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zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 光と闇

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「……本当にお前は学習しないバカ猿だな……!!身分を弁えろ!」
 
「あ……ああああーーっ!?」
 
身体を操られ、ジャミルは持っていた王者の剣で自身の右足を刺し、
痛みに耐えられず、悲鳴を上げた……。
 
「仲良くしましょうよ……、あなただけはこれからも僕の支配下に
置いてやる事にしたんですから……、ねえ……」
 
闇の国の使者はジャミルに再び近づき、頬をペタペタ触る……。
 
「いやだ……、絶対に……、俺は……洗脳なんか……、くっ……、
されてたまるかーーっ!!」
 
「……!?こ、このバカ猿め……、よくも……」
 
ジャミルも必死で抵抗すると闇の国の使者の脇腹を突き刺す……。
 
「ま、まだ……、自分自身を保っていられると言うのか……?
信じられない……、一体なぜ……?」
 
「……へへ、わりィね……、俺も諦めが悪くてさ……!!
やっぱり、一、二回刺したぐらいじゃ、どうにもなんねえか……、
よっ!!」
 
ジャミルはそう言うなり、血だらけの右足で闇の国の使者を蹴り倒した。
 
「う……、く、調子に乗るな……、よくも僕の顔を……ゲスめが……」
 
闇の国の使者は顔面を押さえ、憎々しげにジャミルを睨む……。
 
「……はあ、はあ……、……うっ、此処でべホマを使えば、
後で大変になっちまう、何とか、皆の所に戻るまで……、
我慢しねえとな……」
 
「これは本当に、調教が大変だ……、一体どうすれば従う様に
なると言うのだ……」
 
「……さっきからうっせーな!俺はチンパンジーじゃねえんだよっ!!
ちくしょう……、血が……、止まんねえ……」
 
右足の激痛を何とか堪えながらも……、ジャミルは故郷で頑張って
くれている友を思い……、そして、只管チビの無事を願う……。
 
「やはりこの馬鹿は……幾ら調教しても、洗脳も無駄……、
と言う事なのか……?」
 
「当たり前だっ!……おめえが幾ら俺を操ろうとしたって……、
俺の心にはいつも皆が……、アル、ダウド、アイシャ、ファラ、
リトル……、チビがいてくれる……、だから……、俺はお前なんかに
絶対屈指ねえ……!!」
 
「不思議ですね……、感情も消えて無くなる筈なのですが……、おかしい、
本当におかしい……、可笑しすぎますよ、君は……、ク、クククク……、
成程……、僕の想像を越えた極度の大変態だったと言う事でしたか、
あーっはっはっはっ……!!」
 
変態に変態と言われ……、ジャミルは本当にもう怒りで我慢の
限界であった……。しかし、相手に突っ込んで行こうとも足の激痛で
どうにもならず、MPの少ないジャミルが今此処でべホマで回復して
しまえば後の戦いに支障をきたす事も充分承知であった。けれど、
……もしかしたら……、皆にはもう会えず、自分は此処で相打ちになる
可能性もある……、だから……。
 
「皆……、もしも……、俺が戻れなかったら……、その時は
チビを頼むよ……」
 
ジャミルは俯き、小さく声を漏らす……。
 
「……?おや、……さっきと違って馬鹿に消極的になられた様な
感じがしますが……、ん?」
 
「俺も今悟ったよ……、お前を絶対にアリアハンの地に行かす訳には
いかねえ…、お前と此処でカタを付けるのが俺の最後の役目だ……、
俺のMPを全部使い尽くしても……、お前を倒す……、うっかりお前を
倒し損ねて、俺だけ棺桶っつーのも不公平だかんな……」
 
「そうですか……、此処まで君が愚かだったとは……、もう支配下に
置こうなどと止めますよ、ああ、気が悪い……、見ていて吐き気が
します……、血なんか吸うんじゃありませんでした……」
 
「……くっ!!」
 
「悪いですが、君は僕には勝てません、今言った事を後悔するが良い……、
醜く、骸と化した君の死体を仲間達にプレゼントして差上げましょう、
さぞかし喜びますよおーっ!あーっはっはっは!!」
 
闇の国の使者は再び、ダークドラゴンへと姿を変える……。
 
「……勝つ、何が何でも……、絶対に……、俺はもう皆の所に帰れなく
なったけど……、後は本当に……、頼むよ……」
 
ジャミルはそう呟きながら、覚悟を決めた様にギガデインの呪文の
詠唱を始めた。
 
 
〔駄目、……ジャミル……、きゅぴ……、駄目だよ……〕
 
 
(……チビ……?チビなのか……?)
 
 
……ジャミル、どうか、最後まで希望を捨てないで……
 
 
(ル、ルビス様……!?)
 
ジャミルの前にチビを連れたルビスが現れる……。
 
(これは……、指輪が光ってる……、ルビスの守り……、ルビス様……、
チビ……!!)
 
〔きゅぴ……、ルビス様が下の世界からチビに聖なる力を
送ってくれたの……、だから……、この力をジャミルに送るよ……〕
 
(チビ……、お前……、大丈夫なのか……?)
 
この子からあなた達にもう一度会いたい、一緒に生きたいと
強く願う力を感じ取り……、私の魂と聖なる力を託し、与えました……、
安心して下さい……、もうすぐ現実世界でもこの子はきっと
目覚める筈です……
 
(……チビ……、で、でも、ルビス様……!それじゃ、あんたが……!!)
 
……私の事は大丈夫です……、これからの世界はあなた達、
人が創り上げてゆくもの……、神も……精霊の加護も……、
もう要らない筈です……、例えこの身は消えても……、私は
二つの世界の大地と一体となり、あなた方をこれからも見守って
いますよ……
 
(……ルビス様……)
 
どうか……、後は頼みましたよ……、ジャミル……、
ホーリードラゴン……、世界を……守って下さい……
 
ルビスはジャミルに頬笑む。そして……、静かにその姿が消えていく……。
 
〔いくよ、ジャミル……!!ルビス様からの……、聖なる力……、
受け取って……!!〕
 
「……絶対に……皆の元へ……戻って見せるっ……!!」
 
ジャミルの身体が輝きだし……、その姿は再び光の鎧を纏いし
姿に代わる……。
 
「何だっ!?……しばし奴の姿が消えたと思ったら……、
そ、その姿は……!?」
 
「ルビス様が自分の命と引き換えに……チビに命を与え……、
そして俺への力もチビに託してくれた……、俺……、もう弱音は
吐かないよ……、……ごめんな、皆……、チビ……、ルビス様……」
 
俯いていたジャミルは再び顔を上げると、もう一度ダークドラゴンを睨んだ。
 
「今更……最後の掛けか、面白い……、だが、貴様は
もう我に勝つ事は不可能だといっておろう……」
 
「……」
 
ジャミルは静かに王者の剣を構え、高く掲げた……。
 
 
そして、奇跡はチビに必死に呼び掛け続けるファラとリィトの元にも……。
 
「きゅぴ……?」
 
「あっ……!?チ、チビちゃん!?ちょっとあんた!!チビちゃんが……、
チビちゃんが……!!め、目をあけたよっ!!ねえっ!!」
 
ファラが興奮し、リィトの肩をげしげし、ばしばし強く叩いた。
 
「痛いよ!ちょっと!叩かないでくれる!?たく、もうー!!」
 
「ぴ、ファラ……、リィト……、心配掛けてごめんきゅぴ……、
有難う……」
 
「何言ってんだい!!気にしなくていいんだよ、そんなの!!