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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 31

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第百三章 THE LEGEND OF SOL


『お、終わった……』
「まだ倒れてはいけませんよ、ロビン……」
 全力以上の力を発揮した後で、ロビンとイリスには、もうほとんどの力が残ってはいなかった。
『皆のところに戻ろう、まだ飛べる力が残っている内に……』
「そうですね、私は大丈夫ですが、ロビンは飛べませんものね。空で融合が解けたら大変ですからね……」
 ロビンとイリスは、羽ばたき、仲間達の待つアルファ山を目指した。
 二人は僅かな飛行でアルファ山に戻り、翼を畳んで地上におりた。
 着地するとほぼ同時に、ロビンとイリスの融合は解けた。
「はあぁ……」
 ロビンはため息をつき、手に持っていたソルブレードを落とし、地面に倒れ込んだ。
「ロビン!」
 地上にいた全員がロビンに駆け寄った。
 ロビンは、かなりの疲労で気を失いかけながらも、皆に向けて親指を立てた。
「……ありがとうな皆、やってやったぜ……!」
「メアリィ、回復だ」
「はい! 『グレイスフル・ウィッシュ』」
「ありがとう、メアリィ」
 ロビンは起き上がった。
「そうだ、イリスにも! メアリィ、頼む」
 ロビンが言った。
『グレイスフル・ウィッシュ』
「ありがとうございます、メアリィ」
「終わったんだな、ロビン?」
 ガルシアが訊ねる。
「ああ、暴走した錬金術は完全に断ち斬った。核を成してたウィズダムストーンもな。もう世界を脅かすものはなくなったはずだ」
 ロビンは、地面に転がったソルブレードを拾い上げた。
「こいつには感謝しなきゃな」
 七色に輝いていたソルブレードは元の姿に戻っていた。今まで同様に切っ先からドーム状のエネルギーを放出している。
 ふと、辺りに光が照らされた。
「まぶしっ!」
「一体なんだ!?」
 一同は目が眩んだ。視界が元に戻るとそこには、見覚えのある者がいた。
「見事なり、イリス。人の子よ」
「ソル!」
 太陽神ソルが再び姿を見せた。
「余は天界より見ていたぞ。よくぞウェイアードを守りきった」
「見てたんなら、力を貸してくれてもよかったじゃねぇか……」
「ジェラルド、失礼ですよ」
 イワンがジェラルドを諭した。
「いや、余も力を貸したかった。しかし、余はウェイアードに関与できぬのだ。余が何かしら関与しては、ウェイアードのバランスが崩れ、ウェイアードが壊れてしまう可能性があるのだ」
 ソルは、見た目こそ子供であるが、内に宿す力は天界で最強と言われるイリスすら超えるほどであった。
 しかし、その力が強すぎる故に、ソルは全ての神々にとって雲の上の存在であり、イリスが天界で最強なのは、ソルがそのような存在であるため、ソルを除いた序列であるためだった。
「イリス、余に導かれし虹の女神。よくぞウェイアードを救ってくれた。礼を言う」
「いいえ、あの時のソルの助言が無ければ、ウェイアードを救うことはできませんでした。それに、ウェイアードを真に救ったのは、ここにいる人の子全ての力。私だけではありません」
「ふっ。余に導かれし力を持ちながら謙虚なことよな」
 ソルは、小さく笑った。
「いや、謙虚だからこそできたことか。余も見習いたいところだ」
 ソルは、ロビンを向いた。
「人の子、いや、闘霊といったか。よくぞ余の剣を使いこなした。余の剣の再生の力、『ソ・ラルカンシエル』は相当の神力がなければ使うことはできぬ。主の闘霊の能力は、神をも超えるものやも知れぬな……」
 ソルは、ロビンの能力に興味があるようだった。
「いえ、あれができたのはイリスの力添えあっての事です。いや、むしろイリスの力がほとんどでした。オレは何も……」
「ふっ、闘霊ロビン、主も謙虚だな。力ある者、皆がそうであれば、争いなど起こらぬのだろうな」
 ソルは微笑した。
「メガエラらの事は残念だったな……」
 暴走した錬金術に特攻をかけ、死んでいったメガエラ達を想い、ソルは一転、悲しげな表情を浮かべた。
「ソル様のお力で生き返らせる事はできないのですか?」
 メアリィは訊ねた。
「残念だが、余にそのような力はない。たとえあったとしても、神や神子を生き返らせる事はできぬのだ……」
 ソルは目を伏せる。
 神や神子を生き返らせる事はできないのは、どうした事かというと、人間と神の生命の違いが理由の一つであった。
 人間の生命は転生の輪廻から外れない限り、新たな人として生まれ変わることができるが、神と神子はそもそも転生の輪廻というものがない。
 人間は、転生する前に再び生命力を与えてやれば生き返ることができるが、転生の輪廻の無い神と神子に、新たな命を吹き込む事ができないのである。
 故にメガエラ達を生き返らせる事はできないのであった。
「許せよ、なにもしてやれぬ余を」
「湿っぽい話しは終わりにしましょう。アイツらはイリスを守ることを喜んで死んでいきました。ソル様には、何の落ち度もありませんから」
 すっかり悲しみにくれたソルを励まそうと、ロビンは努めて明るく振る舞った。
「優しいのだな、ロビン。そうだな、主とイリス、いや、主ら全員の力でウェイアードを救えたのだ。今は喜ぶべきだな」
 ソルの顔から、陰りが消えた。
「もう一度言おう。よくやったぞ、イリスとロビン、人の子らよ。主らには感謝しかないぞ」
 ソルの体がぽうっ、と光を帯び始めた。
「ぬっ? もう時間が来てしまったか」
「どうしたんですか、ソル様?」
 ロビンが訊ねた。
「時間切れだ。余がウェイアードに顕現していられるのには限界があるのだ」
 ソルのような太陽神の神格がある神は、その大きすぎる力が下界を、無意識に破壊してしまう事が起きてしまうのである。
 故に、ウェイアードの防御反応によって、ウェイアードに拒絶されてしまうのだった。
「……余はもう行かねばならぬ。これ以上ここに有ったら、せっかく主らが救ったこの世界を壊してしまう」
「ソル様がウェイアードに代わって消えると言うのですか!?」
「心配する必要はないぞロビン。消えたりはせぬ。余は余の役目に戻るだけぞ。そう、この世界を照らす光にな」
 太陽神ソルは、ウェイアードを照らす太陽に戻ろうとしていた。
「余が顕現せねばならぬ時はもう訪れぬことを、余は切に願う。ウェイアードの平和は主らに託された。余はずっと見ておるぞ。遥か高く天からウェイアードを照らしてな……」
「ソル様!」
「ああ、言いそびれた事があった。ロビンの持つ太陽神剣ソルブレードだが、主にくれてやろう。世界を救った主であれば、正しいことに使ってくれると信じておるぞ」
 ロビンはソルブレードを託された。
「分かりました。大切にします」
「うむ、ではさらばだ、ロビンとその仲間達!」
 ソルは最後に言うと、何も残す事なく消え去った。
「そうだ、イリスはどうなるんだ?」
 ロビンが訊ねる。
「どうとは、何の事でしょう?」
「ソル様のようにウェイアードに拒絶されるような事はないのか?」
「ああ、そのことですか。私は単なる虹の女神。ソルのような神格はありません。ただ天界の神々の中でほんの少し力が強いだけ。だからこうして普通にしていられるのです」
 天界で最強の力を持ちながら、イリスはその力に傲ることはなかった。