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zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 愛と恋とは違うのりゅ

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愛と恋とは違うのりゅ・2

「チビちゃん、お薬よっ、我慢して、さあ飲むのよ」
 
「いやっ!」
 
船に戻り、チビに薬を何とか飲ませようとする4人であったが、
案の定、チビは薬を嫌がり拒否し、船中を飛んで逃げ回る。
現在、……悪戦苦闘中……、である。
 
「……チビちゃ~ん、苦いの我慢しないと、お腹の痛いのも……、
治んないよお……?」
 
「やっ!」
 
「でも、人間用の薬がチビに効くかもまだ判らないし……」
 
「それでも飲ませなくちゃ!……チビちゃんっ!めっ!」
 
「チビ~、いう事聞かねえと……、デコピンするぞ……?」
 
「いやっ、ジャミルのばかっ!!」
 
ぷぅ……
 
チビはジャミルにお尻を向け、小さいおならをすると
パタパタ飛んで逃げて行った。
 
「……お~い~……、屁は小せえ癖にすんげー強烈でやんの……」
 
「誰の口真似かな……?」
 
「うん、誰の口真似だろね?」
 
「……アルもダウドも何で私の方見てるのよ……、って、
こんな事してる場合じゃないわ!
こら、チビちゃん!!待ちなさあ~いっ!」
 
「きゅぴぴぴー!」
 
「前途多難だねえ……」
 
「全く……」
 
4人は嫌がるチビを捕まえ、数時間掛けてようやく
薬を飲ませ終える……。
 
「はあ、やっと飲んでくれたわ……」
 
「これで薬が効いてくれるといいんだけどねえ……」
 
「とにかく一晩様子を見るしかないよ、今夜は
僕らももう休もう……」
 
「……顔引っ掻かれまくりだわ……、俺……、
もう疲れた……」
 
チビを捕まえようと一番格闘したジャミルが
倒れて延びていた……。
 
「ありがとね、ジャミル……、お疲れ様、
今、お薬つけるからね……」
 
チビに引っ掛かれ、顔中傷だらけのジャミルに
アイシャが傷薬を塗った。
 
「……いてっ、しみる!……はあ、けど……、
親になるって半端じゃなく大変なのな……」
 
「……本当ね……」
 
「プ……」
 
「何だよ、アル……」
 
「何よ?アル……」
 
「いや、何でも……」
 
 
そして、次の日……。
 
「きゅぴー!チビもうおなかいたくないよー!」
 
「良かった、薬がどうにか効いたのね……」
 
アイシャもほっと一安心である。
 
「……けど、チビ……、今日は夕飯まで飯は
我慢だかんな……?分ったか?」
 
「きゅぴー……、みんなといっしょにごはんたべたい……、
さみしいよう……」
 
チビが羽を窄めてしまい、しょんぼりしてしまう。
4人と一緒にテーブルを囲んでご飯を食べる事は
チビにとって毎日の幸せと楽しみなのである。
 
「……刺激の強い物は控えないとだけど……、柔らかい
ミルクのおかゆなら大丈夫よね……、作ってあげる、
おいで、チビちゃん」
 
……普段、破壊料理を作る率が高い彼女にとって、おかゆ調理は
ほぼ安全圏レパートリーの中の一つである……。
 
「きゅぴ!ミルクのおかゆ!」
 
「今日はあまりチビ連れ回さない方がいいな……」
 
「だね、又途中で催したら大変だからね……」
 
「あ、じゃあ……、チビちゃんはオイラが見てるよお!」
 
ダウドにチビの子守りを頼み、3人でドムドーラに再度出向き、
昨日の少女にお礼を言いに行く事に……。
 
「ミルク粥は沢山作ってあるから、間を見てチビちゃんに
食べさせてあげて頂戴ね、お願いね……」
 
「いってらっしゃーい!」
 
「いってらっしゃーい!きゅっぴ!」
 
 
「……来たな……」
 
ドムドーラに入って行く3人を少年の姿のベビーサタンが
物陰から見つめている。
 
「ん?今日はあの根性なしのオールバックカリフラワー頭が
いないのか……、ふ~ん、そんなのはどうでもいいが……、と、
肝心のチビドラゴンも姿が見当たらないじゃないか、それじゃあ
困るんだよ……、どうせならあの厄介な野蛮猿がいなければいいのに……」
 
と、人間モードになってもブツブツ独り言を言うのであった……。
 
 
「さてと、昨日の女の子を探さないとな……」
 
「昨日、女の子と会った場所で誰かに聞いてみようか」
 
「行ってみましょ」
 
「……誰か……、お探しで……?」
 
「あっ……!」
 
「お前は……!!」
 
ジャミル達の前に少年の姿に化けたベビーサタンが
姿を現す。無論、ジャミル達は全くそんな事を知らない。
……この少年の正体がベビーサタンなどと。
 
「……お前こんなとこまで何してんだよ!詐欺師!!」
 
「僕にはそんな事は関係ありません、偶々この町まで
足を運んだらあんた達がいたんで声を掛けただけですっ、
それより……、どうしてくれるんですか……?」
 
「は?」
 
「あんた達が仕事を失敗したから……、僕も責任取らされて
組合をクビになったんですよっ!!」
 
(……無論、そんな組合は無いし、リトルは何処にも
属してないのりゅ……)
 
「そうだったの……、私達の所為で……、本当にごめんなさい……」
 
「えっ、い、いや…その…」
 
……急に素直に謝り出したアイシャに少年は面食らう……。
 
「アイシャ、別に謝る事ねーぞ、大体、そんな嘘くせー組織、
そもそも存在するか事態わかんねーんだから!」
 
(ぐっ、相変わらずむかつく糞猿め……)
 
「でも、あなたは密猟組織とは何の関係もないんでしょ?
良かった……」
 
「はあ……」
 
(なんなのりゅ、この女は……、今一わからんりゅ……)
 
「どーだかな!」
 
(そしてこの猿は……、殴りたいりゅ……)
 
「……二人とも、早く昨日の女の子を探そうよ……」
 
待ちくたびれた様にアルベルトが口を開いた。
 
「あっ……?」
 
「?」
 
「あなた、頭怪我してるわ……」
 
「えっ、これは……、別に……」
 
(馬鹿野郎、これはお前がこの間リトルの頭を殴った時の跡りゅ……)
 
「薬草持ってるからあげるね、これを傷に塗っておくといいわよ」
 
「はあ、どうも……」
 
(自分で頭殴っておいて……、本当訳わからん女りゅ……)
 
 
……やめて下さいっ!
 
 
「……?」
 
通りの方から悲鳴が聞こえ、トリオは急いで
声のした方に駆けつける。
 
「あっ、ジャミル……、あの人、昨日の……!」
 
アイシャの声にジャミルが見るとそれは雅に昨日
ジャミル達に薬をくれたピンクの髪の少女だった。
どうやらタチの悪いチンピラに小さな子供と一緒に
絡まれているらしかった……。
 
 
「……お姉ちゃん、こわいよ……、どうしよう……」
 
「わりィのはそっちだろ……?そのメスガキの肩がさ、
俺っちにぶつかったんだけど!?」
 
「ですが……、わざとではありませんし、こんな
小さな子を脅して……、あなた大人げないですよ!!
恥ずかしいと思いませんか!?」
 
「……お約束の展開だな、けど……、何処にでもいるな、
ホント、あーゆーのは……」
 
「そんな事言ってる場合じゃないよ、早く助けないと……!」
 
「……」
 
(ほっときゃいいのりゅ……)
 
「よし、行くぞ!」
 
ジャミル達が飛び出して行こうとした、その時……。
 
「……やめろ……」