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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 アレフガルド編5

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絶対はずせないっしょ、後はと、やっぱモンブラン……」
 
「……」
 
 
         パンッ!!
 
 
「そろそろスリッパも取り替えないと……、外観ボロボロだ……」
 
「……じゃあ叩くなよ……!!」
 
頭を押さえてジャミルが怒鳴った。光の鎧を着けて
いようがいまいが……、中身はいつものジャミルで、
結局は頭を叩かれる羽目になるのである……。
 
「じゃあ……、頭叩かれない様に……、いい加減に
精進してね……♡」
 
顔は笑ったままで血管を浮かせアルベルトがジャミルに迫る。
 
「すいませんねえ……」
 
……と言いつつも心の中でアルベルトに舌を出す
ジャミルであった……。
 
「あ……、あれ……!」
 
「何だ?アイシャ、どうかしたのか?」
 
「あそこ……、誰かモンスターと戦ってるの…!」
 
「んー?どこだ……?」
 
見ると、橋の中央で巨大なモンスターと見知らぬ男が乱戦していた。
 
「や……、やまたのオロチぃ……!?」
 
「いや……、多分違うと思う……」
 
「色が紫だしな……」
 
男の方はかなり筋肉が付いており、屈強な戦士らしかった。
しかし、その体は血と傷だらけでボロボロだった……。
 
「くっ……」
 
男が苦しそうに声を呻き声を上げる……。
 
「戦おう!僕らも加勢しなくっちゃ!!」
 
「よしっ!」
 
4人が男を救出しようと走り出そうとした、その時……。
 
 
「……ぐあああああああーーーッ!!」
 
 
間に合わず男はモンスターが吐いた炎にあっと言う間に焼かれてしまい、
身体はみるみる黒焦げになりその場に倒れる……。
 
「……そんな!」
 
無残な光景にアイシャは言葉が出ず、思わず目を伏せる……。
 
「くそっ……!、皆、おっさんを頼……、あ、あら……?」
 
「ギャース!ギャース!」
 
オロチ似のモンスターは八つの頭を振り回し、宙を飛び
逃げて行こうとする。
 
「……テメー逃げんのかバカヤロー!!」
 
「ギャース!」
 
「相手してやるっつってんのがわかんねーのか、アホンダラ!!」
 
負けじと王者の剣を振り回してジャミルが暴れ、
モンスターを追掛けようとするが……。
 
「ジャミル、駄目だよっ!一人で突っ走っちゃ……!堪えて……!」
 
アルベルトがジャミルを押さえて制止する。
 
「……畜生……」
 
ジャミルが悔しげにぐっと唇を噛みしめる……。
 
「そうだ……、おっさんは……?」
 
「……」
 
アルベルトはジャミルの顔を見て黙って首を
横に振るのだった……。
 
「……はあ、……はあ……、ううう……」
 
「回復魔法がもう……、効かなくて……」
 
「賢者の石も……、もう駄目みたい……」
 
ダウドも悲しそうに力なく肩を落とす……。
 
「おっさん、大丈夫か……!?しっかりしろよ……」
 
「そこに……誰かいるのか……?私はもう……、
目が見えないのだ……」
 
「……しっかりして……!死んじゃ駄目よ……!!」
 
アイシャも男の手を取り、必死で励ますが、男の体温は
どんどん下がり、身体は徐々に冷たくなっていった。
 
「……私の名は……、オルテガ……、アリアハンより……、
大魔王討伐の旅に出た者だ……」
 
「!!」
 
「……もし……、そなた達が……、アリアハンに寄る事が
あったなら……伝えてほしい……」
 
「……」
 
「……私には……、血の繋がらない息子と娘がいるのだ……、
ファラ……、ジャミル……、ああ、ジャミル……、ジャミルは
大きくなっただろうか……」
 
「お、おっさん……」
 
「ジャミルの方は……、本当に不思議な子だった……、
子供のいなかった私の目の前にある日突然現れたのだ……」
 
「突然て……、アンタ……」
 
アルベルトがジャミルを見た。
 
「出会った時の第一声が……、腹減った、何かくれ……、
だった、本当に変った不思議な子だった……」
 
「……腹減ったって……、アンタ……」
 
またアルベルトがジャミルを見た。
 
「真面目なんだかふざけてんだか……、わかんないよお……」
 
「これも神の思し召しと思い、二人の子を実の我が子の様に
大切に育てて来たのだ、……本当に楽しい日々だった……」
 
「ジャミルが……?神の子……、プッ……」
 
「……」
 
……横目でアルベルトを睨むジャミル。
 
「……オホン!ご、ごめん……」
 
「ファラの方は……、時には母親代わり、又……、姉としてよく
ジャミルの面倒を見てくれた……、ふふふ、かなり気は強い子
だったが……、う、ううっ……!!」
 
再びオルテガが苦しみだした。4人は急いでオルテガの状態を確認する。
 
「オルテガさん……!!駄目……、駄目よ……、目をあけて……」
 
アイシャがオルテガの手を握り、必死で名を呼び続け、
励まし声を掛ける。
 
「……息子に……、ジャミルに……、伝えてほしい……、世界を
平和に出来なかった父を……どうか……、許してくれ……、そして……、
ありが……とう、……と……」
 
そして……、オルテガは静かに息を引き取った……。
 
「……」
 
アルベルトがそっとオルテガの手を取ると胸の前で組ませた。
 
「……酷いよ……、こんなの……」
 
アイシャは只管嗚咽し泣き続ける……。

「……」
 
それまで黙っていたジャミルが急に立ち上がった。
 
「……ジャミル?」
 
「行こうぜ皆……、ゾーマの所へ……」
 
「ジャミル……」
 
アイシャがジャミルを切なそうな表情でじっと見つめた。
 
「……何かよくわかんねーけど……、すっげーイライラする……、
とことん暴れてやんねーと気が済まねえんだ……」
 
そう言ったジャミルの瞳は怒りで燃えていた……。王者の剣を
持つ手も震えている。
 
(……ジャミルが……、本当に……、本気モードになってる……)
 
(うわあ……、ジャミルかっこいいよお……)
 
「……あの八頭クソ化けモンも……、ゾーマもっ……!
絶対許さねえぞっ!!」
 
「あ!ジャミルっ!」
 
「……だああああっ!」
 
一目散にジャミルが走り出した。
 
「待ってってば!ジャミ……」
 
 
            ゴンッ!!
 
「ル……」
 
「……いっつ~……」
 
勢い余ってすっ転び転倒して地面に額をぶつけた
ジャミルが倒れて延びていた……。
 
 
「……大丈夫……?」
 
アイシャがジャミルのおでこにバッテン傷テープを
貼ってやるが、……コブが突き出て間抜けな餅状態に……。
 
「本当にシリアスが似合わない人だねえ……、君って……」
 
「うるさい……」
 
「アホ……」
 
「だから!ダウドに言われたくねーってば!!」
 
「もう少しで……、本当にゾーマの所にたどり着くのね……」
 
「ああ……、多分この先だ……、もう嫌な気配がビンビンすらあ……」
 
額のコブを摩りながらジャミルが呟く。
 
「……ジャミル……、私達4人はいつも一緒よ……」
 
アイシャがジャミルの手を握りしめた。
 
「アイシャ……」
 
「ジャミルは独りじゃないんだから……、ねっ……?」