ぼ、僕らも謝ろうか、ね?ダウド……」
 
「う、うん……」
 
「……毎度毎度力入れ過ぎなんだよ!このアホベルト!!
……窒息するかと思ったい……」
 
「その方が静かでいいよ……」
 
「……何いっ!?」
 
「何してるの!!二人共!!」
 
「すいません……」
 
結局4人で謝る事態になってしまった。
 
「ねえ、ラーミア……、もうみんなをゆるしてあげて?」
 
「……」
 
スラリンのフォローでどうにかラーミアの機嫌も収まり4人は
無言で再度ラーミアの背中に乗る。
 
「……ねえジャミル……、もし……、又余計な事言ったら……」
 
「言ったら……?」
 
「ガムテープの刑♡」
 
「……」
 
「うふふ、うふふ、うふふ♡」
 
「アル……、怖いよ……」
 
「何だい?ダウド」
 
「何でもないよお……」
 
(やっぱり……、真に恐ろしいのは……、バラモスじゃなくてこいつだ……)
 
と、思うジャミルなのである。