zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 終わりなき戦い
「おめーなっ!暫くそれ使わねーと思ったら……、ちゃっかり、
まーだ持ち歩いてんのかよっ!!……なのね……」
アルベルトに後頭部を思い切り叩かれ、頭を押さえながら
ジャミルが喚いた……。
「ん?僕、いつも持ってるけど?どうして?」
「この、ドS、ドMめえ……、なのね……」
「……アルーっ!!元に戻ったあー!あーん!!」
安心したのか、堪らずアイシャが泣き出す……。
「アイシャ、な、泣かないでよ、どうしたの……」
泣き出してしまったアイシャをアルベルトが慌てて慰めた。
「とりあえず……、魔法ももう大丈夫か……?なのね」
「あ、うん、調子が戻ったみたいだ……」
そう言ってアルベルトが再びメラを出してみる。どうやら魔法の
コンディションの方もすっかり元に戻った様であった。
「よし、俺と……、後、後ろのアホの毒も消してくれ、頼む……、
なのね……」
「たりらりら~んの、こにゃにゃちわ~……」
アルベルトはジャミルの毒舌により、自力で毒素を中和し、再び
魔法力の戻ったアルベルトのキアリーで、ジャミルとダウドも
どうにか毒素を中和する事が出来たのだった……。
「はあ~、まさか……、僕がジャミルの毒舌で助けられるなんて……、
何か妙にムカムカしてきたなと思ったら……、自然と自分の意志と感情が
戻ってきたんだ……」
「感謝しろよ、俺に!」
「いやですっ!!」
アルベルトがジャミルにアカンベーをした。
「なっ……!?こんのシスコンめ……!!」
「何だか、今日は二人のケンカをみられるだけでほっとしちゃうわ……、
何も変わらないって、本当に嬉しい事なのよね!」
涙を拭きながらアイシャが二人を見て微笑んだ。
「アイシャ……、へへっ、そうかもな……」
「うん、そうだね……」
照れながらジャミルも笑い、照れながらアルベルトも笑う。
「だけど、ねえ……、これどうするの……?」
お騒がせダウドも、もうすっかり元に戻っていた。
「この野郎……、早くここから出せなのね……」
「砂って熱いのね~え……」
「しっこもれそうなのね~……」
馬鹿トリオは北京ダックの如く、首から下を地面に埋められ、
頭だけが地上に出た状態でジャミル達に向かって吠えている……。
「おい……、おめえらに聞きたい事があるんだよ……」
「フン!話す事なんかないのねえ~!」
「ねえ~!」
「のねえ~!」
馬鹿トリオは揃って抵抗する。それを見たジャミルはやれやれと
声を洩らした。
「……仕方ねえ、古典的だけど……、リンチさせて貰うぞ……、
やれ、ダウド!」
「うん、……はい、これ……」
ダウドが棒に刺した茶色の物体を馬鹿トリオの顔の正面に付き付けた……。
「これはリンチじゃなくて……、……ウンチなのねえーーっ!!」
「うりうりうり……」
「……この外道めっ!何て酷い事をするのね~っ!!」
「鬼~っ!!」
「悪魔~っ!!」
馬鹿トリオは揃ってぎゃんぎゃん泣き喚く。
あまりのアホな状況にアルベルトは側にあった置き石に座り、
事が進むのを只管待つ……。
「……時間の無駄だなあ……」
「でも、ここ廃屋の空き家さんで良かったわね、殆ど土と
瓦礫ばっかりだもんね……」
「ああ、あいつらを頭から埋めるのには丁度適してたなあ……」
「いい加減、全部しゃべってよお~……、ほら、食べてよ、
美味しいからさ……」
遂にダウドが痺れをきらし、茶色の物体をリーダーの口元へ……。
「わかった、わかったのね~!全部話すのね~!」
「あのおっさんが全部悪いのねー!」
「あのおっさんは密猟者のお偉いさんなのねー!」
馬鹿トリオはあまり、細かい詳細や状況などが判っておらず、
それ以上の事は話せない様子であった。
「……そうかい、判ったよ、んじゃあ、やっぱり、アイシャが
伝えてくれた通り、あの糞親父が密漁組織の黒幕っつーことは
本当なんだな……、ま、こいつらからこれ以上聞き出すのは
無理そうか……、間も無く奴が此処に来るのは間違いないな……」
「そうね、私が逃げたほこらからもうすぐ、手下の追手も
此処まですぐ来るわよね……」
「つんつん、つんつん……」
「こら~っ!!ちゃんと喋ったのにっ!お前は何をするのね~っ!!」
「おい、ダウド、もういいぞ……、次は恐らくちゃんとした
バトルになるからな……、お前もきちんと準備しとけよ……」
「わかったよお~!」
ダウドがウンチの付いた棒をほおり投げた。
「助かったのねえ~……」
「のねえ~……」
「ねえ~……」
そして、馬鹿トリオは邪魔なので、アルベルトがラリホーを掛けた後、
バシルーラで遠くへ飛ばす……。
「よし、有害物質、排除完了したな……」
「どうせ、いずれまた何処かから現れるだろうけどね……」
と、アルベルトがぼやいたその時……。
「……皆、足音がするわ……!!」
「来たな……!大丈夫さ……、大した事ねえよ……」
やがて、あの親父を筆頭に密猟者集団が空家に姿を
現したのであった……。
「……」
「皆様……、大変お待たせ致しましたね……、こちらの方が先に
行って待っていると言ったのですが、変更してしまい失礼しました」
親父の後ろには銃を構えた子分が数十人……。
「別に、待っちゃいねーけど?全然……」
「私達は、あの大魔王ゾーマを倒したと云う、勇者一行をずっと
探しておりました……、とても面白い相手だと思いまして、是非
お相手をさせて頂きたいと日々願っておりまして、あなた達を
長い間探しておりました、そうしたら念願叶って、偶々滞在した
ラダトームでお会いした方々だったとは、本当に光栄でしたよ……、
あなた方の事はラダトームに来る前に、道で拾った基地害トリオさんから
お話を伺いましたので……」
「じゃあ……、……私達の事も、最初から狙っていたの……?」
アイシャの顔が真っ青になる……。
「密猟だけじゃなくて……、オイラ達も狙われてたんだ……」
「本業、密猟ですが……、暗殺業も営んでおりますので、
頼まれましたら快くお殺し致します、貰える金次第では
依頼者様の最高のお好みの殺し方を致します」
「……趣味悪いよお……~」
「そいつはどうも……、けどあんたも随分回りくどい事すんね……、
わざわざ味方を装ってさあ……、俺らを探してたんだったら、
さっさと奇襲すりゃ良かったんじゃね?」
「私は紳士なのでですね……、きちんと過程を踏んでから
事を始めるのです……」
そう言って、親父が腕を上げると、後ろの子分共がジャミル達に
一斉に銃を向けた。
「何が紳士だ、アホンダラめ……!!」
「……まあ、あなた方が子供ドラゴンを保護していると、
教えてくれましたので……、すぐに殺さず作戦を練ったわけです……、
ドラゴンは何処です……?」
「教えるかよっ……!馬鹿野郎……!!」
「やれ……」
作品名:zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 終わりなき戦い 作家名:流れ者