zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 終わりなき戦い
親父が合図すると、子分共が構えていた銃がジャミル達に
向かって一斉に火を吹くがダウドが投げた炎のブーメランが
子分共が撃った玉を粉々に砕き、銃本体も一斉に叩き割り破壊する。
「……伊達に大魔王と戦ってないんだよおー!!」
「……流石ですね……、本当に素晴らしい……」
親父が蛇の様に舌なめずりをした……。
「諦めろよ、お前は俺達に絶対勝てない……」
「嫌ですね!必ずお前らを抹殺し……!あのドラゴンを
この手に入れてやる!!」
親父が後ろの子分共に再び合図をすると、子分共の姿が今度は
一斉にアークマージに変化する。
「えっ……?な、何で!?モンスターが……!?」
「あの人達、人間じゃなかったの……?」
アルベルトとアイシャも唖然とし、状況が掴めないでいた……。
「こいつらは、人間である事を捨て、悪魔に自ら魂を
売り渡し……、モンスターになった哀れな人間の末路です……、
最も、私もそうなんですがね……」
親父はそう言い放つと、自身も殺人キラーマシンへと姿を変えた……。
「ククク、モンスター……、サイコウ……、クク、ククク……、
アンサツ、サイコウダア……」
「こいつ、狂ってやがる……」
「ジャミル、此処までやられたら、躊躇する事ないよ、倒してしまおう……、
こいつらの魂の浄化の為にも……」
「だな……」
4人は目の前の敵の姿をしっかりと見据える……。
「……俺がキラーマシンをやる、お前らはアークマージの方頼むわ!」
「分った!ジャミルも気を付けるんだよ!」
アルベルトが頷くとジャミルはキラーマシンの方へと走って行く。
「あう~っ!モ、モンスターとまともに戦うの暫らくぶりだから、
大丈夫かなあ……?」
不安に駆られながらも、ダウドが再び炎のブーメランをぐっと
握りしめる。アークマージ達の氷雪魔法攻撃に耐えられる様、
アルベルトがフバーバを張った。
「この手のモンスターは私の方の魔法が効きにくいのよね……、
アル……、お願い出来る……?」
「大丈夫だよ、バギクロス……!!」
強烈な鎌鼬がアークマージ達の身体を切り刻み致命傷ダメージを
与えていく。
「向こうは何とか、押してるみたいだな、心配ねえや……」
「ジブンノシンパイヲシタラドウダ?コゾウ……!!」
「おっと!危ねえなっ!」
キラーマシンが2連続攻撃を繰り出すが、機敏なジャミルは
咄嗟に避けて交わす。
「随分親切だね、あんた、注意してくれるとかよっ!!」
王者の剣を握りしめ、ジャミルが不敵な笑みを浮かべた。
しかし、キラーマシンも負けず機敏の為、どんどん動き回り
ジャミルを次第に追い詰めていく。
「……うっ!!や、やべ……」
キラーマシンの一撃がジャミルの右腕を切り裂いた。
「フフフ、ゾーマヲタオシタトキイテイタガ、タイシタコトハ
ナイデハナイカ、コゾウ……」
「はあ~、この一年……、俺も身体が鈍っちまってたからかなあ……、
マジでやべえかも……」
……斬られた腕を押さえながらジャミルが少し焦りを見せた。
「シネッ……!!」
キラーマシンが再び刃を振り下ろすがジャミルは咄嗟に
勇者の盾で辛うじて攻撃を受け止める。
「えいっ!当たれっ!」
「ダウド!!」
ダウドが加勢に入ってくれ、炎のブーメラン攻撃が
キラーマシンの頭部に命中した。
「向こうはアル達だけで大丈夫みたいだから、オイラも
こっちに物理で加勢するよ……!」
そう言って、ダウドもキラーマシンを見据えた。
「助かるぜ、ダウド!」
ジャミルがそう言うとダウドが頷いて白い歯を見せ
ニッと笑った。
「ダウド、……いけるか?」
「うん、大丈夫……!」
「ギガディンで一気にやっちまおう……、詠唱の間、何とか
持ちこたえてくれ、頼む……、俺、普段あんまし魔法使わねえからな……、
でも何とか、やってみっから……」
「わかったよっ……、ジャミルっ……!!」
ダウドが何とか足止めしてくれている間にジャミルは
呪文の詠唱を始めた。
「ジャマダ、ザコメ!オマエニハヨウハナイッ……!!」
「き、傷つくなあ~……!オイラだって、やる時はやるんだぞっ!!」
ダメージを全然与えていないのはダウドも承知だが、それでも何とか
時間を稼ごうとダウドが奮起する。
「……あうっ!!いっ……いった~!!」
キラーマシンがダウドの身体を斬り裂き、ダウドは地面に倒れ込む。
「よしっ、魔法力キタっ……!ダウド、待たせたな!
電撃最大級魔法っ……!!ギガディンっ……!!」
ありったけの魔法力を最大限に込めたギガディンを
キラーマシンにぶつけ……、鋼鉄のボディは一瞬で
黒焦げになった……。
「……あああ~、これやると……、やっぱ、俺にも
すんげー副作用……」
「あ、アルーっ!!早く来てーーっ!!ジャミルがーーっ!!」
何とか、アークマージの方も粉砕したアルベルト達が
慌てて駆けつける。
「大丈夫かい……?」
「ああ、大丈夫だ、……久々だったからな……、ダウドの方も頼むな、
斬られちゃってんだ……」
「わかった……」
ジャミルの方も治療し終えると、ダウドにもアルベルトが
べホマを掛けた。
「はあ~、助かったあー、アル、ありがとう……、えへへ、
オイラもちょっとは戦える様になったかなあ……?」
「……グググ、ウウウ、グ……」
「……まだ、動いてるわ!気を付けて!!」
「フン……、ワレラソシキヲ……、カイメツサセタカラトイッテ……、
イイキニナルナ……、……ニンゲントイウエゴガコノヨニ
ソンザイスルカギリ……、ドラゴンハエイエンニネラワレ
ツヅケルデアロウ……、シンニオソロシイノハ……、ニンゲン
ナノダカラナ……、……ク、ククク……」
キラーマシンはそれだけ言うと完全に事切れ、機能を失い停止した……。
「分ってんだよ、それでもチビは……、守れる限り、
俺らが守るのさ……、守ってやんなきゃ……、側に
ついていてやれる限り……、な?皆……」
ジャミルの言葉に他の3人も静かに頷く……。だが、
上の世界に戻ればその役目も、もうすぐ終わる事を
4人は嫌でも理解していた。
……密猟者との戦いなど永遠に終止符を討てない事も……。
作品名:zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 終わりなき戦い 作家名:流れ者