zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 助っ人、小悪魔!?
「でも……、女王様のお城からだって自分で移動して
しまったんだもの……、チビちゃん本人にも分からない
未知の力がどんどん目覚めているって言う事なのかしらね……」
「……本人に自覚がないのがなんとも言えないけれど……」
「……おい、リトルはどうなるのりゅ?呼び寄せる事が可能なら、
元の世界に戻す事も出来る筈りゅ、早く返せりゅ……」
「無理だよ……」
「何りゅーーっ……!?」
「何でチビ自身が自分でも理解出来てねえ様な力を使う事が
出来たのか……、まだ本人に自覚がねえんだよ、はっきりとした事が
分る様になるまで無理だろ……」
「……な、なんつー迷惑な奴りゅ……」
「おめーに言われたくねーっての!」
「……ねえ、折角だから暫く私達と一緒に行きましょ?
もしかしたら、あなたの転生したお友達は上の世界にいるかも
知れないわよ、ね?」
アイシャが小悪魔の手を取り、優しく握った。
「……ふ、フン……!」
「おっ……」
すると小悪魔はくるっと回転し、リィトの姿になる。
「仕方ないね、責任とってこの僕をちゃんと護衛して貰うからね、
分ったかい!?」
リィトは気取って前髪を掻きあげ、ジャミル達の方を見た。
「……なーにが護衛だ、ボエーみてえなツラしやがってからに……、
バーカ!アホッ!」
「じゃあ、そういう事で、話は纏まったね、……おーい、チビー、
ダウドー、おいでー!」
「はーい!」
「きゅっぴー!」
アルベルトが呼ぶと遠くの方でチビと遊んでいたダウドが
チビを抱いて走って来た。
「…そういう訳で今日から暫く、小悪魔……、リィトと行動する事に
なるけど、いいかい?」
「うん、オイラは大丈夫だよおー!」
「チビも大丈夫ー!きゅぴーっ!」
「……うわああっ!この馬鹿ドラゴンめっ、人の顔を舐めるのはやめろっ!
大体、お前達のしつけがなってないからこんな……」
「おい、お前……、最初はチビにブレス吐かれるほど嫌われてたんだぞ、
それが今じゃこんなになったんだから、ラッキーだと思えよな……」
「何がラッキーだっ!冗談じゃないっ、あわわわわ!!」
「うふっ、何はともあれ、これから宜しくね、えーと、今はリトルじゃなくて、
リィトよね……、うんっ!」
「えへへ、改めてオイラも宜しくね、リィト……」
「……僕は絶対お前らに宜しくなんかしないぞっ、うわあああーっ!!」
「ぺろぺろー、ぺろぺろー」
「おいっ!バカ猿っ、この糞ドラゴンを何とかしろーっ!!」
「俺、最近耳が遠くなってさあー、齢かなあー……」
耳をほじくりながらジャミルがすっとぼけてみる。
「……誤魔化すなーっ!!……ああああーっ!ジンマシンがでりゅーーっ!!」
「やれやれ、これから暫くの間……、ますます騒がしくなりそうだなあ……」
賑やかな状況を見つめつつも、……アルベルトが笑った。
小悪魔の突然の加入は、この処状況が緊迫していたジャミル達の
旅路を少しは明るく照らしてくれそうであった……。
悪魔も乱心する
「やっぱり、リィトっていい奴だよね」
ダウドがニコニコしながらリィトの方を見た。
「……何がだよ……」
「だって、本当に悪い奴だったらラーミアに乗れない筈だもの、ね?」
「知らないよ、そんな事……」
ダウドの言葉にリィトは顔を赤くしてそっぽを向く。
「照れなくてもいいのよ~、ねえ、小悪魔ちゃーん……」
「うるさいりゅ!……あ……」
「ジャミルったら、からかわないのよ……!」
アイシャが注意するがジャミルはここぞとばかりに小悪魔を
からかうのを止めず。
「ジャミル、リィト、いじめちゃ駄目っ!!」
「……ぎぇっ、ふぇっ……!?」
チビもリィトを庇い、ジャミルの鼻の穴に爪を突っ込んだ。
「バカドラゴン……、結構お前、いい奴なんだな……、処で、
あんた達は一体何処に向かおうとしてる訳……?」
リィトの問いにアルベルトが速攻で話を纏めて要点を話した。
「そう……、竜の女王の城へね……、ふーん、知らないや……」
「だとさ、知識のない奴に話しても無駄だっちゅー事だな」
「お前に言われたくないよ、頭の中身がぽーぽぽぽぽぴーぽぽぽの奴にさ……」
「……言ってる意味がわかんねーよっ!!」
「ほら、理解出来ないじゃないか……」
「ハア、これからますます大変になるねえ……」
「本当ね……」
「……」
いつもの自分達を棚に上げ……、アルベルト、ダウド、アイシャが
顔を見合わせ揃って頷いた。
「と、まあ、変な二人は置いといて、そろそろ女王様のお城だ……、
……」
ふと、嫌な悪寒がし、アルベルトが上空を見上げた、と、その時……。
「きゅぴ~……」
「どうしたの、チビちゃん、……震えてるの……?」
突然急に脅えだしたチビをアイシャが優しく抱きしめた。
「怖い……、何だか怖いよ……、とっても怖い気がするの……」
「あーっ、あれ……!!」
「……?ああっ!!」
ダウドが指差す方向を見ると、竜の女王の城が黒い結界で
覆われていた……。
「な、何て事だ……!!僕らの船を襲ったあの時と同じだ……」
「大変だわ!ホビットさん達が危ないわ!!」
「ふん、中々やるね、誰だい?ただの結界じゃなさそうだね……」
「くそっ、やっぱ先回りしやがったか……、ラーミア、何とかして
あの結界までどうにかして近づいてくれ、頼む!!」
「クゥインっ!」
ラーミアは一声鳴くと、更に高く上空まで上がり、山脈を越え
城に近づこうとするが……。
「……クゥィィーーッ!!」
「うわっ!!」
「きゃあっ!!」
城に近づこうとしたラーミアが結界に弾き飛ばされ、
ジャミル達も面食らう。
「りゅー……」
「リィト、……リトルに戻っちゃったの?大丈夫!?」
ダウドが慌ててリトルに戻った小悪魔を助け起こした。
「……畜生……、ショックと反動で元にもどったりゅ……」
「駄目だよ、ジャミル!結界の力が強すぎるよっ!!」
「分ってるよ!だけどこのままじゃ……、どうにかして中に
入らねえと……」
「……グゥィィーーンッ!!」
「ラ、ラーミア……?」
プライドを傷つけられたのが癪に障ったのか、もう一度ラーミアが
結界を打ち破ろうと結界に突っ込もうと体当たりする。
「……ああーんっ!!」
「きゅぴーっ!!」
チビを庇いながらも衝撃に耐えられずアイシャが悲鳴を上げた。
「ラーミア、よせっ!これ以上やったらお前の身体も持たな……
うわわわわわっ!!」
ジャミルの言葉を無視し、更にラーミアは結界に体当たりし続ける……。
「こらーっ!!言う事聞けーっ、バカ鳥ーっ!!」
「よし、リトルにまかせろりゅ、……ラリホー!!」
何も考えずに、リトルがラーミアにラリホーを掛け、ラーミアは落ち着きを
取戻し……、そして、眠った。
「これで、よしりゅ」
「……何がよしかーーっ!!」
作品名:zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 助っ人、小悪魔!? 作家名:流れ者