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zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 新たなる冒険へ

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「ほーら、もう泣くのはよせっつってんぞ、泣き虫アイシャ!
チビに笑われるぞ!」
 
「もう……、何よ……、ジャミルのバカ……」
 
「ぴ」
 
「……おいで、チビちゃん……」
 
「ぴっ!」
 
アイシャがそっと赤ん坊ドラゴンを抱きしめる。
 
「……初めまして、チビちゃん……、私はアイシャです、どうぞ宜しくね」
 
「ぴぴっ!」
 
こちらこそ宜しくとばかりに赤ん坊ドラゴンもアイシャに
すり寄って甘える。
 
「あ、アイシャ、オイラにも抱かせてえ~!」
 
「俺にも貸してくれよ!」
 
「ぼ、僕も……」
 
此処に親バカ4人も誕生す……。
 
 
更に夜も更けて……。
 
「アイシャ、まだ寝ないか?焚火の火、そろそろ消すぞ」
 
「うん……、チビちゃん見てたの……、見てこの顔、
眠っちゃったのよ」
 
アイシャがジャミルに抱いていた赤ん坊ドラゴンを見せた。
 
「ぴぴ……」
 
「……後生楽なツラしてんなあ……」
 
「ふふっ……」
 
「アイシャ……」
 
「ん?なあに?」
 
「これ、お前が持ってろや……」
 
ジャミルがアイシャにドラゴンが最後に流した
涙の宝石を見せた。
 
「親ドラゴンの……、形見だよ……」
 
「うん、ごめんね……、私、泣いてばっかりで……、でも、
もう泣いてられないね……、皆でこの子のお母さん代わりに
ならなきゃいけないんだもん……」
 
「……いいんだよ、無理しなくてさ……、あいつらも凄く
心配してるから……、さっきはああ言ったけどよ……」
 
「ジャミル……?」
 
「……正直、泣いてるお前は見たくねえ……、けど、
今は我慢すんなよ……、二人とも寝てるしさ……、その……、
俺が側に……、いてやるから……」
 
「ジャミル……、うん、ごめんね……、もう少しだけ……、
泣かせてね……」
 
「ああ……」
 
ジャミルの腕の中で、アイシャが静かに涙を流した……。
 
 
……次の日。
 
「みんなー!もうっ、いつまで寝てるのっ!朝よ!」
 
アイシャはすっかり元気を取戻し、いつものハッスル娘の
アイシャに戻っていた。
 
「……ったく、本当……、ゲンキンな奴だなあ……」
 
呆れた様にジャミルがまだ眠たげに欠伸をした。
 
「でも、良かったよ……、アイシャがまた元気を
取り戻してくれて……」
 
アルベルトがくすっと笑った。
 
「……ゲンキンな奴が元気を取り戻したか……、
ふぁあ~っ……」
 
「朝から寒いよ、ジャミル……」
 
「ん?まだそんな時期じゃねえと思うケド……?」
 
「……はあーっ……」
 
「ダウドっ!今日はダウドが一番遅いわよっ!」
 
「も、もうちょっとおおお~…」
 
「だーめっ!起きるのっ!」
 
「あああ……、ううう~……、残酷だああ~!」
 
ダウドが布を押さえてアイシャに抵抗する。
 
「……何が残酷よっ!起きなさいっ!!」
 
「あううーーっ!」
 
 
「ぴっぴ!」
 
赤ん坊ドラゴンが元気に飛び回りジャミル達に挨拶する。
 
「おー、お前も早えーなあ……」
 
「じゃ……み……、る……?」
 
「あ!?」
 
「ジャミル!今、この子……、言葉を……」
 
「ある……?」
 
「マ……、マジ……?」
 
「親ドラゴンだって僕らと会話出来たんだもの……、
この子だって……、喋ってもおかしくないよ……」
 
「おーいっ!アイシャ、ダウド!ちょっと来てみろ!」
 
ジャミルが慌てて二人を呼ぶ。
 
「……な、何だい……?」
 
「どうかしたの?」
 
「早く、早く!」
 
「ぴっ……、あい……しゃ……?」
 
「チビちゃん……?凄いわ……、あなたもお話出来るのね……?」
 
「だ……う……ど?」
 
「うわあ……、しゃ、しゃべ……、喋ってるよお……」
 
「じゃみる?……ある……?……あいしゃ?……だうど?
……ぴっ……」
 
「す、凄すぎるぞ……、天才だぞこいつ……、しかも産まれて
わずか一晩で……、……俺達の名前覚えやがった……」
 
あまりの赤ん坊ドラゴンの秀才ぷりにジャミルが
思わず興奮して震える。
 
「うん……、すごすぎるよおお……!ジャミルと違って
天才だよお……!」
 
「そうだな……、俺と違……、うるせーんだよ、バカダウド!」
 
「いたっ!」
 
「ばかだうど……?ばかだうど……」
 
「……うわーっ!そんなの覚えなくていいよおおーっ!」
 
秀才赤ん坊ドラゴンに慌てるダウド。
 
「ばかだうど、ばかだうど!」
 
赤ん坊ドラゴンが嬉しそうにパタパタ宙を飛び回る。
 
「……どうすんのさあーっ!余計な事覚えちゃったじゃないかーっ!!
よーし、もう一つ覚えようね、これはバカジャミルです、覚えてね、
チビちゃん!」
 
「あ……、この……!バカダウドめっ!」
 
「べーっ!」
 
ダウドがジャミルにアカンベをする。
 
「ばかじゃみる!ばかじゃみる!ぴーっ!」
 
「……二人とも!下らない事教えないんだよっ!」
 
……早速教育係になりつつ、アルベルトが二人を怒鳴る。
 
「わりィな、シスコン……」
 
「あっ……」
 
「しすこん!しすこん!」
 
「ジャ~ミー……、ル~ううう~……!!」
 
「……うわあーっ!俺知らねー!」
 
「オイラも知らなーいっ!」
 
「待てーっ!このバカ二人組ーっ!!」
 
「おれしらねー!おれしらねー!」
 
パンチングマシーンを持ってアルベルトが二人を追い掛け回し
その後を嬉しそうに赤ん坊ドラゴンがよちよち飛んで付いて回る。
 
「……全くもう……、本当、皆どうしようもないんだからっ!」
 
と、言いつつも嬉しそうな表情をアイシャが見せたのだった。

小悪魔、リトルデビルあらわりゅ

4人は依頼人の少年の事など忘れ、赤ん坊ドラゴンの
愛らしさに夢中であった……。
 
「ねえ、チビちゃん、あなたのお名前もそろそろ考えなきゃね……」
 
「お……なまえ……?」
 
赤ん坊ドラゴンがきょとんした顔でアイシャを見上げた。
 
「そうよ、私達にも名前がある様に、チビちゃんにも、
ちゃんとしたお名前を考えてあげないとね!」
 
「おなまえ、おなまえ!」
 
赤ん坊ドラゴンは小さな尻尾をパタパタ振りアイシャに甘える。
 
 
「……いい光景だねえ、オイラ和んじゃうよお……」
 
ダウドがちーんと鼻紙で鼻をかむ。
 
「ねえ……、アイシャが元気になってくれて良かったのはいいんだけど……」
 
「何だよ、アル、何か問題あるか?お前がそう言う顔するとさ、
何となく嫌なんだけど……、思いっ切り眉間に皺が寄ってるし……」
 
「問題ありありでしょ……、それは……、今はいいよ、今は……、
だけど、現実問題として、いずれはどうするの……?いつまでも
ドラゴンはこのまま小さいままでいられないんだよ……」
 
「あっ、そうだよね、チビちゃんもいつかは……、親ドラゴンと
同じくらい大きくなるんだよねえ……」
 
「……いつまでも一緒にはいられないんだよ……」
 
「分ってるよ、んな事……、けど、今ぐらいいいじゃんか……、
せめて今ぐらいよ……」
 
そう言ってジャミルは楽しそうにじゃれているアイシャと