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zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 終わりなき戦い

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二度ある出会いは三度ある?

「遅くなったのねー」
 
「ねー」
 
「なのねー」
 
「……どうやら、来たみたいだな……」
 
酒場に入って来たのは……、何と……。
 
「お待たせなのねー、途中で道に迷ったのねー」
 
「でも、ちゃんと来たのねー」
 
「えらいのねー」
 
「ボス……、本当にこいつらをスカウトしたんですか……?
まさか、冗談ですよね……、は、ははは……」
 
「……いや、本気だ……、それにこいつらは、あのガキ共と因縁が
あるそうだ……、奴らの事も色々と詳しいらしい……」
 
男はそう言い、再び酒に口を付ける。男が雇った助っ人とは、
あの基地害馬鹿トリオだった……。密猟者だけならジャミル達も
簡単に粉砕出来た物を……、こいつらの加入により状況は混乱し……、
4人は窮地に追い込まれる事になる……。
 
「はああ……」
 
「僕ら、炭鉱でコキ脅されたので、もう嫌になって逃げたのねー」
 
「そしたら、このおじさんに拾って貰ったのねー」
 
「助かったのねー、おじさんいい人なのねー」
 
自分達も充分おっさんである。
 
「てめえら、ボスに向かって……!何つー馴れ馴れしい
口の訊き方しやがんだ!?」
 
子分共が馬鹿トリオに向かって一斉に銃を向けた。
 
「……よさねえか、馬鹿野郎!!利用出来るモンは例えゴミでも
糞でも再利用するんだ!!」
 
「は、はい……、すみません……」
 
「さてと、俺は今夜の戦いの場の総仕上げに行く、よし、お前らも来るんだ……」
 
「なのねー」
 
「のねー」
 
「のねー」
 
「……マジでかよ……、ボス……」
 
子分達は事態に信じられず……。自分達はただ黙って上司の命令に
従う他はなかった……。
 
 
そして再び、ラダトームの宿屋……。
 
 
「で、何だよ、はっきり言えよ……」
 
「うん、チビと……」
 
「……」
 
「一緒に……、散歩いきたい……」
 
「……」
 
「だめ……?」
 
ペースケが恐る恐る……、皆の方を見て表情を覗う……。
 
「速攻で、駄目だっ!!」
 
「……けちい~!いいじゃねえかよ~!」
 
「大丈夫よ……」
 
「アイシャ!バカ言うなよ、お前まで何だよ!!」
 
「少しの間だけなら良いと思うの、ダウド、一緒に行ってあげて?」
 
「え?べ、別にいいけど……」
 
「!?」
 
(か、監視つきかよ……、こりゃまいったなあ……)
 
「ジャミル、ダウドが一緒なら大丈夫だよ……、チビと一緒に行っておいで……」
 
アルベルトがペースケに優しく声を掛けた。
 
「うん、あ、ありがと……」
 
(一人で行きたいなんて言っても、駄目だろうなあ、よし……、何とか
こいつをケムにまこう……)
 
「きゅぴ?ペー、チビとおさんぽ行きたいの?ねえ、ジャミル、
チビもペーと行きたい……」
 
「ぺ、……チビまでおれをペーかよ……、まあ、いいけど……」
 
何となく、照れ臭そうにペースケがチビを見た。
 
「仕方ねえ……、但し、時間は10分、ダウド、しっかり見ててくれよ……」
 
監視付き、時間制限ありの条件付きで、ようやくジャミルも折れた。
 
「ふふ、よかったわね、チビちゃんも、さあ、朝ご飯の時間も押してるから
急いで行ってらっしゃい」
 
「じゃあ……、行こう、宜しくね、ペー君」
 
「うん……」
 
そして、チビを連れたダウドとペースケはラダトームの町を歩く。
 
「ねえ、おれにもそのバッグ持たせてよ」
 
「え?いいよ、はい」
 
ダウドがチビの入っているバッグをペースケに渡す。ペースケは嬉しそうに
バッグを身体に掛けた。
 
「ありがとー!えへへ!」
 
「ねえ、ぺー君はずっとラダトーム滞在?」
 
「ん?一年前かな、おれ、親もいないし、あちこちの村とか町を
ふらふらしてんだよ、どこ行っても嫌われるよ、おれみたいなのはさ……、
でも、ここの町は結構広いし、ゴミ箱とか漁っててもあんまり誰も何も
言わないから、居心地がよくて……」
 
「そう……」
 
孤児としての複雑な心境と苦悩をダウドは即座に理解する……。この子も
小悪魔の友達である、亡くなった本物のリィトと同じ境遇なのだと……。
 
「zzz、きゅぴ~」
 
「あ、あれ?チビのやつ、寝ちゃったけど……」
 
ペースケがバッグの中を覗きこむとチビはすやすや眠ってしまっていた。
 
「ありゃー、しょうがないなあ、もう、チビちゃんてば、
二度寝しちゃったのかあ……」
 
(こ、これは、チャンスだ!後はどうにか、このダウドのお兄が
何とかして離れてくれれば……)
 
「じゃあ、悪いけど……、そろそろ宿屋に戻っていいかな?あんまり遅くなると、
ジャミルが噴火するからさあ……」
 
「あ、うん……」
 
(困る、それじゃ困る……、どうにかしなきゃ……)
 
「もし、そこのお兄さん、ちょっといいかのう……?」
 
「あ?はい……」
 
見知らぬおばあさんがダウドに声を掛けてきた。
 
(!こ、これは……、最大級のチャンス!!……なんつー
お約束展開なんだっ!!)
 
「ここの村は、年寄りでも安心して入れる、あたたかい温泉があると聞いて
来たんじゃが……、しっとるかのう?」
 
「あ、それは多分、マイラの方じゃないですか?それに此処は町ですし、
ですが、オイラ達も何回も温泉に入った事有りますけど、あそこは結構、
熱湯でしたよお?」
 
「それは、困ったのう……」
 
「でしたら、この町の宿屋のお風呂の方がですねえ……」
 
ダウドとおばあさんはすっかり話し込み始めてしまう……。
その様子を見ながら、ペースケは一歩、二歩、そろそろと後ずさり……。
 
「ごめんっ……!!兄ちゃんっ!!」
 
ペースケは猛ダッシュで一目散に駆け出す……。
 
「悪いのう、兄ちゃん……、忙しいところをお邪魔してしもうて……」
 
「いいえ、オイラでお役に立てれば……、良かったですよお~……」
 
非常事態に気付かないダウド……。一方のペースケは、バッグの中で
眠っているチビを抱えたまま、只管、町の出口目指し、突っ走っていた……。
 
「……大丈夫だよ、おれ、このままお前を悪い奴らになんか
渡したりしないよ、だから、誰にも見つからないところで、
おれと一緒にこのままくらそう、な?」
 
「ぴきゅ~……」
 
伸びをしながらチビがバッグの中でころっと丸まった。
 
「……ははっ、かわいいなあ~……」
 
猛ダッシュしつつも眠っているチビの顔を見つめ、癒されながら
ペースケは逃走を続けた……。
 
 
そして、宿屋……。
 
「んで?……で、それが一時間も遅れた理由か……?」
 
両足を組んでジャミルが椅子に座り、ダウドを睨む。
 
「ごめんっ!……ほんとにごめんっ……!!気づいてから慌てて追掛けて、
町中探したんだけど……、もう本当に何処にも姿が見えなくて……」
 
ダウドは皆の顔を見ず、只管俯いたまま謝り続ける……。
 
「ダウドだから……、信頼して任せたのに……、でも町中探しても
いないって事は、もう外に出ちゃった可能性も高いよ……、どうするんだよ……」