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zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 新たなる冒険へ

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「だ……、だめよっ!そんなの!!」
 
「分った……」
 
目を伏せてアルベルトが静かに頷いた。
 
「ア……、アルっ!駄目っ……、やめて……、お願い……」
 
「アイシャ……、もう……眠らせてやれよ……、判るだろ……?
これ以上ドラゴンを苦しめたら駄目だ……」
 
ジャミルがアイシャの瞳を見つめ、肩をしっかり掴んだ。
 
「……わかんないよっ!そんなの……、だってだって……、もう一度……、
べホマの魔法を掛ければ助かるかも知れないじゃないっ……!!」
 
「アル……、わりぃ、このジャジャ馬を先に……」
 
「うん……、アイシャ……、ごめんよ……」
 
「アルっ……!?……っ……」
 
アルベルトにラリホーを掛けられアイシャはそのまま
眠りに落ちた……。
 
「……スマヌナ……、イヤナヤクメヲオシツケテシマッテ……」
 
「ううん……」
 
「……ニンゲンナド……、コザカシイモノダト
オモッテイタ……、ダガ……サイゴニオマエタチニ
アエタコトニ……、カンシャ……スル……」
 
「……」
 
ドラゴンはそのまま静かに目を閉じ……、閉じた瞳から涙が
一滴流れ、宝石へと変わる。
 
「……涙が……、宝石になっちまった……」
 
ジャミルがそっと宝石を拾い上げる。
 
「どうするの……?これ……、売ったら売れそうだよ……、ね?」
 
ダウドがちらっとジャミルの方を見る。
 
「……とてもじゃねえけど……、金になんか換える気になんねえよ……」
 
「だ、だよねえ……」
 
「やっぱり……、さっきドラゴンの身体にあちこち
付いていた傷は……、密猟者にやられた時のなのかな……」
 
「だろうな……、最近は一般の奴らでも殺し屋並みの腕が
立つかなり厄介な奴らもいるみたいだしな……」
 
「あ……」
 
「ダウド、どうかしたか……?」
 
「卵だよお……」
 
「卵……?あれか……」
 
ジャミルが奥を覗くと卵が残されぽつんと置いてあった。
 
「見た限り、もうすぐ産まれそうだよ、これ……」
 
「よし、持って帰るぞ……」
 
「……ええーーっ!?」
 
ジャミルの言葉にアルベルトとダウドが同時に声を揃える。
 
「あのドラゴンは卵を守ろうとしてたんだ、このまま此処に
残しといたら間違いなく、又違う密猟者に狙われちまう……、
卵を俺達で守ってやろうや……、それが俺達に出来るドラゴンへと
してやれる事だ……」
 
「分ったよ、ジャミル……」
 
アルベルトが頷く。
 
「……とりあえず、此処を出ようや……、あんの糞ガキめ!
どういう事なんかとっちめて理由を聞かねーと……!!先の
ドラゴンの傷といい、密猟者といい……、何が何だかわかんねー事
だらけだっ!!」
 
ジャミルが急いで眠っているアイシャを背負うが、その表情は
複雑そうである……。
 
「……ドラゴンの子……、育てるとか……、ううう~……、
これからまーた大変な事になりそうだよお~……」
 
ダウドが不安そうな声を洩らした。男衆はドラゴンの最後を
見届けた後、アイシャが目を覚ます前にと、沈痛な面持ちで
洞窟を後にするのだった。

新しい命

「……どう……、なってんだよ……」
 
ジャミル達が洞窟を出た後……、案内人の少年を探したが、
何処を探してもあの少年の姿は見つからない……。
 
「一体あの人……、結局はオイラ達に最終的には……、その、
ドラゴンの……、卵を取って来させようとしてたわけ???」
 
「……考えたってわかんねーよっ!あー!苛々するっ!」
 
「ねえ、密猟者達の依頼人て……、やっぱり……、僕らも利用されて……」
 
あまり口にしたくなさそうな表情で、アルベルトがジャミルを見た。
 
「……可能性は高いよな……、けど、何でドラゴンの事は
俺達にだけ嘘ついて伏せてたのか……、その辺もとっちめて
聞かねーと……」
 
「だよね……、卵を取ってこさせようとして何回も密猟者達に
頼んで失敗してたのかな……、で、でも……、だとしたら……、
あの人……、とんでもない組織と絡んでたんじゃないの……?
やばすぎるよおお……、ううう~…冒険者組合どころじゃない
よね……」
 
ダウドがぶるっと震えた。
 
「……金で釣って密猟者達に卵狙わせて……、何人もドラゴンに
返り討ちに遭ったのか……」
 
「まだ……、あんな若いのにね……、組織で相当上の方の
立場なんだろうか……」
 
 
そしてその夜……。4人は焚火の側で静かに夜を過ごす。
一方のアイシャは目を覚ました後も泣いてばかりだった……。
皆の側から一人離れて後ろを向き、只管嗚咽し続ける……。
覚悟はしていたものの、予想以上に悲痛なアイシャの泣き声を
男衆は辛い思いで背に受ける事になる……。
 
 
「……ひっく……、ふぇっ……」
 
「アイシャ……、もういい加減で泣くのやめてくれよ……、
頼むからさ……」
 
「……や、やめないわよっ……、ひっ……、ふえっ……、だって……、
ドラゴンさんは……、私を庇って死んだんだよ……、私……、
ど、どうしたらいいか……、判らないんだもん……」
 
「それはアイシャが悪いわけじゃないよお……、だからもう
泣かないで……」
 
ダウドもアイシャを慰めるが……。
 
「たく……、こっちが辛くなるじゃんか……」
 
ジャミルが立ち上がり、何処かへ行こうとする……。
 
「どこ行くんだい……?」
 
アルベルトが尋ねると、ジャミルは困った様に顔を
伏せると頭を掻いた。
 
「……もう……、見てらんねんだよ……、ちょっとそこいら
回ってくるわ……」
 
「あ……、ちょ、ちょっと待って……、ジャミル!」
 
「あー?何だよ……、ダウ……?」
 
「卵……、凄く動いてるよお!」
 
「何っ!?」
 
「ひっく……、うっく……」
 
「アイシャっ!」
 
ジャミルが後ろからがばっと、泣いているアイシャに覆い被さる。
 
「……きゃっ!?な……、なによお……」
 
「こっち来てみ!?ほらほら、いいから……!!」
 
「私……、そんな気分じゃな……?」
 
「アイシャ、これ……、ほら……、卵だよ、見てごらん……」
 
アルベルトがアイシャにドラゴンの卵を見せる。
 
「たま……ご……?ドラゴンさんの……?」
 
アイシャがそっと優しく卵に触れた……、その時……。
 
「あ……!」
 
4人が見つめる中、卵にヒビが入り……。
 
「ぴういーーっ!」
 
「……わあっ!」
 
雪の様に真っ白な……、小さなホワイトドラゴンの赤ん坊が誕生した。
4人はその姿に思わず魅入ってしまう……。
 
「ぴ、ぴ、ぴ、ぴーっ?」
 
ドラゴンの赤ん坊は不思議そうに首を傾げ、小さな羽を広げ
あどけない表情で4人の側をパタパタと飛び回る。
 
「……うはっ、すりこみだな、これ……、こいつ俺達の事、
親だと思ってらあ」
 
「うわあ……、くぁいい……、よおお……」
 
ダウドはもう赤ん坊ドラゴンにデレっデレである……。
 
「ふふっ、何だか変な気分だね……」
 
「ぴっ!ぴっ!」
 
赤ん坊ドラゴンはアルベルトにすり寄った後、アイシャの側へと
ふよふよ飛んでいく。
 
「ぴーっ!」