二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 さよなら、チビ

INDEX|2ページ/5ページ|

次のページ前のページ
 

「……も、もしかして、誘拐されたとか……?あわわ……!」
 
「こら、変な事言わないんだよ、ダウド、旦那さんと
おかみさんのいる手前で……」
 
「だってえ……、アル、心配だよお……」
 
「み、皆で探しに行きましょっ!!」
 
アイシャが促すが、ジャミルが首を横に振った。
 
「いや、ゾロゾロ行って入れ違いになっても困るし、
お前らは待っててくれや、おじさんとおばさんもまだ客の接待も
あるだろうから、俺が行くよ」
 
「そうだね、ジャミルが一番足も速いし、此処は任せた方が
いいかもね……」
 
「大丈夫……?気を付けてね……」
 
「すみません、本当に……、どうか宜しくお願いします……」
 
「頼むね……、本当にすまないね……、ジャミルさん……」
 
夫婦が申し訳なさそうにジャミルに頭を下げた。
 
「ああ、すぐに探して戻ってくるよ」
 
おかみさんに再びコートを貸して貰い、ジャミルが外へ
飛び出して行く。……外はどんどん雪が降って来ていた。
 
「確か今日は、肉屋まで出掛けたっておばさんが言ってたっけな……、
……へ~っくしっ!!……それにしても、寒いなあ~、こりゃ……」
 
雪の降る町中を暫く歩いていくと……。
 
「……お、ペースケだ、何してんだ、あいつ……」
 
道具屋の側で買い物かごをぶら下げたまま、ペースケが
暗くなって来た空をぼけっと見上げ突っ立っていた……。
 
「おい、ペースケ!!」
 
ジャミルが大声で呼ぶとペースケが反応した。
 
「兄ちゃん……」
 
「何してんだよ、お前……、おじさんとおばさんが
心配してるだろうが……」
 
「おれ、こわいんだよ……」
 
「はあ……?何がだよ……」
 
呆れながら、ジャミルがペースケの側に近寄って行った。
 
「幸せすぎて、こわいんだよ……、こんな幸せなこと
ばっか続いたら……、おれ、未来が不幸になっちゃうかも
知れない……、こわくて……」
 
「アホっ!!」
 
「イテッ!何すんだよ!この短足親父っ!!」
 
ジャミルにデコピンされたデコを押さえながらペースケが喚く。
 
「今から誰も判らん未来を勝手に想像して悲観してどうする!
……俺はそういうのが一番嫌いなんだよ!」
 
「……兄ちゃん……、ごめんよ……」
 
「戻るぞ、皆、心配してんだぞ……」
 
「うん……」
 
そして、ジャミルはペースケは連れ宿屋へと戻る。ペースケの
無事な姿を見るとおかみさんは涙を流し喜んでペースケを抱きしめた。
 
「寒かったでしょう……?さあ、温かいシチューを
作ってありますよ……」
 
「ありがとう……、ごめんな、父ちゃん、母ちゃん……、
おれ、ちゃんといい子になるから……、だから……、ずっと
ここに置いておくれよぉ……」
 
「あなた……、ペースケちゃんが……」
 
「ああ、やっと、父ちゃん、母ちゃんて呼んでくれたのか……、
嬉しいよ、ありがとうな、よしよし……、ははは……、お前は
いい子だよ、本当に……」
 
夫婦が今度は二人で揃ってペースケを抱きしめた。
 
「さてと、邪魔者は退散するかねー、チビも待ちくたびれて
うるせーだろうしな」
 
「そうだね……」
 
「良かったわね、ペー君……」
 
「うん、本当に良かったよお……。」
 
そんな親子のやり取りの様子を4人笑顔で見守る。そして……。
ペースケはハッピーエンドを迎えたが、相変わらずの4人は
事が何も進まず、今日も城の地下で書籍と本の山に埋もれて
いたのだった。
 
「……ああ~っ!もう嫌だ~っ!幾らこの大量の本の山、
漁ったって目当ての情報なんか絶対みつかんねーよーっ!!
きいーーっ!!」
 
遂にジャミルが床にねっ転がって幼児の如く暴れ出した。
 
「やっぱり、此処でも無理なんじゃないのかなあ~……」
 
「もう、ダウドまで、そんな事言わないのよ、……もう少し
頑張りましょ……?」
 
不貞腐れ始めたジャミルとダウドの方を見ず、アルベルトは黙々と
本を読み続ける。
 
「……くしょ~、おかしいんじゃね?アルの奴……、
大体において、俺は本嫌いなんだからさ……、ああ~、
此処、糞寒いなあ~、糞、……常夏の南の島でダイビングやりてえ……」
 
「……マイラの温泉で、潜ってきたら……?プ……」
 
本を読んだままアルベルトが吹きだした……。
 
「プ、ププププ……」
 
「……いいよ、いいよ、皆してそうやって俺の事
馬鹿にしてろ、フンだ……」
 
胡坐をかいて不貞腐れ、ジャミルがアルベルトと
ダウドを横目で見る。
 
「ジャミルったら!いじけてないで真面目に情報探してよ!」
 
「わっかりましたよーっ、真面目に探しまーっすと、別に
俺はいじけてねーよ!フン、どっかの誰かさんじゃねえっての!」
 
「何だよお!」
 
「もう……」
 
アイシャに注意され、しぶしぶジャミルが立ち上がった。
 
「はあ~、しかし見てるだけで、頭いた……」
 
どうにか気力を振り絞り、まだ未回覧の棚の方を探し回ってみる
 
「……この本だけ、異様にうす汚ねえなあ……、
埃だらけだ……」
 
他の本の間に交じって、その本はあった。気になったのか、
ジャミルが本を開いてみる。
 
「何だい?この本、何も書いてねえや……、おい、
こんなの置くなよ……」
 
呆れてジャミルが本を棚に戻そうとした、その時……。
 
「?な、何……!?鍵が光ってる……?何で急に……」
 
慌てて腰のポーチにしまってある鍵を取り出す。
 
「どうしたの……!?」
 
他の3人も慌てて集まって来る。
 
「俺にも分かんねえんだ、ただ、この本開いたらさ、
鍵が……」
 
鍵は光を放つと、本を照らし出す……。
 
「……さっきまで、何も書いてなかったのにな、急に文字が
浮かんできたし……、おい、どうなってんだよ、これ……」
 
「あぶりだし……、みたいな物……、なのかなあ……」
 
「この鍵がヒントをくれるの……?」
 
4人が見つめる中、今まで何も書いていなかった本に完全に
不思議な文字が浮かび上がる……。
 
「えーと、悪しき者栄える城……、隠されし魔法の扉って、
書いてある、何のこっちゃ……???」
 
そして、本からは再び文字が消え、又、ただの真っ白な本に戻った……。

再び、上の世界へ

「悪しき者……、栄える城……」
 
「これはゾーマ城の事じゃないかなあ……、そうとしか考えられないよ……」
 
「けど、もうあそこも廃墟だぞ……」
 
「でも、アルの言う通り、悪しき者、栄える城って、私も
ゾーマがいた城しか思い浮かばないわ……」
 
「……」
 
「結局、この本て何なんだろう、不思議な本だねえ……」
 
 
不思議な本の詳細は判らずじまいのままだったが、取りあえず
4人は一旦、宿屋へと戻り、漸くの経過報告を宿屋の夫婦に話す。
 
「そうでしたか、やっと手掛かりらしき物が見つかったのですね……」
 
「やだっ……!嫌だっ……!!」
 
ペースケが急にジャミルの服の袖を強く掴み、引っ張った。
 
「イテッ……、コラ!何すんだよ!いてててて!やめろ、こら!!」