zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 懐かしき人々と・2
変わりゆくジパング
……翌朝、弥生の夫は皆よりも一足先に目を覚まし、畑仕事に
出掛けて行った。昨夜の宴会で酔っぱらった村人達も早朝早々に
皆引き上げて行った様であった。
「すげえな、俺なら絶対無理だわ、起きられねえよ……、
朝の4時だもんな……」
「本当、働くお父さんて凄いよねえ……」
「そりゃね……、一家を支えているんだもの」
「でも、弥生さん、本当にいい旦那様と結ばれて良かったわね!
うふふ!」
4人は朝ごはんを口にしながらお喋りを交わす。
「ジャミルさん達、おかわりはどうだい?おかずはあまりないけど、
御飯は一杯あるから遠慮しないでお食べ!沢山食べなきゃ駄目だよ!
あんたら若いんだから!」
「……」
弥生の母親はジャミル達が返事をする前に茶碗にどんどん白米をよそる。
「有難う……、おばさん……」
「いーのいーの、あっはっはっはっ!」
弥生の母親は今朝も豪快であった。
「ところで、チビは何してんだ?食わねえのかな……」
「しっ、……邪魔しちゃ駄目よ……」
「?」
「あーっ、あー!うー!ぴーきゃ!」
「……」
チビはトウマの側を離れず……、ずっと一緒にくっ付いている。
「ね?」
「プッ……、あいつ、トウマの護衛のつもりなんだな……、
ようやる……、プ……」
「笑うなったら……、もう!チビはあれでも真剣なんだからさ……」
アルベルトが注意するがジャミルは笑いが止まらない。
「チビちゃん、トウマを見ていてくれてありがとう、さあトウマも
ご飯の時間ですよ」
「ぱー、ぱー」
弥生がやって来てトウマに乳を与えはじめた。
「きゅぴ?」
「チビちゃん、トウマ君はお母さんと御飯だから大丈夫よ、
チビちゃんもご飯を頂きましょうね」
「ぴい~」
アイシャがチビを席に着かせ、チビも漸くご飯モードの体制に入る。
「いただきまーす!」
「あはは、沢山食べな、チビちゃんも!」
チビはおかずの魚を頭からバリバリ丸かじりし、器用に骨だけ残す。
「うわあ……」
箸を口に銜えたまま、ダウドがあっけらかんになった。
「ところでさ、おばさん、聞いていいかな?俺達、もうそろそろ
出発しなきゃなんだけど……、この村にヨウカン?て、言う
珍しい菓子が有るって聞いて、土産に持って帰りたいんだけど……」
「ヨウカン?ああ、ヨウカンね!それだったらこの村のおふみ婆さんを
尋ねてみるといいよ、他にも面白いお菓子とか色々作っているんだよ」
「……おすそ分けして貰えるかしら?」
「行ってみるか」
「あら?チビちゃん……」
「寝ちゃったよお……」
「ぐーぴー……」
美味しい朝ごはんを食べたチビは満腹で二度寝してしまったのだった。
「おい、起きろよ……、ポンポコ……」
ジャミルがチビのお腹をくすぐってみるが、チビは起きず。
「いいよいいよ、あたしらが見てるからさ、いっといで!」
「けど……、わりィよ……」
「いいんですよ、皆さんにはトウマを可愛がって頂いて
いるんですもの、今度はこちらにもお返しさせて下さい」
「うん、弥生さん、おばさん、ありがとな……」
弥生の母親におふみ婆さんとやらの家を教えて貰い、4人は現場へ。
村の奥にひっそりとぽつんと建っていたその家はゴミ屋敷そのものであった。
「ここだ……」
「凄い貫録のある家だね、うっかりくしゃみでもしたら
今にも崩れそうな……」
「失礼な事言っちゃ駄目だよ……」
アルベルトがダウドを窘める。
「はーい、すんませーん……」
「何か嫌だなあ、作った菓子にカビでも生えてそうな……」
急にジャミルも躊躇しだした。
「もう!此処まで来て何言ってるのよ!さ、行きましょっ!」
「お、おい……」
アイシャがジャミルの背中を押し、無理矢理家の中へと押し込ませた。
その後にアルベルトとダウドも続いて入る。
「……しゃーねえ、ごめん下さーい!」
ジャミルが玄関先で声を張り上げてみるが返事はあらず……。
「留守なんじゃね……?なんか屁くせえなあ……」
……なーんでーすーかー?
「……うひゃあっ!?」
急に部屋の奥の襖ががらっと開き、小太りの老婆が顔を出す。
「びっくりした……、おどかさないでくれよ……」
「すーみませーん、よいしょ……、うんこらせ、うんこらせ」
老婆がのそのそと、こちらまでやってくる。
「で、なーんでーすかー?」
やけに動きがゆっくりの老婆は張り子の牛の様に首を振りながら
ジャミル達を見た……。
「あのさ、その……、婆さん、珍しい菓子を作ってるんだって……?
もし、ヨウカンて言う菓子を作ってるんだったら、俺達にもお裾分けして
ほしいんだけど……」
「……かりんとうですかあ?はいー?」
「いや、ヨウカンなんだけど……」
「炭酸まんじゅうですかあー?はいいー?」
「この婆さん……、わざとやってんじゃねえだろうな…」
ジャミルが不安そうに他のメンバーを振り返った。
「ヨウカンですねえー?はいーはいー、お作り致しますよー」
「通じたみたいよ?」
「それならそれでいいんだけど……、あっ、婆さん!」
「はいいー?」
「これ、作ってもらうお礼なんだよ、食べてくれや」
ジャミルが弥生の母親から受け取った袋を渡す。それはお礼代りに
持っていくと良いと言い、持たせてくれた漬物であった。
「これはどうもー、生姜のお漬物ご丁寧にー、ですが……、
ヨウカンは時間掛りますのでー、少し待ってて貰えますかあー?」
「ああ、作ってもらえるなら……、待つよ」
「へへへい、……最近はー、よその国の珍しいお方も……、
随分ジパングに来てくれるようになりましてのうー、ありがてえ
ことですー」
老婆は笑いながら再び襖の奥に姿を消した。
「……この国も……、段々変わってきてるんだね……」
「だな、これからどんどん発展していくんだろうな」
ジャミル達はヨウカンの出来上がりを待つ事にし、一旦弥生の家へと戻った。
「どうだった?変わってる婆さんだけど面白いだろう!」
「ああ、ちょっとびっくりしたけどさ……」
「あっはっはっはっ!あれでも本当に作るお菓子は別品なんだよ!
一度食べたら病み付きになるよ!不思議なモンでさあ」
「そうなんだ……、へえ……、そんなに美味いのかあ……」
ジャミルはナイトハルトにヨウカンを届けるのが段々惜しく
なってきてしまった……。
「ジャミル……、今何か考えてなかった……?」
「いや、別に……」
(たく、感が鋭いなあ、このアホベルトめ……)
アイシャは向こうの方でチビとトウマと触れあって遊んでいる為、
まるで保育士さん状態である。
「ヨウカンは作れませんけど、私もお焼きをおやつに作りましたよ、
皆で食べましょう」
弥生が香ばしい醤油の匂いのするお焼きを作って持って来た。
……翌朝、弥生の夫は皆よりも一足先に目を覚まし、畑仕事に
出掛けて行った。昨夜の宴会で酔っぱらった村人達も早朝早々に
皆引き上げて行った様であった。
「すげえな、俺なら絶対無理だわ、起きられねえよ……、
朝の4時だもんな……」
「本当、働くお父さんて凄いよねえ……」
「そりゃね……、一家を支えているんだもの」
「でも、弥生さん、本当にいい旦那様と結ばれて良かったわね!
うふふ!」
4人は朝ごはんを口にしながらお喋りを交わす。
「ジャミルさん達、おかわりはどうだい?おかずはあまりないけど、
御飯は一杯あるから遠慮しないでお食べ!沢山食べなきゃ駄目だよ!
あんたら若いんだから!」
「……」
弥生の母親はジャミル達が返事をする前に茶碗にどんどん白米をよそる。
「有難う……、おばさん……」
「いーのいーの、あっはっはっはっ!」
弥生の母親は今朝も豪快であった。
「ところで、チビは何してんだ?食わねえのかな……」
「しっ、……邪魔しちゃ駄目よ……」
「?」
「あーっ、あー!うー!ぴーきゃ!」
「……」
チビはトウマの側を離れず……、ずっと一緒にくっ付いている。
「ね?」
「プッ……、あいつ、トウマの護衛のつもりなんだな……、
ようやる……、プ……」
「笑うなったら……、もう!チビはあれでも真剣なんだからさ……」
アルベルトが注意するがジャミルは笑いが止まらない。
「チビちゃん、トウマを見ていてくれてありがとう、さあトウマも
ご飯の時間ですよ」
「ぱー、ぱー」
弥生がやって来てトウマに乳を与えはじめた。
「きゅぴ?」
「チビちゃん、トウマ君はお母さんと御飯だから大丈夫よ、
チビちゃんもご飯を頂きましょうね」
「ぴい~」
アイシャがチビを席に着かせ、チビも漸くご飯モードの体制に入る。
「いただきまーす!」
「あはは、沢山食べな、チビちゃんも!」
チビはおかずの魚を頭からバリバリ丸かじりし、器用に骨だけ残す。
「うわあ……」
箸を口に銜えたまま、ダウドがあっけらかんになった。
「ところでさ、おばさん、聞いていいかな?俺達、もうそろそろ
出発しなきゃなんだけど……、この村にヨウカン?て、言う
珍しい菓子が有るって聞いて、土産に持って帰りたいんだけど……」
「ヨウカン?ああ、ヨウカンね!それだったらこの村のおふみ婆さんを
尋ねてみるといいよ、他にも面白いお菓子とか色々作っているんだよ」
「……おすそ分けして貰えるかしら?」
「行ってみるか」
「あら?チビちゃん……」
「寝ちゃったよお……」
「ぐーぴー……」
美味しい朝ごはんを食べたチビは満腹で二度寝してしまったのだった。
「おい、起きろよ……、ポンポコ……」
ジャミルがチビのお腹をくすぐってみるが、チビは起きず。
「いいよいいよ、あたしらが見てるからさ、いっといで!」
「けど……、わりィよ……」
「いいんですよ、皆さんにはトウマを可愛がって頂いて
いるんですもの、今度はこちらにもお返しさせて下さい」
「うん、弥生さん、おばさん、ありがとな……」
弥生の母親におふみ婆さんとやらの家を教えて貰い、4人は現場へ。
村の奥にひっそりとぽつんと建っていたその家はゴミ屋敷そのものであった。
「ここだ……」
「凄い貫録のある家だね、うっかりくしゃみでもしたら
今にも崩れそうな……」
「失礼な事言っちゃ駄目だよ……」
アルベルトがダウドを窘める。
「はーい、すんませーん……」
「何か嫌だなあ、作った菓子にカビでも生えてそうな……」
急にジャミルも躊躇しだした。
「もう!此処まで来て何言ってるのよ!さ、行きましょっ!」
「お、おい……」
アイシャがジャミルの背中を押し、無理矢理家の中へと押し込ませた。
その後にアルベルトとダウドも続いて入る。
「……しゃーねえ、ごめん下さーい!」
ジャミルが玄関先で声を張り上げてみるが返事はあらず……。
「留守なんじゃね……?なんか屁くせえなあ……」
……なーんでーすーかー?
「……うひゃあっ!?」
急に部屋の奥の襖ががらっと開き、小太りの老婆が顔を出す。
「びっくりした……、おどかさないでくれよ……」
「すーみませーん、よいしょ……、うんこらせ、うんこらせ」
老婆がのそのそと、こちらまでやってくる。
「で、なーんでーすかー?」
やけに動きがゆっくりの老婆は張り子の牛の様に首を振りながら
ジャミル達を見た……。
「あのさ、その……、婆さん、珍しい菓子を作ってるんだって……?
もし、ヨウカンて言う菓子を作ってるんだったら、俺達にもお裾分けして
ほしいんだけど……」
「……かりんとうですかあ?はいー?」
「いや、ヨウカンなんだけど……」
「炭酸まんじゅうですかあー?はいいー?」
「この婆さん……、わざとやってんじゃねえだろうな…」
ジャミルが不安そうに他のメンバーを振り返った。
「ヨウカンですねえー?はいーはいー、お作り致しますよー」
「通じたみたいよ?」
「それならそれでいいんだけど……、あっ、婆さん!」
「はいいー?」
「これ、作ってもらうお礼なんだよ、食べてくれや」
ジャミルが弥生の母親から受け取った袋を渡す。それはお礼代りに
持っていくと良いと言い、持たせてくれた漬物であった。
「これはどうもー、生姜のお漬物ご丁寧にー、ですが……、
ヨウカンは時間掛りますのでー、少し待ってて貰えますかあー?」
「ああ、作ってもらえるなら……、待つよ」
「へへへい、……最近はー、よその国の珍しいお方も……、
随分ジパングに来てくれるようになりましてのうー、ありがてえ
ことですー」
老婆は笑いながら再び襖の奥に姿を消した。
「……この国も……、段々変わってきてるんだね……」
「だな、これからどんどん発展していくんだろうな」
ジャミル達はヨウカンの出来上がりを待つ事にし、一旦弥生の家へと戻った。
「どうだった?変わってる婆さんだけど面白いだろう!」
「ああ、ちょっとびっくりしたけどさ……」
「あっはっはっはっ!あれでも本当に作るお菓子は別品なんだよ!
一度食べたら病み付きになるよ!不思議なモンでさあ」
「そうなんだ……、へえ……、そんなに美味いのかあ……」
ジャミルはナイトハルトにヨウカンを届けるのが段々惜しく
なってきてしまった……。
「ジャミル……、今何か考えてなかった……?」
「いや、別に……」
(たく、感が鋭いなあ、このアホベルトめ……)
アイシャは向こうの方でチビとトウマと触れあって遊んでいる為、
まるで保育士さん状態である。
「ヨウカンは作れませんけど、私もお焼きをおやつに作りましたよ、
皆で食べましょう」
弥生が香ばしい醤油の匂いのするお焼きを作って持って来た。
作品名:zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 懐かしき人々と・2 作家名:流れ者