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zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 始まりの地で

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アルベルト、迷いを断ち切る

「おはようきゅぴ!」
 
いつもと変わらぬ笑顔でチビが起き、皆に挨拶を交わした。
 
「……チビ、大丈夫か?」
 
「うん、チビは大丈夫、ジャミルもアルもアイシャもダウも、
リトルも側にいてくれるから……、だからチビ、淋しくないよ?」
 
「そうだな、全部終わったら……、アリアハンへ帰ろうな、
あそこならきっと、町の皆にも話をすればチビをきっと
受け入れてくれる筈だ、な?」
 
「……きゅぴ、チビ、町の皆とちゃんと仲良くなれるかなあ……?」
 
「大丈夫よ、絶対!」
 
アイシャがそう言うとチビも笑顔になった。
 
「リトルはどうするの?リトルもオイラ達と一緒に来る?」
 
「……お断わりりゅ、リトルはリトルで勝手にやるりゅ、オメーラと
なんか組むのはこれっきりゅ、まだ終わってもいねーのに、先の事
言ってんじゃねーりゅ、とっとと終わらせろりゅ、バカチン共めが!!」
 
「何だかんだ言って、結局僕らに付き合ってくれるんだね、ありがとう」
 
「フン、知らねーりゅ……、それよりとっととラーマ行く
準備しやがれりゅ!」
 
「だから、ダーマだっつーの……、おい、ダーマはそのまんまじゃ
入れねーからな、ちゃんとリィトになっとけよ」
 
「バカ猿に言われんでも分かってるりゅ!早くパーマに行くりゅ!」
 
「何何?ジャミル、パーマ屋に行くの?」
 
……わざと言ってるんだろうと思う事にし、ジャミルは気を取り直してラーミアに乗った。
 
ダーマまでの道のりは快適で、これからこの世界にも闇が訪れるかも
知れない危機とはまるで無縁の青空であった。
 
「♪りゅ~りゅ~りゅ~りゅ~……」
 
「♪きゅーぴーぴーぴーぴぃ~、チビ、お歌うたうの大好きっ!」
 
小悪魔と一緒に無邪気に合唱するチビの姿は誰が見ても一見
楽しそうではあったが……。
 
「……チビ、無理してるね……」
 
「アルもやっぱりそう思うの?」
 
「ああ、本当は辛いのに……、僕らに悲しい顔を見せない様に……、
無理して明るく振舞っているんだよ……」
 
「うう、チビちゃん……、健気だよおお……」
 
気丈なチビの姿にハンカチでダウドが思わず顔を拭いた。
 
「……卑劣な事ばっかしやがる、絶対許せねえ……、あの変態野郎……」
 
と、ジャミルが真面目な顔をした処で……。
 
「きゅぴ、……チビ……、朝のお通じ……」
 
「あーあ、よっこらしょ、こっからリトルも地上目掛けてやるかりゅー!」
 
「たくっ、人が真面目な顔してみれば……!リトルっ、ラーミアに
叩き落とされるだろ、やめろっ!チビも、もう少し我慢しろっ!!」
 
「自分も前、やったくせに……」
 
「ねえ~……」
 
「何だ!?アル、ダウド!」
 
「何でも~!」
 
声を揃えるアルベルトとダウドの二人。
 
そして間も無くダーマ神殿に到着し、4人は再び神殿の門をくぐる。
勿論、小悪魔はリィトの姿である。
 
「こんちは……」
 
「おお、勇者様達ではないですか、お久しゅうございます、
しかし、そなた方はもう十分お強いようですが、又修行をなされに?」
 
「うんと、まあ、そんな処かな……」
 
「そうですか、強さには限界などありませぬ、どうぞごゆっくり己の技を
極めて行って下され」
 
ジャミル達は神官の許可を取り、以前と同じ様に二階の宿屋へ……。
 
「はあ、懐かしいねえ……、前に此処でジャミルがね、……カツの
食べ過ぎで……」
 
「へえ……、腹壊したんだ……、別に珍しい事じゃないと
思うけどね……」
 
ダウドはペラペラとリィトに余計な事を喋って聞かせる。
 
「……要らん事言わんでもよしっ!」
 
「あいたっ!」
 
「きゅぴ、大きくて広い神殿だねえ!」
 
「チビちゃん、後で神殿の中をお散歩しましょ!」
 
「あ、オイラも、オイラも!」
 
「皆は休んでてくれるかな……?その間に僕は神官様に色々と
話を聞いて貰うから……」
 
「ああ、……だけど、アル、あんまり思いつめんなよ……」
 
「ん?僕は大丈夫だよ……」
 
「僕は外で休ませて貰うよ、どうにも此処は僕には居心地が悪い……」
 
リィトはそう言い、外に出て行った。
 
「じゃあ、僕も神官様の所へ……、また後でね……」
 
「アル……」
 
心配するアイシャをおき、眉間に皺をよせ、アルベルトも
部屋を出て行った。
 
「まあ、任せようぜ、俺らにはどうにもなんねえ……」
 
「どうかアルにとって……、少しでも良い方向に向かいます様に……」
 
アイシャは心よりアルベルトの心の安らぎを願うのだった……
 
 
アルベルトは夜、神官だけになった転職の間に訪れる。
 
 
「神官様……」
 
「おお、あなた様は……、勇者様のお仲間の方でしたかな……」
 
「教えて下さい……、僕は……、今魔法が使えません……、
突然急に使えない状態になってしまったのです……、
こんな事があり得るのでしょうか……、一体、どうして……」
 
……決して仲間の前では見せなかった涙を流し、震えながら
アルベルトは自分の掌を見た……。
 
「……見た処、あなたは随分真面目なお方の様だ……、それ故に、
あなたのその真っ直ぐな性分があなた自身を苦しめてしまったのでは
ないですかな?色々な事が積み重なって精神にも影響を与えて
しまわれたのではないですか……?」
 
「分りません、……僕はどうしたらいいのでしょう……、一体
どうしたら……又再び魔法が使える様になるのですか?神官様、
どうかお教え下さい……」
 
アルベルトが神官に恭しく頭を下げる。
 
「……残念ですが……、魔法を取り戻せるか、それはこれから先、
あなた自身の戦いです……、私にはどうする事も出来ません……」
 
「……けれど、僕にはもう時間がありません……、
このままでは皆にも迷惑を掛けてしまう……」
 
「ですが、もしもこのままあなた様が魔法を失ったままだとして……、
お仲間様があなたを責めたりするでしょうか……?」
 
「あっ……」
 
アルベルトの脳裏に仲間達がアルベルトに掛けた優しい言葉が浮かぶ。
 
〔アルも少し、ちゃらんぽらんのジャミルみたいにさあ、
気を抜いた方がいいんだよお!〕
 
〔私達、これまでアルの魔法に何度も助けられたんだから……、
今は休憩の時なのよ〕
 
〔焦りが一番駄目だって言われたろう……、まあ、俺も一応MP少ねえけど、
多少は何とかなるし、アイシャもいるんだから大丈夫だよ、心配すんな〕
 
〔アルー、大丈夫、チビも皆もついてるよおー!だから、魔法は
ゆっくりお休みしてねー!〕
 
「例え、魔法が使えなくとも……、あなたはあなた自身の戦い方が
ある筈です……」
 
「僕……、自身の……」
 
「さあ、もう夜も遅いです、お戻りなさい、お仲間が心配されていますぞ……」
 
アルベルトは神官に再び頭を下げると、転職の間を後にする。
 
(僕自身が……、本当は今まで皆を信用出来なかっただけなのかも
知れない……、そう……、心のどこかで……、皆を見下していたんだ……、
僕がしっかりしなきゃの一点張りで……)
 
 
「ただいま……」