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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL30

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第九十八章 激突! 神と神


 ロビンとその仲間達は、猛吹雪の中、水竜アズールの力を借りて空を飛んでいた。
 視界は全くと言っていいほどに見えず、アレクスの気配を追って進んで行くしかなかっ。
 アレクスの気配はだんだん強くなってきた。それは、そこに立っているだけで圧倒されそうなほどであり、アレクスの超神たる力を物語っていた。
「分かるかロビン。アレクスの野郎の力を」
 シンは、片方だけの天眼を通じて、アレクスの持つ力を探っていた。
「ああ、ものすごい力だ。まだアルファ山に着いてないのに、手に取るように分かるぞ」
 ロビンも闘霊の力を用いてアレクスの力を感じ取っていた。
「ハイディア村も心配だ。結界の外であろうが、麓であるからには吹雪の影響を強く受けていることだろう」
 ガルシアは、故郷の村を心配していた。
「そうだな、ガルシア。ハイディアには母さんがいる。もちろん村人達全員の命がかかっている。絶対に負けられない!」
 ロビンは決意を新たにした。
『熱くなってる所悪いけど、アルファ山が見えてきたで』
 吹雪で見通しが効かない状態の中でも、アズールの眼は効いていた。
「本当か、アズール!?」
『ああ、ロビン。結界の張られた山が見えるで。結界を破らんことには、アルファ山に近付く事もできひんで』
 ロビンらにも、水色の結界の張られたアルファ山が、近付くごとに見えてきた。
「しかしどうする? 結界を破らぬ事には、入り込めぬのだろう。どうやって破るつもりだ?」
 ガルシアは訊ねた。
『そこもオレの、いやオレだけやない、メガエラさんとユピターさんの力の見せ所や!』
 アズールは、天界の者の力で結界を打ち破るつもりであった。
「ちょっとアズール、何を勝手に決めてるのよ」
「私はアズール殿の作戦に賭けよう」
 メガエラとユピターの意見は、見事に不一致だった。
『なんやメガエラさん、自信ないんか?』
 アズールは挑発的に言った。
「アズール、誰に物を言ってるのよ? 結界くらい訳無いわよ!」
 メガエラは、アズールの挑発に乗っていた。
『ユピターさんは、アレクスの結界を打ち破る自信はあるか?』
「私の本文は守ることだが、今は攻める事に専念しよう」
 話しは纏まった。天界の三人衆がアレクスの結界を破ることになった。
『よっしゃ、それじゃ作戦開始や。ロビン、オレは船から離れる。安全な場所に着陸してや』
「分かった、アズール。みんな、エナジーをストップだ。ゆっくり着陸するぞ」
 アズールが船首に巻き付けていた尾を離したのを確認すると、ロビン達はエナジーを止め、着陸した。
 着陸と同時にレムリアの船を包んでいた泡が消えた。
「こんな結界ごとき、私の力で!」
「お待ちをメガエラ殿、私も出ていきますゆえ」
 メガエラとユピターは外に出て、アズールのもとへと飛んでいった。
「ユピター、メガエラ、アズール……」
 心配そうに呟いたのはガルシアであった。
「大丈夫だ、ガルシア。奴らならやってくれるさ」
 ロビンは、ガルシアを安心させるように言った。
『オレの角で砕けや!』
「こんなもの私の力で破ってやるわ!」
「騎士の一突き、とくと御覧じろ!」
 天界の三人衆は、一度に結界に攻撃した。
 結界と三人衆の攻撃は激しくぶつかり合い、火花が散った。
「くっ! なかなかしぶといじゃない!?」
 メガエラは圧され始めていた。
「ぐっ、圧倒されそうだ……!」
『気をしっかり持つんや、ユピターさん!』
 強気を持つアズールであったが、アズールも結界に跳ね返されそうだった。
「……もう、だめだ……!」
 ユピターは結界に跳ね返され、地面に尻餅をついた。
『ユピターさん……! う、うわあああ!』
「きゃああ!」
 ユピターに続いて二人も結界に弾かれてしまった。
「これは……なんという結界……」
 ユピターは、完全に圧倒されていた。
「復讐の女神の私の攻撃で砕けないなんて、なんて屈辱!」
 跳ね返されただけで、大したダメージを負っていないメガエラはすっ、と立ち上がった。
「三人とも、大丈夫か!?」
 ロビンが船から叫んだ。
『体には異常はないで。しかし、どないしょう? このまま結界に阻まれとったらアレクスが……せや、こうなったらこれしかないな……』
 アズールに何か考えがあるようだった。
『メガエラさん、ユピターさん。二人の力を貸したってや』
「力を貸すったって、どうすればいいのよ」
『二人の純粋なエナジーをオレの角に集中させるんや。それで強化させた角で突けば、この結界は破れるはずや』
「確かに刺突の威力は斬撃を上回るが、上手く行くだろうか?」
 ユピターは、半信半疑であった。
「アンタに力を与えた所で、結界を打ち破る突きになるのかしら?」
 メガエラも疑いぎみだった。
『二人とも、疑う気持ちは分かるけど、これしか方法はないと思うで。頼む、オレの作戦を信じてくれ!』
 アズールは嘆願した。
「メガエラ殿、私はアズール殿を信じてみようと思う」
 アズールの嘆願に心揺さぶられたユピターは言った。
「アンタまで本気? ろくに力の無いアズールに力を貸すの?」
 やはりメガエラは、力を貸すつもりは無いようだった。
「アズール殿は我らと違った種族だが、力は神に匹敵する存在だ。きっとやってくれる」
 ユピターは完全に信じている様子だった。
『メガエラさん。もしかして自信がないんか? 復讐の女神の名前はこけおどしやないんやろ?』
「言ったわね! 誰の力がこけおどしですって!? そうまで言うなら力を貸してあげるわ。果たして使いこなせるかしら!?」
 アズール特有の煽りに乗って、メガエラは力を貸すことにした。
『ほな、メガエラさん、ユピターさん。エナジーをオレの角に向かって放つんや』
「分かった、我がエナジー、受け取ってくれ!」
 ユピターは、エナジーをアズールに向けて発動した。
「無駄にしたら、許さないからね!」
 メガエラも続いて発動した。
 ユピターの風、メガエラの火のエレメンタルがアズールの水のエレメンタルが合わさって、アズールの角は小さな虹色に輝いた。
『二人ともおおきにな。後は全部オレに任せるんや!』
 アズールは飛翔し、結界に向けて角を突き立てた。
 角と結界は激しいぶつかり合いとなった。
「グオオオオ!」
 アズールは圧されつつも咆哮を上げ、体勢を崩さず角で突き続けた。
 アズールと結界のぶつかり合いは激化し、エナジーがスパークを引き起こした。
「ガアアアア!」
 アズールと結界の戦いは、佳境を迎えようとした。
 アズールの角は限界を達し、ヒビが入り始めた。
「アズールの角が!」
 ロビンが危機を感じて叫んだ。
「くっ、俺達にできることはないのか……!?」
 神と天界の騎士のエナジーを受けて、なおも砕けないとなっては、ロビンやガルシアが手出ししても無駄なことであった。
「メガエラ殿、もっとアズール殿にエナジーを! このまま手をこまねいていては、アズール殿が負けてしまう!」
 ユピターは、アズールに更なるエナジーを与えることを提案した。
「気にくわないわね、とも言ってられないわね……」
 メガエラは、珍しく力を貸すことに賛同した。