zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 新たなる厄災編
去り際にホビット達が揃って4人の所に来て挨拶をする。
しかし、女王の行く末を分っている為、その声には元気が感じられない。
「あのさ、俺がこんな事言っても……、気休めにしかならないけど、
絶対に希望を捨てないでくれよ、女王様が早く元気になる様に俺らも
願ってるから……」
「……有難うございます、勇者様……」
「……」
ジャミル達は城を後にし、再びネクロゴンドへ向かいギアガの大穴を探す。
……バラモス場跡付近に湖と毒の沼地に囲まれた洞窟を発見した。
4人は早速洞窟の中へと入ってみる。
「……でけえ穴があいてるからあそこなのか?」
大きな穴の前に男がいて何かウンウン喚いていた。
「全く、最近の若いモンは命を粗末にする奴ら、アホモンばかりだ、
こんな穴に飛び込んで自殺なんぞ……、何考えてんだ……」
「こんちは……」
「なんだお前ら、おりゃあ此処に派遣された見張り番兵士だが……、
何か用か?」
「おっさん、俺達、ギアガの大穴っつーのを探してんだけど、ここで
いいのか?」
「確かに、ここはギアガの大穴だが……、数日前に凄い地響きがして
罅割れが走ったんだ、そしたら更に穴がでかくなって拡大してな、そして
何者かが此処を通って行ったのさ……」
「えっ!?私達の前に此処に入った人が……!?」
「誰……!?そ、そんな命知らずな人がいたなんてっ!わわわ……」
「何……?あんたらもこの穴に入るのかい?バカな事言ってんじゃないよ、
帰んな、この穴はなあ、飛び込んで自殺する奴が後を絶たねえんだ、
確かにいるよ、お前らがバカな事を思いつく前でも、この穴に飛び込んだ
輩がよ、……おりゃあ、そんな奴らを止める為に此処に監視として
派遣されたんだよ!」
「それでも僕らには使命が有ります、行かなくてはならないんです……」
「私達、この先の伝説の世界に行くのよ、決して自殺なんか……」
「オイラは嫌だけど……」
「だからバカ言ってんじゃねえよ、ガキ共!冒険ごっこは余所でやんな!
ホラ、帰れ帰れ!!」
「ちょ、ちょっと待……」
「きゃっ!」
兵士はジャミル達を無理矢理押し返そうとする。……4人の為を思って
くれての事なのだが、はっきり言って大きなお世話である。
「……だぁーっ!かまってられるかっ!!おい皆、さっさと飛び込むぞ!!」
ジャミルが負けずに逆に男を突き飛ばした。男は泡食って転倒する。
「おい!何をする!!」
「ありがとう、おじさん、心配してくれて……、でも、私達は平気よ!」
「死にてーのかおめーら!!今まで此処に入った奴で本当に戻って来た奴は
いねーんだぞ!?」
「け、けっこう深そうだねえ……」
ダウドがごくりと唾を飲み込み、穴を覗き込んだ。
「行くぞっ!」
そして、ジャミルの言葉に3人が頷く。
「……やめろお前ら!!」
「せーのっ!!」
「おーいっ!!」
4人はいつ底が見えるのか分らない、深い闇の穴の中へと飛び込んで
行った……。
作品名:zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 新たなる厄災編 作家名:流れ者