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zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 英雄達の帰還

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お爺さんはベッドの上で唸りっぱなしだった……。
 
「お爺さん、もう少しの辛抱ですよ、頼むよ、ジャミル……」
 
「任せな!」
 
ジャミルが軽くホイミを掛けると唸っていたお爺さんが
目をぱっと開いた。
 
「おお、おおお、これは……、腰の痛いのが治っておるぞ?
ハテ……?」
 
「良かったな……」
 
「助かったよ、ジャミル、ありがとう……」
 
「お?あんたも確か、あの時、そこの金髪兄さんと
一緒にいた方じゃのう」
 
お爺さんはどうやらジャミルの顔も忘れなかった様であった。
 
「あ?あは、あはは……」
 
「お茶は皆で飲んだ方が楽しい、どれ、又準備を……」
 
「あああ!お爺さん、無理しては駄目ですよ!僕が淹れますから!」
 
動こうとしたお爺さんをアルベルトが慌てて止めた。
 
「すまんのう……」
 
「……」
 
そうは言ったものの……、緑茶の淹れ方など全く分からない
アルベルトであった……。
 
「とにかく淹れてみよう……、やり方なんかあんまり紅茶と
変わらない筈……」
 
「平気なのかよ?」
 
「……ギブアップ……、はあ、僕が実家にいた頃はよく
ローズヒップティーを飲んでいたんだ……」
 
「バラのけつの茶か?」
 
「……どうして君はそう品が無いの……、ま、いいけどさ……」
 
口を尖らせながら、もう一度、アルベルトが出してある
容器など確認してみる。
 
「駄目だ……、さっぱり解らないよ……」
 
「ふぉふぉ、やはりわしが淹れますよって、休んどりんさい、
どれどれ……」
 
「お爺さん、動いては……」
 
「その入れモンの中に、直に茶っぱをいれんのか?成程ねえ……」
 
ジャミルが珍しそうにお爺さんの手つきを眺めた。
 
「ふぉふぉふぉ、お湯の加減がポイントですぞ、
美味しいお茶を生かすのも殺すのもすべてお湯次第じゃ!」
 
「俺にはようわからん、あふ……」
 
簡単な事だが、理解出来そうにないジャミルが欠伸をした。
 
「はあ、たくもう……」
 
「さあ、お茶の飲み直しじゃ、あんたも飲みんさい」
 
お爺さんはジャミルの分も熱々の緑茶を注いでくれた。
 
「これ、何?」
 
ジャミルはお茶よりも温泉まんじゅうの方が気になったらしく、
指でひょいっとまんじゅうを掴んで珍しそうに眺める。
 
「……こら、ジャミルっ!行儀悪いぞっ!!」
 
「ええんじゃ、ええんじゃ、食べんさい」
 
「……ん、意外と美味いな、……うっ、ゲ……、げほげほっ!」
 
「兄さん、お茶じゃ、お茶飲め……」
 
「うぎゃーーっ!!あっぢーーっ!!」
 
「はあ、全く……、いつまで立っても……、あ、
お騒がせしまして……」
 
「いやいや、こんな楽しいのは本当に何年振りかのう、
玉には若い人とこうやって茶を飲むのも本当によいのう……」
 
「……あ、もう大分時間が立ち過ぎちゃった……、お爺さん、
では、僕らはこれでお暇します……、ほらジャミル、戻るんだよ……、
皆が待ってる」
 
アルベルトがジャミルの背中を叩いた。
 
「うべえ……」
 
「またこの村に立ち寄るときはいつでも来んさいよ、それとのう、
こんなじじいからのアドバイスになるか判らんが……」
 
「はい?」
 
「疲れたら深呼吸して周りをじっくり見て、お茶でも飲んで
リラックスしんさい……、焦りじゃ……、焦りが一番いかんよ……、
友達に話を聞いて貰うのもよいぞ、一人で何でも抱え込むのもよくない……、
どうか素直になりんさいよ……」
 
「お爺さん……」
 
「ふぉ、ふぉふぉ!」
 
「有難うございます……、今度は又皆で遊びに来ます……」
 
「んじゃ、次回の時まで長生きしとけよ、じいさん」
 
ジャミルがチャオのサインを送る。
 
「……こら、ジャミルっ!!」
 
アルベルトが注意しようとした時には、もうジャミルはアルベルトから
大分離れた処まで走っていた……。
 
 
「焦りか……、焦り……」
 
宿屋までの道を歩きながらアルベルトは只管考えていた。
 
「あの温泉まんじゅうて奴、うまかったなあ~、まだまだ世界には
美味いモンが沢山あるんだなあ~」
 
「ねえ、ジャミル……」
 
歩いていたアルベルトが立ち止まる。
 
「あん?」
 
「申し訳ないけど、もう少しだけルーラは待って貰えないかな……、
いや……、その他の魔法だって使えないけど、それで、ジャミルに
迷惑を掛けちゃうけど……、ポルトガまでのルーラをお願いしたいんだ……」
 
「いいんじゃね?ま、無理する事ねえよ、俺に任しとき、
迷惑だなんて思わねえよ、お互い様さ、のんびり行こうや」
 
「うん、ありがとう……」
 
そして宿に戻り、ダウドとアイシャに話すと2人とも勿論快く
OKしてくれた。
 
「そうよ、暫く休んだらきっと又魔法がちゃんと使える様に
なるわ、心配ないわよ」
 
「うん、有難う、アイシャ……」
 
「アルー、大丈夫、チビも皆もついてるよおー!だから、魔法は
ゆっくりお休みしてねー!」
 
チビがアルベルトに頬ずり、スリスリする。
 
「チビも有難う……、本当に君は優しい子だね……」
 
アルベルトもチビを優しく撫でた。
 
「でも、大丈夫なんだろうね……?」
 
「な、何がだよ、ダウド……」
 
「ジャミルも普段、あんまりルーラつうか、魔法使わないからさ、
何か心配なんだよね……」
 
「俺が信用できねーってのか、この野郎!んじゃ実践だっ!見てろっ!!」
 
「ちょ、ジャミル!待……」
 
 
     ……ルーラっ!!
 
 
宿屋の部屋にて、その夜……、4人は頭を部屋の天井に思い切り
ぶつけたのであった……。