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zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 ダウド大暴走

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「……強く念じればどんな場所でも絶対に思った所に行ける筈だよ……」
 
「今度は扉ね、探しましょ」
 
「早い話が……、ど〇で〇ド〇……」
 
「何だい?、何語を喋ってるの?」
 
山竜がジャミルをジロジロ見た。
 
「んでもねえ……」
 
「でも、オイラ達……、竜の涙二つだけでも強く願ったら
旅の扉が出来て此処に来れたんだけど……」
 
「少しの場所まで移動するのと……、上の世界に行くのと格が
全然違うよ……、とてつもない魔法の力が必要なんだよ、判る?
その鍵はそれだけの魔法の力を持っているんだよ、凄い鍵なのさ、
アホな君達に……理解出来る?」
 
ダウドの方を見ながら山竜が呟く。
 
「あうう~……」
 
「とにかく、俺達はもう行くよ……、チビを起してくれよ……」
 
「……分ったよ、起きるんだ……、さあ……」
 
山竜がチビを鼻で突っついた。
 
「……きゅぴ……、みんな……?」
 
寝ぼけ眼でチビが目を覚まし……、皆の顔を見た。
 
「チビっ!」
 
4人は慌ててチビに駆け寄る。
 
「チビちゃん……!!」
 
アイシャが力いっぱいチビを抱きしめた。
 
「……チビ、またねちゃったの、それでね?ゆめみてた……」
 
「……またか、今度は何だ……?」
 
「みんなでおおきいおにくたべてた、そしたらもっとおにくが
おおきくなったからあわててみんなでいっしょにぜんぶたべちゃった……」
 
「よし、今度は独り占めしなかったな、偉いぞ!」
 
ジャミルがぐしぐしチビの頭を撫でた。
 
「きゅぴ、えらいでしょ!」
 
「また……、だからチビの夢の話だってば……」
 
「もう、チビちゃんたら、ホント、食いしん坊なんだから……、
そんなとこジャミルに似ちゃったのね……、ちら……」
 
アイシャが横目でジャミルを見る。
 
「あははははっ!!」
 
又チビに会えた喜びで一杯で……、4人の明るい笑い声が
塔中に響き渡った。
 
(一体何なんだい、この幸せそうな雰囲気はさ……、あのチビドラゴンも
……心から笑ってるじゃないか……、こんなのまやかしさ、僕は信じないよ、
人間なんか……)
 
「……さあ、もう用は済んだろう?早く此処から出て行ってくれよ……、
また変なのに来られたら堪らないからね……」
 
「そうか、んじゃね、もう二度と来ないと思うけどさ!」
 
4人はチビを連れて旅の扉から船に戻って行った。
 
「……これでやっと静かに眠れるよ……、又結界を掛けておかなくちゃ……」
 
 
……チビちゃんが卵だった時にチビちゃんを守ってくれていた
ドラゴンさんの涙の宝石よ……
 
そう……、地竜に預けておいた大事な子がいなくなってしまって
ずっと探していたんだ……、もう卵から孵っている頃だとは
思っていたけど……、やっと会えたね……
 
 
「一つだけ……、あいつらに大事な事を教えるのを忘れていたけど……、
……数時間前に、この塔を訪れたあの変な男は……?……地竜に卵を
預けたと言っていたが……」
 
山竜はジャミル達が去って行った方向を見つめた。ジャミル達、
4人がいなくなった後、既に旅の扉は消滅していた。
 
「どっちみち……、あいつらがあの子ドラゴンを女王のお城まで
連れて行けば……、すべてが円満解決になるだろう……、僕には
関係の無い事だ……」
 
山竜はそう言って再び塔に封印を掛け、眠りについた。
 
 
「アイシャ、チビはもう寝たのか?」
 
「うん、今日、帰って来てから、アルとダウドに一緒に遊んで
貰ってるうちに二人と一緒に寝ちゃったのよ、うふふ!」
 
「……アイシャ……、分ってると思うけど……、上の世界に戻ったら……、
チビは……」
 
「わかってるわ、チビちゃんを孵した時からずっと……、覚悟はしてるわ、
……いつかは……お別れなんだって……」
 
そう言ってアイシャは甲板の手すりから遠い海の彼方を見つめた。
 
「……そうか……、なら、いいけどさ……」
 
「何よ、泣いたりしないわよ、大丈夫よ!」
 
「いや、無理すんなよ……」
 
「チビちゃんの本当の幸せは私達と一緒にいる事じゃないわ、そうよ……」
 
アイシャはジャミルの顔を見ると小さく微笑んだ。
 
「でも……、あともう少しだけ……、時間が許されるのならせめて……、
残された時間を楽しくチビちゃんと過ごしたいの、後悔しない様に」
 
「……アイシャ……、うん、そうだな……」
 
「……うん、皆でチビちゃんと楽しい思い出いっぱい作ろ?……ね?」
 
「ああ……」
 
アイシャがジャミルの顔をもう一度見上げ、ジャミルもアイシャの肩を
そっと抱いた……。
 
 
一方の、塔からつまみ出されたバカ小悪魔は……、結界が強化された塔に
入れなくなり……。
 
「……このっ、このっ、……どいつもこいつも、この偉大なる
魔界の王子リトルデビル様を小馬鹿にしやがって……りゅっ!!
くそっ!!」
 
 
……ジャミル達も元の大きさに戻って船に戻ったのに気付かず……、
塔に入ろうと暫くは塔と戦っていたのであった……。

英雄達の忘年会


 
4人は小島に船を留め、夜間の休憩をしていた。
 
「さて、次は奇跡の扉ね……、……誰でも思いつきそうな単純な
ネーミングだな……、……それにしても今夜は冷えるなあ……」
 
宝石から変化した謎の鍵をプラプラさせながらジャミルが呟く。
 
「ジャミル、それおもちゃにして無くさないでよ?大事な物
なんだからね……」
 
本を読みながらアルベルトがジャミルの方を見、注意する。
 
「……分ってるよ、相変わらずうるせーな!」
 
「何処にあるのかな?その扉の場所……」
 
「それがわかんねーから只管探すしかねんだろ!バカ!」
 
ベッドに寝っころがった状態のまま、毒舌言葉でダウドを突っつくジャミル。
 
「なんだよお!機嫌悪いなあ!!」
 
「なんだよお!」
 
「……チビ?お前、いつ来たんだ?」
 
「押忍!さっき」
 
「……オス?」
 
「チビ、漢字覚えたんだよ!」
 
突然、男衆の部屋に現れたチビ。きゃっきゃっと尻尾を振ってお愛想する。
 
「チビちゃん……、又賢くなったんだねえ~……」
 
ダウドが感動してチビにスリスリする。
 
「本当だよ……、ますます頼もしくなったね……」
 
「チビ、凄い?凄い?」
 
「凄いよおお~!!」
 
「……」
 
どんどん成長していくチビを……、何となくジャミルは複雑な思いで見つめる。
 
(もう、いつ俺達と離れても……、大丈夫だな……)
 
「ジャミルー!遊ぼー!!」
 
「……うわっ!?」
 
突然チビがジャミルにジャンプしてドスンと腹の上に乗っかってきた。
 
「……重くなったな……、おい……」
 
「遊んでー!遊んでーえええー!」
 
チビはジャミルの腹の上でバタバタとじゃれて暴れる。
 
(けど、こういう処はまだ全然子供なんだよな……)
 
何となく安心して……、ジャミルはチビの首筋をひょいっと
摘んで持ち上げる。
 
「きゅっぴ!?」
 
「でも、もう夜だから……、今日は駄目だぞ!ほれ、寝るんだよ!」