zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 さよなら、チビ
漸く掴んだ小さな手掛り
ジャミル達4人と密猟者組織との戦いから数日が過ぎた頃……。
「ただいま……」
「ああ、お帰りなさい、皆さん、今日はどうでしたか…?」
「駄目だった、さっぱりだよ……」
「そうでしたか……、お疲れ様でしたね……」
ジャミル達はあれからも情報収集の為、毎日の様に宿屋から
城に通いづめであり、夕方に帰宅するその姿はまるで大学から
寮に帰ってくる学生の様でもあった。
「兄ちゃん達、お帰りー!」
「おう、ペースケ、さぼらずちゃんとおじさんとおばさんの
手伝いやってんだろうな?」
「何だよ、ちゃんとやってるさあー!!」
「本当に、毎日毎日手伝ってくれるのでとても助かって
いるんですよ、ね?ペースケちゃん」
「……お、おれ……、買い物行ってくるっ!確かおじさんが
パン粉足りないって言ってたからさあーー!」
おかみさんに褒められて照れながら、ペースケがダッシュで
宿屋を飛び出していった。実の親もおらず、孤児で身よりの無い
ペースケは子供の出来ない宿屋の夫婦の養子として迎えられたのだった。
「……ま、俺の事、短足って呼ばなくなっただけ、成長したかね……」
「あの、おかみさん、チビちゃんは……?」
アイシャがこそっとおかみさんと会話する。
「大丈夫ですよ、今日もペースケちゃんに沢山遊んでもらって、
疲れてお部屋で寝てますよ」
「そうですかー!うふっ、寝顔見にいっちゃおーっと!これが楽しみでー!
一日の疲れもふっとんじゃうわあー!」
親馬鹿アイシャがルンルンで部屋に走って行った。
「……旦那さん、おかみさん、本当にすみません……、僕ら
何日も宿をお借りっぱなしで……、このお礼はいつか必ず……」
アルベルトが夫婦に頭を何度も下げた。
「いやいや、気にしないでおくれや、わしらあんたらの事が本当の
子供の様に可愛くてしゃーねーんだよ、もちろん、ペー公もな……」
「そうですよ、お気になさらないで下さいね、どうか……」
「え、えへへ……」
照れ臭そうにジャミルが頭を掻いた。
「ほわあ、取りあえず密猟者の方も、これで一旦は
落ち着いたのかなあ……」
「まあ、大丈夫だろ……」
ダウドが呑気に欠伸するその横で、ジャミルが腕組みをし、頷く。
そして、次の日も、4人は城の地下資料室で本の山と格闘していた……。
「もう、大分此処の本も重要書籍も、読んだ様な気がするんだけど……」
「まだまだ、半分もいってないよ、ダウド……」
「あうう~……」
どうしようもない事実にダウドが思いっ切り首を横に曲げた。
「……はあ、常夏の島、ワイハかあ~、いいなあ……」
「ジャミル、何読んでるのよ、見る物が違うでしょ……」
「オメーこそ、何だ?その本、それ猫の写真集じゃん…」
「え?こ、これは別に……、少し息抜きよ……」
アイシャが顔を赤くし、慌てて本を閉じた。
「二人とも、ちゃんと真面目に探そうよ……」
アルベルトが注意するが……。
「……ぐう~!ぷうう~……ふにゃ……、?あっ!いけない!
本にヨダレ垂らしちゃった……、えへへ……」
ダウドが誤魔化し笑いをする。作業、相変わらず一向に進まず。
それでも、いれば悪戯をするチビを日中おかみさん達に預かっていて
貰えるだけでも資料を探す分、大分楽にはなっていたのだが。
「はあー、いつになったら終わる事やら……」
「そう言うけどよ、アル、この莫大な資料の中から目当てのモン
探すとなると、相当の時間掛るのが当たり前だろうが……、しかも
ほぼ誰も知らん知識だしよ……」
「それはそうだけど……」
「いいじゃん、ゆっくり探そうよおー!その方がいいんだからさ……、
えへへ……」
本にうっかりつけてしまったヨダレを拭き拭き、何故か嬉しそうな
顔をするダウド。
「……そろそろ、今日も時間だわ、引きあげましょ?チビちゃんが
待ってるわ」
今日も何も進展はないまま日も暮れ、4人は宿屋へと戻って行く……。
「きゅっぴー!お帰りなさーい!」
部屋へと戻った4人をチビがお帰りなさいのご挨拶。
「きゃー!チビちゃーん!ただいまー!今日もいい子
だったかしらー!」
帰宅後の、アイシャのチビハグハグ攻撃が炸裂する……。
「ちょ、アイシャ……、ずるいよおー!オイラにもチビちゃん
抱かせてよおー!」
アイシャの後ろでぴょんぴょん跳ねダウドが嫉妬する。
「……」
「ジャミル、本当は君もチビをギュウギュウしたいんでしょ……?
プ……」
「はあ?ば、馬鹿言ってんじゃねえっつーの!」
「いいんだよ、無理しなくて……、人間、素直が一番
なんだからさ……」
「うるせーな、このシスコンめ!」
「……意地を張るなって言ってるんだよ!この、動く
爆弾屁こき大仏!!」
「未来のアデランスinアートネーチャーは黙ってろっつーの!!」
……ジャミルとアルベルトの意味フ毒舌合戦が始まる中、
後ろでは癒しを求めてマイペースな皆様。
「今日もペーに沢山遊んで貰ったのー!楽しかったよおー!」
「そうなの、いいお兄ちゃんが出来て良かったわねー、
チビちゃん!」
「でも、今日はね、ペー、何となく元気なかったよお……?」
チビがアイシャの顔を見上げる。
「そうなの……、でも、心配ないわよ……」
「きゅぴ~……」
「さあーっ!チビちゃん、夕ご飯の前に、オイラと散歩いこーねっ、
アイシャ、ショルダーバッグーっ!」
「もう、ダウドったら……、はい……」
アイシャがダウドにバッグを手渡すとダウドは張り切って
チビをバッグに入れる。
「んじゃあねー、行って来まーす!さあチビちゃん、オイラと
愛の逃避行だあーっ!」
「きゅぴーっ!だあーっ!」
「……おい、そのまんま、本当に逃走すんなよ……?」
しかし、部屋を出て行った後、すぐにダウドとチビが部屋に
戻って来た……。
「ありゃ、もう逃避行やめたのか……?」
「行きたかったんだけど、ペー君が大変みたいなんだよお……」
「何かあったの!?」
「そういや、今日は顔見てねえな……、俺らもペースケが
起きる前に朝早く城に出掛けたしなあ……」
「うん、夕方の買い出しに出たまんま、まだ帰ってこない
らしくて……、旦那さんとおかみさんが心配してる……」
ペースケに何かあったのか、4人は心配になり顔を見合わせる……。
「俺達もロビー行って見るか、心配だしな……」
4人がロビーに行ってみると、旦那さんとおかみさんが
夫婦でオロオロしていた。
「また雪も降ってきましたし……、心配だわ……、私が
ちょっと見てくるわ……」
「いや、俺が行こう……、お前は待ってろ……」
「まだ、帰ってこないのかい?ペースケの奴……」
「ジャミルさん……、ペースケちゃん、お買い物に行って
貰ったまま、もう一時間以上たつんですけど……、まだ
帰らないんですよ、暗くなって雪も降ってきましたし、
私達、心配で……心配で……」
ジャミル達4人と密猟者組織との戦いから数日が過ぎた頃……。
「ただいま……」
「ああ、お帰りなさい、皆さん、今日はどうでしたか…?」
「駄目だった、さっぱりだよ……」
「そうでしたか……、お疲れ様でしたね……」
ジャミル達はあれからも情報収集の為、毎日の様に宿屋から
城に通いづめであり、夕方に帰宅するその姿はまるで大学から
寮に帰ってくる学生の様でもあった。
「兄ちゃん達、お帰りー!」
「おう、ペースケ、さぼらずちゃんとおじさんとおばさんの
手伝いやってんだろうな?」
「何だよ、ちゃんとやってるさあー!!」
「本当に、毎日毎日手伝ってくれるのでとても助かって
いるんですよ、ね?ペースケちゃん」
「……お、おれ……、買い物行ってくるっ!確かおじさんが
パン粉足りないって言ってたからさあーー!」
おかみさんに褒められて照れながら、ペースケがダッシュで
宿屋を飛び出していった。実の親もおらず、孤児で身よりの無い
ペースケは子供の出来ない宿屋の夫婦の養子として迎えられたのだった。
「……ま、俺の事、短足って呼ばなくなっただけ、成長したかね……」
「あの、おかみさん、チビちゃんは……?」
アイシャがこそっとおかみさんと会話する。
「大丈夫ですよ、今日もペースケちゃんに沢山遊んでもらって、
疲れてお部屋で寝てますよ」
「そうですかー!うふっ、寝顔見にいっちゃおーっと!これが楽しみでー!
一日の疲れもふっとんじゃうわあー!」
親馬鹿アイシャがルンルンで部屋に走って行った。
「……旦那さん、おかみさん、本当にすみません……、僕ら
何日も宿をお借りっぱなしで……、このお礼はいつか必ず……」
アルベルトが夫婦に頭を何度も下げた。
「いやいや、気にしないでおくれや、わしらあんたらの事が本当の
子供の様に可愛くてしゃーねーんだよ、もちろん、ペー公もな……」
「そうですよ、お気になさらないで下さいね、どうか……」
「え、えへへ……」
照れ臭そうにジャミルが頭を掻いた。
「ほわあ、取りあえず密猟者の方も、これで一旦は
落ち着いたのかなあ……」
「まあ、大丈夫だろ……」
ダウドが呑気に欠伸するその横で、ジャミルが腕組みをし、頷く。
そして、次の日も、4人は城の地下資料室で本の山と格闘していた……。
「もう、大分此処の本も重要書籍も、読んだ様な気がするんだけど……」
「まだまだ、半分もいってないよ、ダウド……」
「あうう~……」
どうしようもない事実にダウドが思いっ切り首を横に曲げた。
「……はあ、常夏の島、ワイハかあ~、いいなあ……」
「ジャミル、何読んでるのよ、見る物が違うでしょ……」
「オメーこそ、何だ?その本、それ猫の写真集じゃん…」
「え?こ、これは別に……、少し息抜きよ……」
アイシャが顔を赤くし、慌てて本を閉じた。
「二人とも、ちゃんと真面目に探そうよ……」
アルベルトが注意するが……。
「……ぐう~!ぷうう~……ふにゃ……、?あっ!いけない!
本にヨダレ垂らしちゃった……、えへへ……」
ダウドが誤魔化し笑いをする。作業、相変わらず一向に進まず。
それでも、いれば悪戯をするチビを日中おかみさん達に預かっていて
貰えるだけでも資料を探す分、大分楽にはなっていたのだが。
「はあー、いつになったら終わる事やら……」
「そう言うけどよ、アル、この莫大な資料の中から目当てのモン
探すとなると、相当の時間掛るのが当たり前だろうが……、しかも
ほぼ誰も知らん知識だしよ……」
「それはそうだけど……」
「いいじゃん、ゆっくり探そうよおー!その方がいいんだからさ……、
えへへ……」
本にうっかりつけてしまったヨダレを拭き拭き、何故か嬉しそうな
顔をするダウド。
「……そろそろ、今日も時間だわ、引きあげましょ?チビちゃんが
待ってるわ」
今日も何も進展はないまま日も暮れ、4人は宿屋へと戻って行く……。
「きゅっぴー!お帰りなさーい!」
部屋へと戻った4人をチビがお帰りなさいのご挨拶。
「きゃー!チビちゃーん!ただいまー!今日もいい子
だったかしらー!」
帰宅後の、アイシャのチビハグハグ攻撃が炸裂する……。
「ちょ、アイシャ……、ずるいよおー!オイラにもチビちゃん
抱かせてよおー!」
アイシャの後ろでぴょんぴょん跳ねダウドが嫉妬する。
「……」
「ジャミル、本当は君もチビをギュウギュウしたいんでしょ……?
プ……」
「はあ?ば、馬鹿言ってんじゃねえっつーの!」
「いいんだよ、無理しなくて……、人間、素直が一番
なんだからさ……」
「うるせーな、このシスコンめ!」
「……意地を張るなって言ってるんだよ!この、動く
爆弾屁こき大仏!!」
「未来のアデランスinアートネーチャーは黙ってろっつーの!!」
……ジャミルとアルベルトの意味フ毒舌合戦が始まる中、
後ろでは癒しを求めてマイペースな皆様。
「今日もペーに沢山遊んで貰ったのー!楽しかったよおー!」
「そうなの、いいお兄ちゃんが出来て良かったわねー、
チビちゃん!」
「でも、今日はね、ペー、何となく元気なかったよお……?」
チビがアイシャの顔を見上げる。
「そうなの……、でも、心配ないわよ……」
「きゅぴ~……」
「さあーっ!チビちゃん、夕ご飯の前に、オイラと散歩いこーねっ、
アイシャ、ショルダーバッグーっ!」
「もう、ダウドったら……、はい……」
アイシャがダウドにバッグを手渡すとダウドは張り切って
チビをバッグに入れる。
「んじゃあねー、行って来まーす!さあチビちゃん、オイラと
愛の逃避行だあーっ!」
「きゅぴーっ!だあーっ!」
「……おい、そのまんま、本当に逃走すんなよ……?」
しかし、部屋を出て行った後、すぐにダウドとチビが部屋に
戻って来た……。
「ありゃ、もう逃避行やめたのか……?」
「行きたかったんだけど、ペー君が大変みたいなんだよお……」
「何かあったの!?」
「そういや、今日は顔見てねえな……、俺らもペースケが
起きる前に朝早く城に出掛けたしなあ……」
「うん、夕方の買い出しに出たまんま、まだ帰ってこない
らしくて……、旦那さんとおかみさんが心配してる……」
ペースケに何かあったのか、4人は心配になり顔を見合わせる……。
「俺達もロビー行って見るか、心配だしな……」
4人がロビーに行ってみると、旦那さんとおかみさんが
夫婦でオロオロしていた。
「また雪も降ってきましたし……、心配だわ……、私が
ちょっと見てくるわ……」
「いや、俺が行こう……、お前は待ってろ……」
「まだ、帰ってこないのかい?ペースケの奴……」
「ジャミルさん……、ペースケちゃん、お買い物に行って
貰ったまま、もう一時間以上たつんですけど……、まだ
帰らないんですよ、暗くなって雪も降ってきましたし、
私達、心配で……心配で……」
作品名:zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 さよなら、チビ 作家名:流れ者