二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 アレフガルド編1

INDEX|2ページ/10ページ|

次のページ前のページ
 

娘が嬉しそうに人形を抱っこし、自分の持っている人形と一緒に遊び始める。
 
「評判良いなあ~、俺、雑貨屋でも開くかなあ~……」
 
「……やめた方がいいよ、どうせすぐ閉店するから」
 
「……アル……、おめえも何か言ったか……?」
 
「何でもございません」
 
「みなさん、大した物はありませんけど、どうぞ召し上がって行って下さい、
実家を出る時に持参した非常食の缶詰ばかりですが、この味付けグリンピースの
缶なんか……」
 
「……実家?」
 
「どうしておじさん達は此処に住んでるの?」
 
アイシャが聞いてみる。
 
「いや、住んでると言うか……」
 
「家に帰れなくなっちゃったの……」
 
「……?」
 
「私達はラダトームと言う町に住んでいました」
 
「ラダトーム……?」
 
「此処から東にある城下町です」
 
「へー……、町があんのか、情報教えて貰って助かるよ」
 
「いえいえ、……はあ、一年前、カカアと大喧嘩してそれはもう、
血が飛び散るほど凄かったんですよ…」
 
(どんなケンカだよ……)
 
「もう止められなくなって、とうとう別れる程の騒ぎになっちまいまして……」
 
「……」
 
「結局、こっちが出ていく事になったんですが……、娘をどっちが
引き取るかでまた一悶着、揉めた訳です……」
 
「ふんふん」
 
野次馬ジャミルも話に段々興味が出てきた。
 
「で、こっちが娘を引き取る事になりまして、この場所に移り住んだんです、
新しい住居が見つかるまでの間として」
 
「ふ~んふん……」
 
「……でも、娘はやっぱり母親の方が良かったんでしょう……、毎晩、
家に帰りたいと泣いてばかりでした……」
 
「……」
 
「で、結局……、私も折れまして……、父さん謝るから家に帰ろうと
言う事になったのですが……」
 
「……お父さんの馬鹿……!!」
 
「ど、どうしたい……?」
 
娘が急にぎゃんぎゃん泣き出す。突然泣き出した娘に事情を
知らない4人は……。

「お父さんの、お父さんの所為で……、……ああ~ん!」
 
「泣かないで……、お姉ちゃん達に何でもお話して、ね?」
 
泣き出した娘をアイシャが落ち着かせ、何とか宥める。
 
「……帰ろうと……、したんですがね、その、どうした事か
モンスターが大量に歩いていたんですよ、ぞろぞろと!!」
 
「でも、モンスターが徘徊し始めたのは昔からですし、最近の事じゃ
ないでしょう……?」
 
「だよねえ……」
 
「いや、ここら辺はスライムやスライムべス、ドラキー辺りでしたので、
突いたりしなければ別に向こうも大人しいですし、それ程気には
ならなかったんですが……」
 
父親の表情が段々困った表情に変わっていく……。
 
「それがここ近年ではどうした事か……、雑魚モンスターも凶悪になり、
トロルや動く石像などの凶暴モンスターが此処にも普通に出てくる様に
なっちまいまして……、やはり大魔王の力がより一層増していると
いう事なのでしょうか……」
 
「それで危なくて帰れなくなった訳……?」
 
「はい……、私はモンスターと戦えませんし、娘を連れて歩くのはとても……」
 
「……」
 
「私たち……、ずっとここから帰れないの……、お風呂の代わりに
モンスターに見つからない様に近くの海までこっそり行かなきゃ
ならないし……」
 
「ううう……、何というサバイバル生活……」
 
ダウドがハンカチで顔を拭いた。
 
「なあ、ラダトームってこっから近いのか?」
 
「ええ、それ程遠くはないと思いますが……」
 
「よし、俺達も行ってみっか、丁度いいや」
 
「え~……、モンスターが…」
 
「ダウド、お前ずっと此処にいる気か?」
 
「わかったよお……」
 
「いいなあ、私もラダトームへ……、お母さんの所に帰りたい……」
 
娘が落ち込み下を向いてしまう。それを見たジャミルの頭の中に
ある考えが浮かんだ。
 
「うーん、少々……、危険かもしんねーけど、俺達がラダトームまで
一緒に送ってやろうか?」
 
「でも、まだ動く石像ともまともに戦えるか判んないのに、
こっちも命懸けの大移動だよお、大丈夫かなあ……、守り切れる……?」
 
「心配すんなよ、まだ何発か、癇癪玉も残ってるしよ」
 
「お兄さん、本当ですか?い、一緒に行っていいの?」
 
「ああ……」
 
「あなた方は一体何なんですか……?」
 
ジャミルが親子に自分達の素性を話すと、娘の方がぱっと嬉しそうな
表情を見せるが、父親の方は、特にこれと言って、驚く素振りも見せず、
ああ、凄いですね、状態。
 
「……なんと、あなた達が……、バラモスを……、はあ……、
しかもその上を倒しに上からやって来たんですか……」
 
(何言ってんだ、この親父……)
 
「お父さん、寒い……」
 
「すまん……」
 
「……」
 
「あのね、お兄さん……」
 
「ん?」
 
「アレフガルドでは昔からずーっと言い伝えがあるのよ、世界が
危機になった時、勇者様が現れて魔王をやっつけてくれるの!凄いね、
お兄さんが勇者様だったのね!」
 
「一応な……」
 
「でも、お父さんは弱いの!お母さんと戦っていつも負けてるのよ!」
 
「こ、こら……」
 
(……誰かさんと誰かさんみたいな……)
 
「何だ、ダウド」
 
「何よ、ダウド」
 
「二人してこっち睨まないでよお~……、もう……、心の声なのにい……~」
 
「……お父さん、お兄さん達にお願いして私達も一緒にラダトームへ
帰ろう……?」
 
「いや、今はやめよう……」
 
「どうしてだい?送ってくのに……」
 
「いいんです……」
 
「じゃあ、この子だけでも……、ね?一緒に行こう」
 
「お姉さん……」
 
「これは私達、家族の問題です、あなた方には関係ない事です……、
娘も今はまだ一緒に此処に置きます、放っておいて下さい……」
 
「……お父さん!!」
 
「おーい……」
 
「これは困ったねえ……、どうして帰らないんだろう……」
 
頑固親父の対応にどうしたもんかとアルベルトも頬をポリポリ掻く。
 
「俺の推測だけど、早い話が……」
 
ジャミルがじーっと父親の方を見た。
 
「……」
 
「やっぱりまだ、奥さんに謝る覚悟が出来てなくて帰りたくなく
なったんだろ……?」
 
「……うっ……、ウチの女房は本当に怖いんです……」
 
「たく……」
 
「そう言う訳で……、私達はもう少し此処にいる事にします」
 
「私は帰りたいのっ!」
 
「すまん……、今は耐えてくれ……」
 
「お父さんキライ!!」
 
そんな親子のやり取りを見ながらジャミル達が苦笑する。
 
「でもさ、親父さんさあ……」
 
「はい……」
 
「あんたはいいかも知んねえけど、娘さんはこんなに帰りたがってる
じゃん……」
 
「そうですよ、どうしてこの子だけでも送って行ったら駄目なんです?」
 
「……駄目な物は駄目なんです」
 
ジャミルとアルベルトが説得するも、父親は断固として考えを変えない様子。
 
「色々と今のこの情けない心境を娘の口から妻へチクられるのも情けなくて