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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 アレフガルド編2

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「さて……、今日はもうお終いだな、店を閉めるか」
 
「ジョニー!」
 
「……勇者様?」
 
本日の営業終了、店を閉める寸前でジャミル達がやってくる。ジョニーは
驚いて目をパチクリさせる。
 
「よお」
 
「どうなされたんですか?今日はお仲間もご一緒ですか?」
 
「まあな、……紹介してなかっただろ?俺のダチさ」
 
「こんにちは、初めまして、僕はアルベルトです」
 
「オイラ、ダウドだよ」
 
「私はアイシャです」
 
まだジョニーと会った事の無かった他の3人もジョニーに挨拶した。
 
「私はここで武器屋を営業しております、ジョニーと申します、
どうぞ宜しく……」
 
「王様は元気かい?」
 
「ハッ、実は……、勇者様にお会いして少し笑顔を取り戻された様なのです」
 
「そっか、良かった……」
 
「処で……、一体どうなされたのです……?大分ご出発が遅れている
ご様子ですが……」
 
「実はさ……」
 
4人は家に入り、リビングへと通される。ジャミルは代表でクラーゴンとの
戦いの件をジョニーに話した。
 
「……そうだったのですか、本当にどんな怪物が潜んでいるのか
判りませんね……」
 
「それで、武器を見せてもらいに来たんだ」
 
「おお、うちの武器で宜しかったら、是非!」
 
「もう今日は店じまいだったんだろ?悪いな……、こんな遅くに急に
来ちまって……」
 
「いえいえ、とんでもない!少し待っていて下さいね……」
 
ジョニーは店の倉庫に行って大量の武器を引っ張り出してきた。
 
「うわあ、いっぱいだね……」
 
「色々あるね」
 
「凄いのねえ……」
 
アルベルト達も武器を覗き込む。
 
「どうぞ、どれでもお好きなのを持って行って下さい」
 
「うーん、どれがいいのかな……?迷うな……」
 
「あ、でしたらお勧めのがあるんですよ」
 
「どれ?」
 
「これです」
 
ジョニーは鍔部分に翼をイメージした様な細身の剣をジャミルに差し出す。
 
「これは、はやぶさの剣といいまして、剣にしてはとても軽いんですよ」
 
「どれどれ?へー、ホントだ……」
 
「実はこの剣は攻撃力こそないんですが、一度に2回攻撃出来るんです!」
 
「便利だな……」
 
「いいんじゃないかな?ジャミルは素早さが高いからピッタリだと僕は思うよ」
 
「よし、これにするか!」
 
「ねーねージャミル、これ面白いよ!」
 
「は……、何……?そのハートのステッキの玩具は……」
 
「振るとね、音が鳴るのよ!ぴっこりーんて!」
 
何故かアイシャは嬉しそうである。
 
「玩具に見えるんですけど……、一応、あれも立派な武器なんですよ……」
 
「あ、そうなん……」
 
「プッ……」
 
「え、えーっと、んじゃ……、この剣買うよ、いくらだい?」
 
「勇者様からお代を頂くなんてとんでもない!そのまま持っていって下さい!」
 
「は?な、何言ってんだよ、金はちゃんと払うって!!」
 
「いいえ、頂けません!!」
 
「お、おい……」
 
「私も何か勇者様達のお力になりたいんです、ですが……、こんな事ぐらいしか
出来ませんのです、でも、私の精一杯の気持ちなんです……」
 
「ジョニー……」
 
「お願いします……」
 
「分ったよ、ありがとな、ジョニー…」
 
「勇者様……」
 
ジャミルはジョニーの気持ちに甘え、はやぶさの剣を受け取る事にした。
 
「大事に使わせて貰うよ、この剣を……」
 
「はいっ!」
 
「ねーねージャミルう、これ面白いよおー!」
 
「またか……」
 
今度はダウドである。
 
「このマイク喋るんだよお!」
 
「それも武器なんです、歌うんですよ、凄いでしょ?」
 
「はぁ……」
 
ペッペラパポププップ プッ
ペッペラパポププップー
ペップープペッペラパパプ
ポパポププップップー……
 
山田くーん!座布団全部持ってっちゃいなさい!!
 
(……使えんのかよ……、おい……)
 
「勇者様、国王様に会っていかれませんか?」
 
「いいのか?今日は連れがゾロゾロいるけど……」
 
「ええ、勇者様のお仲間なら大歓迎ですよ!」
 
ジャミル達は国王に会っていく事にし、2階の寝室へと通された。
 
「国王様、勇者様達が来られました」
 
「……おお!!」
 
「久しぶり……、でもないか……、少し元気になったって聞いたから
安心したよ」
 
「ほう、今日は連れも一緒か……、」
 
「陛下、お初にお目に掛かります、私はジャミルと共に旅をしております、
アルベルトと申します……」
 
アルベルトに続いてアイシャとダウドも深く頭を下げ挨拶した。
 
「そんなに畏まらなくてもよいぞ、儂はもう国王などではないのだから……」
 
「陛下!?」
 
「王……」
 
「……儂はもう民を見捨てて逃げたのだ……、国王などと呼んで貰える
資格などないのだ……」
 
「お話はジャミルから聞きました……、ですが……、今の世界情勢を
見たら誰だって逃げ出したくなる方が当たり前だと思います……」
 
「……ぐー……」
 
「そうだよお!王様は悪くないよ!!」
 
「……陛下はお優しいからこそ、自分の前で志願しては死んでいく
若者達を見て傷つき心を病んでしまわれたのでしょう?だからこそ……、
もうこんな辛い現実から逃げてしまいたいと……」
 
「……嫌だったら逃げちゃうって事も時には大切な事だと思うわ……」
 
「……ぐうー……」
 
「……オホン、ジャミル……」
 
アルベルトがジャミルを肘で突っついた。
 
「ふ?ふぇ……?」
 
「……お前達は優しいのだな……、こんな儂でも庇ってくれるのか……?」
 
「当たり前じゃん、皆、仲間なんだからさ!」
 
「……勇者殿……」
 
「へへっ!」
 
「……有難う……、勇者達よ……」
 
ジャミル達の優しい言葉にラルスは一筋の涙を溢した。
 
「なあ、ジョニーから武器貰ったんだけど、もしかしたら、これでも
ゾーマと戦えるかな……?」
 
「?」
 
「実はさ……」
 
ジャミルはクラーゴンの件をラルスにも聞いて貰う。
 
「……そうであったか……、お前達ばかりに辛い思いをさせてしまって……」
 
「い、いや……、別に平気だよ、当分は何とかこの剣でやって
いけそうだし……」
 
「しかし……、いずれゾーマと一戦交えなくてはならぬのなら……、
その剣では無理であろう……」
 
「……やっぱり……」
 
「伝説の剣、王者の剣でなくてはゾーマを倒す事は限りなく不可能に近い……」
 
「確かゾーマの奴に持ってかれて……、どうなったのか判らないん
だっけか……」
 
「もう今頃とっくに壊されてるよね……、ゾーマにとって
そんな危険な剣なら……」
 
ダウドが絶望的な表情をする。
 
「……勇者の盾がどうにか無事だったのが救いよね……」
 
アイシャもぽつりと声を洩らした。
 
「いや……、まだ希望はあるやも知れぬ……」
 
「……?」
 
「勇者よ、マイラの村へ行ってみると良い、其処に……、凄い腕を
持つ職人がいると聞いた事があるのだ……」
 
「職人かい?」