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zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 新たなる冒険へ

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「……本当に判ってんの?ジャミル……、僕ら、ちゃんと
細かい処までしっかり調べてくるんだよ……?」
 
「洞窟ん中を調べてくりゃいいんだろ?ちょろいちょろい!」
 
「あの、確認の為にお伺い致しますが……、このパーティの
リーダーはあなたですよね……?」
 
少年が不安そうにアルベルトを見た。
 
「僕ですか?いいえ、違いますよ……」
 
アルベルトがちゃうちゃうと手を振ってジャミルの方を指差す。
 
「……なっ!?」
 
「俺だよ!」
 
「ああ……、頼む相手を間違えてしまったかも知れない……、
いや、かもじゃなくて……、間違えたんだ、完全に……」
 
少年がこめかみを押さえる。
 
「おーい……!さっきから何だよお前!気に食わねえな!」
 
(……やばいりゅ……、もう時間切れりゅ……)
 
「わ、分りました……、では、あなた方を信頼します……、
早く中に行って下さい……」
 
「はあ!?マジ訳分かんねえ奴だなあ!?」
 
「いいから……、早く行こう、時間が勿体ない……」
 
アルベルトがジャミルを引っ張る。
 
「……」
 
何となく不満そうな表情で少年をチラ見しながらアイシャも
ジャミル達の後を追う。……やがて、4人の姿が見えなくなり、
完全に洞窟の奥に消えた頃……。
 
「……な、何とか……、元の姿を見られなくてすんだりゅ……、
奴らが戻ってくるまでに……、魔力を回復させておかないと……、
と、どうも……、あいつらは弱すぎる感じりゅ……、信用出来ない
りゅ、やっぱり他の奴らに頼んでくるりゅ……」
 
少年が外でぶつぶつ呟いている頃……、4人は
薄暗い洞窟の中を歩いていた。
 
「大体、洞窟ん中なんかさ、モンスターがいなけりゃ
大概はそんなに心配いらねーよ!」
 
「……でも、岩山の洞窟の時みたいに……、
トラップあるかもしれないよお……?」
 
異様にダウドが慎重になる。前回の旅の経験から
少しは成長したのだろうか。
 
「それを調べるのが僕らの仕事だよ、後後の人が安全に
探検と鉱石収集出来る様にね」
 
「……」
 
ふと、何か気配を感じた様でアイシャが立ち止まる。
 
「奥に……、何かいるわ、気配がする……」
 
「ええっ!?でも……、もうモンスターはいない筈だよねえ……」
 
「先に進んでみないと判らないわよ、行きましょ」
 
「廃墟マニアがいたりしてな……」
 
ジャミルが苦笑いしてみる。
 
「……それはないでしょ、だって……、一番最初に
この洞窟に立ち寄ったのは僕達の筈なんだから……」
 
 
……ウ、ウウウ……ウ……ウ……ウウーーッ!!
 
 
「……ぴゃっ!?」
 
聞こえてきた謎の声にダウドが飛び上がる。やはり
ヘタレなのは前回から全く変わっていない。
 
「何だよ……、何の声だ……?やっぱり誰かいんのか……?
糞でもしてるのか……?」
 
咄嗟にアルベルトがスリッパでジャミルをいつもの如く
叩こうとするが気配を感じてジャミルが横に素早く避けた。
 
「……あれ?」
 
「残念ですたー!いつまでも毎回毎回大人しく頭叩かれる
俺でわない!あっはっはーだ!」
 
ドヤ顔になってジャミルが高笑いする。
 
「そう……、じゃあ……、これはどうかなあ……?」
 
「……いてっ!?」
 
「びっくり箱型、パンチングボックス……、何となく
面白そうだったから、リムルダールの土産屋で買ったんだ、
今度からこれでいこう」
 
「……や~め~ろっつーのー!!」
 
「しかも、これね……、四方向にグローブ飛び出るから……、
結構便利なんだよ」
 
「おい……、ダウド、コイツ何とかしろよ!!」
 
「オイラに言われても……、まあ、パンチ飛ばされない様に
気を付けるしかないでしょ……」
 
「……と、言う事です、僕の勝ちです、出直してきなよ」
 
「……きいーーっ!!覚えてらっしゃい!」
 
ハンカチを噛んでジャミルが地団駄を踏み悔しがる。
 
……と、男衆がバカやってる間に……。
 
「……あっ!?大変!アイシャがいないよお!!」
 
「……またかよ……、すげー油断した……、あんにゃろめ……」
 
いつもの如く、やられたとばかりにジャミルが肩を落とす。
 
「で、でも……、とりあえずモンスターは大丈夫だと思うし……、
とにかく早く追いかけよう!」
 
男3人は慌ててアイシャを追って走って行く。
 
 
「……ウ……ウウ……ウ……ウウーーッ!!」
 
 
「……ドラゴンさん……、お願いだから暴れないで……、
今助けてあげるから……」
 
「……サワル……ナ……ニンゲンモ……ゾーマモ……ミナ、
テキ……ダ……ウウウ……」
 
「……アイシャ!何やってんだよ!」
 
漸くアイシャの姿を見つけ、ジャミルが怒鳴る。
 
「ジャミル、皆!……それはこっちのセリフよ!遅いわよっ!
もうー!!」
 
「アイシャ、これは……、一体……?」
 
身体中血だらけ、酷い傷だらけで横たわるドラゴンの
姿を見てアルベルトが驚く。
 
「私にも分からないわ……、でも、このドラゴンさんは
敵じゃないわ、だって、もうゾーマはいないんだもの……、
アル、お願い……、ドラゴンさんを助けてあげて……」
 
涙目になってアイシャが必死でアルベルトに訴える……。
 
「……ニンゲンメ……、ウウウ~……」
 
「ぴゃうーっ!!」
 
ギロッとドラゴンが目線の合ったダウドを睨み、ダウドは
慌ててジャミルの後ろに隠れた。
 
「……うわ、こりゃ酷えな……、こんなガタイのすげーの……、
腹ぱっくりいってるじゃんか……、どうしたんだよ、本当に……、
この傷つけたの……、相当腕の立つ奴じゃねえか……」
 
「待ってよ……、この新しい洞窟……、一番最初に入ったのは
オイラ達じゃなかったの……?」
 
「とにかく、傷を治さなくては……」
 
アルベルトがドラゴンにべホマを掛け集中治療する。
 
「……ドラゴンさん……、もう少しだから……、痛いの我慢してね……」
 
アイシャがドラゴンの側にそっと寄り添い身体を支える。
 
「はあ、終わった……」
 
ようやく魔法を掛け終えて治療を終え、アルベルトが汗を拭った。
 
「アル、ありがとう!ドラゴンさん、もう大丈夫よ!」
 
「……ガルル……」
 
「んー?眠っちまったぞ……?」
 
ジャミルがドラゴンをちょいちょい突っついて確認する。
 
「ねえ~……、寝てる間に逃げようよお~……、目さましたら
襲い掛かってくるよお~……!」
 
「そんな事ないわよっ!それに、このドラゴンさんは
私達の言葉が判るみたいだから色々お話聞かなくっちゃ!!」
 
アイシャがヘタレダウドに怒る。
 
「……どうも怪しいんだよな……」
 
「……うん?」
 
アルベルトがジャミルを見た。
 
「あの案内人のいけすかねえ糞ガキさ……」

涙の宝石

4人はドラゴンが目を覚ますまで待って話を
聞いてみる事にした。
 
「……グ……?」
 
「あっ……、ドラゴンさん……、目を覚ましたのね……、
もう安心よ……、良かった……」
 
アイシャがドラゴンに寄り添い、優しくそっと身体を撫でた。
 
「ナ……ゼ……ダ……?」