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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 アレフガルド編1

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「……ジャミル」
 
「……う……」
 
「……ジャミル……」
 
「う……、アイシャ……?」
 
「平気?」
 
「ああ、何とか……、大丈夫みたいだ……」
 
アイシャの呼び掛けでジャミルが目を覚まし、身体をよっこら起こした。
 
「良かった……」
 
「けど、まだ何か身体が変な感じだなあ……」
 
「私達……、どれぐらい深く落ちて来たのかな…?」
 
「……それは分んねえけど……、とにかく、今は……」
 
ジャミルが立ち上がり、まだ倒れているアルベルトとダウドを
揺さぶって声を掛ける。
 
「アル、起きろよ……」
 
「ん?ジャミルかい……?」
 
「……ほれ、おめーも起きろ、ダウド」
 
「……んーあー……?」
 
「……ここがアレフガルドなのかしら……」
 
アイシャが辺りを見回す。気が付いたとき、4人はだだっ広い
野原の上に倒れていたのだった。
 
「だろうな……」
 
「今は夜なのかな…?やたらと周りが暗いんだけど……」
 
「とにかく町か村を探して宿を取ろう、話はそれからだな……」
 
「ラーミア……、平気かしら……」
 
「平気だよ、用がなけりゃ勝手に神殿に帰るさ」
 
「……」
 
「どしたの、ダウド」
 
アイシャが尋ねる。異様に身体がガクブルしている。……この予兆は
ダウド特有の物であり、何か悪い悪寒を感じた時に大概発生する。
 
「……なんか悪寒がするんだよお、オイラの悪寒は当たるから……」
 
「は?何言っ……」
 
 
ドスン!!ドスン!!
 
 
「うわ!な、何!?また地震か!?」
 
「ま……、また……?きゃあっ!?」
 
 
ドスッ!!ドスッ!!
 
 
「……違う!地震じゃない……、これは……」
 
「……マジ……?」
 
4人の目の前に……、バラモスの城でお目見えした動く石像が
出現したのである。
 
「う、動く石像……?」
 
「……なんでこんなとこにィー!?」
 
しかも石像は一体だけでなく、3体もいる。
 
 
ドスッ!!ドスッ!!ドスッ!!
 
 
動く石像は3体揃ってリズミカルに地面を踏む。
 
「……うおっ!?」
 
「……きゃあーっ!!」
 
アイシャは地べたに座り込んでしまい、動けなくなってしまう。
 
「大丈夫か!?」
 
慌ててジャミルが助け起こすがアイシャは腰が抜けてしまったらしい。
 
「おぶされ、ホラ」
 
「ジャミル……、ありがとう……」
 
「ずるいよおー、……アイシャばっかり……、ぶうー……、オイラが
ヘタレるとすーぐ怒るくせにさ……」
 
「とりあえず今は逃げよう、今の僕達じゃとてもじゃないけど
こんなのを数体相手にしている余裕もないよ……」
 
「ああ……」
 
「で、でも……、囲まれちゃってるよお、……どうやってここから
逃げるの……?」
 
「おい、お前ら、3人で一斉にこれをあいつらにブン投げるんだ」
 
「……か、癇癪玉……?」
 
「そんなの効かないよおー!」
 
「何もしねーよりマシなんだよっ!!」
 
「なるほど……、目くらましで石像がひるんだ隙に逃げるんだね……」
 
「そうだ」
 
……こう言う事だけは直ぐ頭が回転する(悪知恵が働く)なあと、
アルベルトは感心する。
 
「あ、あんな大きい敵に……、こんな小さい玉……、無理だよお……」
 
「……いくぞっ!」
 
ピッチャーの様に振りかぶり、玉を石像へとジャミルが思いっ切りぶつけた。
 
「!!!!」
 
「……うっそ……」
 
効いている。確かに石像達には効いている。
 
「よしっ!次はお前らだっ、どんどんぶつけちまえ!」
 
「……よ、よーしっ!」
 
「あわわわわ!」
 
アルベルト達も癇癪玉を石像に投げる。
 
「でも、勇者がそんな物持ち歩いてちゃ駄目でしょ!」
 
「うるせー!んな事言ってる場合か!!」
 
「ジャミルもダウドも早く逃げよう!」
 
「おっと!」
 
ジャミルが腰を抜かして動けないアイシャを再び背負う。
 
「ごめんなさいジャミル……、私……、その……、やっぱり重いかな……?」
 
「平気だって!ホラ飛ばすぞ!しっかり捕まってろ!!」
 
「……うん……」
 
4人は急いでスタコラその場を逃走する。
 
「……後で覚えてろ、デカブツ!!絶対いつかシメてやるかんな!」
 
「ジャミルう~……、聞こえちゃうよお~……」
 
……やがて、動く大仏を煙に巻き。
 
「……もうあいつ追いかけて来ないかなあ……?」
 
「いや、他にもモンスターはいるだろ……」
 
「そうだよ、いつ何処からか出てくるか判らないよ」
 
「……来るんじゃなかったよお……、帰りたい……」
 
ダウドのいつもの後悔愚痴が始まる。
 
「お、ほこらだ……」
 
「とりあえずあそこで休憩しよう……」
 
「助かった~……」
 
4人は急いでほこらの中へと避難するのだが、既に人がいた様であった。
 
「お、お客さんだ、こんな場所に……」
 
「こんにちは……」
 
父親と娘らしかった。娘は三つ編みヘアに歳は10歳ぐらいのおませな感じ。
 
「こ、こんちは……」
 
「……あんた達……、もしかして上から来たんですか?」
 
「え?そうだけど……」
 
「やっぱりなあ……」
 
「何で分るんですか?」
 
「上から来たそうな顔してたから……」
 
「はああ!?」
 
「これから朝御飯なんですよ、良かったらご一緒に如何ですか?」
 
「朝って……」
 
「……こんなに暗いけど……、今は夜じゃないの?」
 
ダウドが尋ねると、父親が、ああ、お客さん、やっぱあなた新人だね!の、
様なツラをした。
 
「午前7時半ですが……」
 
「……何いいいい!?」
 
「本当よ、嘘じゃないわよ、ホラ」
 
娘が枕時計を見せる。確認すると、確かに時刻は早朝の7時半。
一日の始まりである。
 
「とりあえず御飯です、御飯ですよ!江戸むらさき!」
 
「……はあ……」
 
「どうなってんのお?今、どう見ても夜だよねえ?」
 
ダウドがジャミルに聞いてくるが。
 
「俺に聞かれても……」
 
4人は取りあえず行為に甘え、朝食を一緒にご馳走になる事にしたが
何とも不思議で奇妙な気分だった。
 
「お姉さん、それ……、玉葱のお化けのぬいぐるみですか?」
 
娘がアイシャが持っているダウドから貰ったバッグの中のスラ太郎に
興味を示す。
 
「ああ、これ?」
 
「一応……、スライムなんだけど……」
 
ジャミルが口を尖らせる。
 
「ブサ可愛いですね……、いいなあ、私も欲しい……、何処で
売ってるんですか?」
 
「これはね、大好きな人が作ってくれた……、世界でたった一つの
大切なお人形なの」
 
「わあ、凄いんですねえ~」
 
「……まいったなあ~……」
 
ジャミルがデレデレ、ノロケ状態で頭を掻く。
 
「惚気てんじゃねえよお……、この、バカジャミル……」
 
……横目でぼそっとダウド。
 
「ダウド、何か言ったか……?」
 
「なんでも~!」
 
「良かったら貸してあげる、はい」
 
「お姉さんどうもありがとう!わーい!!私のブス夫君人形と
おままごとしよ~」