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zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 ドタバタ子育て

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すっかりもう親バカモード全開なアイシャであった……。
 
「……はあ~、レナさん可愛い……、どうしよう……」
 
「ん?アル、なんか言ったか?」
 
「何も言ってないけど……」
 
「隣みたいだよお……」
 
「隣……?」
 
ジャミルが隣の席を見ると……、眼鏡の青年が
机に突っ伏して悶えていた。
 
「レナさん、レナさん、レナさん……、あああ……、
ああああ~!あそこが……、あそこが震える……」
 
「……まあ、色んな奴がいらあな……」
 
ジャミル達は注文したスイーツを残さず平らげ軽食屋を出た。
4人が店を出る時にも、まだ隣の席の青年は悶えていた……。
 
 
「満足したのかしら?チビちゃん、寝ちゃったわ……」
 
「きゅぴい~……」
 
「呑気な奴だなあ、相変わらず……」
 
楽しい夢を見ているのか、幸せそうな表情のチビを見て、
ジャミルが呆れる。
 
「ぷーぴー……」
 
「おい、鼻ちょうちん出したぞ!チビの奴!」
 
「……ジャミルったら!面白がらないのよ!!」
 
「ぽぷぷぴい~ぷ……、ぴい~」
 
「うわ……!謎の寝言……!」
 
「ジャミルったら……!!」
 
そして、歩いていく4人をこそっとストーカーする、
この小悪魔……。
 
「りゅ、りゅ、りゅりゅ……、この馬鹿野郎め……、
この間はよくもリトルを海に流してくれたりゅね……、
りゅっ!」
 
ベビーサタンは自身を又、少年の姿へと変えた。
 
「フン、今に見てろ……」
 
 
「……う~ん……、アイシャ……、チビ、おなか……
いたい……」
 
寝ていたチビが急に目を覚ます。どうやら様子がおかしい。
 
「え?ま、また……?」
 
「腹下したのか……?」
 
「うん……、さっきトイレに連れて行った時……、
少しお腹の調子が何だか悪かったみたいなの……」
 
「じゃあ具合悪いのに……、パフェなんか食いたがっちゃ
駄目じゃんか、こら!」
 
ジャミルがチビを突っつくが……。チビはかなり
お腹が痛そうである。
 
「……ぴい~……、いたいよ~……」
 
「困ったね……、ドラゴンの病気に効く薬なんか
無いだろうし……」
 
「ホイミ系魔法で何とかなんねえのか?」
 
「外観の傷を治すのと、身体の中の病気を治したり
するのは……、違うよ、無理だよ……」
 
「ごめんね、チビちゃん……、やっぱりパフェ
食べさせなければ良かったね……、ごめんね……」
 
「で、でも……、腹痛ぐらい、少し間を置けば
大丈夫なんじゃないの……?」
 
ダウドも心配そうにバッグの中のチビを見た。
 
「……でも、辛そうなチビちゃんは見ていられないわ……、
何とかしてあげなきゃ……」
 
「駄目で元々……、子供用の下痢止め、飲ませてみるか……?」
 
「そうね……、このままじゃ可哀想だものね……」
 
「……あの、どうかなさいまして……?お困りですか……?」
 
「えっ……?あ……」
 
ジャミル達が後ろを振り向くと、ピンク色の髪の
美しい少女が立っていた。
 
「えーと、知り合いの家の子が腹壊しちゃって、
それで、代理で薬を買いに来たんだけど……」
 
「まあ……、でしたら私、いい薬を持ってます、
ちょっと待ってて下さいね、今持ってきます」
 
「はあ……」
 
少女は薬を取りに戻って行った。
 
「何だか綺麗な人だねえ、凄く親切みたいだし……」
 
「うん……、そうだね……」
 
「そうね……」
 
アイシャはジャミルの方をジト目で見ている。
 
「……ちょっ、俺の方見んなよ……、言ったのは
俺じゃねえぞ……?」
 
「別にいいのよ、事実だもん……」
 
アイシャは膨れて横を向いた。
 
「お待たせしました、これをどうぞ……」
 
やがて少女が薬を持って戻って来た。
 
「ああ、ありがとう……、助かるよ、けど本当に
貰っちゃっていいのかい?」
 
「ええ、大丈夫ですよ、子供さん、暫く何も食べさせないで
ご様子を見た方が宜しいかと……」
 
「そうだな……」
 
「それでは、私はこれで……」
 
「あ、ちょっと待って……、名前……」
 
と、少女はジャミルが名前を聞こうと尋ねる前に
走って行ってしまった……。
 
「……とりあえず船に戻ろう……、チビに薬を
飲ませてみないと……」
 
「今日はこのまま船を動かさないで、明日又
改めてお礼を言いに来ましょ?」
 
「そうするか……」
 
「それにしても綺麗な人だったよお……」
 
 
 
そして……。一行がドムドーラを出た後……。
 
 
「……あいつら……、僕のレナさんに……、僕だって
まだ口を聞いた事ないのにい~……!!」