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zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 チビ、いなくなる

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それから。

闇の国の使者との戦いから数日が経過した。全てが終わって、
いつか皆と再び会う約束を交わし、アルベルトも故郷へ帰って
行った。アリアハンの町の民も皆、何事も無かったかの様に落ち着きを
取り戻していた。そして、今日も早朝からずしすしと、地響きをたて、
近所のおばさんがジャミルの家にやって来る。
 
「ちょいと!ジャミルちゃん、チビちゃんはいるかい?
美味しいお菓子を買って来たんだけど、一緒にお茶でも、
どうかなと思ってねえ!」
 
「……わりいな、おばさん、チビは今朝からいないよ、近所の
おっさんと……、リィトと、子供達と一緒に畑に野菜の収穫に
行ってんだよ……」
 
「あらっ!悔しいねえーっ!まーた先を越されちまったかい!
やれやれ、明日こそは……」
 
「……はあ」
 
近所のおばはんはすごすごと家に戻って行くが歩く足音は、
どしんどしんである。
 
「くすっ、それにしても……、チビちゃんたら、すっかり町の
人気者になっちゃったわね……」
 
アイシャがジャミルを見ながらニコニコと笑った。
 
「ああ、皆、チビの事、受け入れてくれて可愛がって
くれるからさ、本当、嬉しいよ……」
 
「野菜嫌いのチビちゃんが、自分から野菜の収穫にお手伝いに
行くようになるなんて、随分成長したね、前は私達に甘えて
べったりだったけど、この頃は自分からどんどん遊びに出掛ける
様にもなったし……、本当に大人になってるのね……」
 
「そうだな、それにしても……、やっぱ平和って、なんか暇だなあ……、
……アルも故郷に帰ったしな……、あっ!!やべっ!!」
 
ジャミルがブツブツ言いながら、腕を振り回すが側に
置いてあった花瓶にぶつかり、おっ倒した……。
 
「もう、ドジねえ、……アルは元々、実家のお姉さんに修行の為、
お家を追い出されてアリアハンに来てたのよね……、また、
会えるのかなあ……」
 
ジャミルが破壊した花瓶を片付けながらアイシャが呟く……。
 
「さあ?どうだろな?」
 
「あのね……、ジャミル……」
 
「ん?」
 
アイシャがジャミルの顔をじっと見つめた……。
 
「わ、私の村にも……、その内……、遊びに来ない……?
む、村の皆と……、おじいちゃんに……、会って欲しいの……」
 
「あ、ああ……、い、行くよ……」
 
どもりながら顔を赤くし……、ジャミルが返事を返す……。
 
「はいはーい!アイシャ、今日の夕ご飯は肉じゃがにするよっ!
イモの皮むき、手伝ってくれる?いっぱいあるからさ!」
 
突然、二人の間にファラが割って入って来た……。
 
「おーい……」
 
「あっ、はーい!じゃあ、ジャミル……、又、後でね!」
 
アイシャはファラと台所に姿を消す……。
 
「……くっしょーっ!ファラの野郎めえ……」
 
「うわ、完全に嫁と姑だねえ……」
 
「ダウド、何だよ、いつ来たんだよ……」
 
「よっ!」
 
窓の外からダウドが顔を出し、ジャミルに手を振った。
 
「ダウドーーっ!……聞こえたよーっ……、誰が姑だってえー!?」
 
ファラがお玉を持ったまま、急に戻って来る……。
 
「わ、わわわ!冗談だよ、冗談っ!!」
 
「全く、怪しい変質者じゃないんだから……、んなとこいないで、
ちゃんとドアから入ってきな……」
 
そう言いながら、ファラは再び台所に戻って行った。
 
「んじゃあ、きちんと玄関からお邪魔しまーす!♪おほほほー!」
 
「……ハア……」
 
 
「んでさ、ジャミル、あの話……、聞いた?」
 
「何をだよ、雑貨屋のじいさんが仲間集めて糞バンド組んだ話か?
バンド名は確か……、ザ・死にぞこない糞爺、三途の川……、
だったっけか?」
 
ジャミルとダウドはリビングルームでお菓子をボリボリ摘みながら
話をする。
 
「……違うよお、ギアガの大穴が……ついに閉じちゃったって言う
噂で町中もちきりなんだよお」
 
「知ってる……、……恐らく、ルビス様がいなくなった事で、
世界のバランスが崩れたのかもな……」
 
「……時空の扉の管理人さんが言ってた事って、この事……、
だったのかなあ……」
 
「かもな、……何となく、ルビス様が消える時をもう、感じ取って
たのかもな……」
 
「……」
 
二人とも、話は真面目にしているが、お菓子を食べる手は
止めないのであった。
 
 
「きゅぴーっ、ただいまあーっ!」
 
 
「お、チビが帰って来たな……」
 
「あはっ、チビちゃんだあーっ!」
 
二人は急いで玄関に出向き、チビを迎える。
 
「きゅぴっ、お野菜、いっぱい取れたよーっ!この人参さんね、
スープに入れると美味しいんだってー!!ミネストローネって言う
スープだって!!」
 
チビは喜んで、真っ赤な人参を二人に見せた。
 
「全く、何で僕がこんな……、バカドラゴンに付き合うと
碌な事がないよ……」
 
顔を真っ黒にし、後ろからリィトも姿を現す。
 
「リィトもご苦労さん!」
 
「あはっ、顔真っ黒だよお!」
 
「……うるさいよ、ほっといてくれる……?」
 
両手に大根を持ったまま、リィトが不貞腐れる。
 
「なーに、なーに?あっ、チビちゃん、リィトもお帰りー!」
 
「うわあ、大収穫ね、チビちゃん!」
 
ファラとアイシャもいそいそと台所から出て、チビとリィトを迎えた。
 
「きゅぴ、ファラー、この人参さんで美味しいミネストローネ
作ってー!」
 
「あらっ、これは凄いわー!真っ赤だよ、ほら見て、アイシャ!」
 
「本当ね!チビちゃんて、お野菜の収穫の達人ね!」
 
「きゅっぴ!」
 
アイシャとファラに褒められ、チビが嬉しそうにちょこちょこ
尻尾を振って2人にお愛想、スリスリした。
 
「あの、僕の……大根は……?」
 
「うん、あんたのも中々活きがいいと思うよ、頑張ったね!」
 
「あ、はは……、って、何で僕が大根如き……、冗談じゃない……!」
 
本当は嬉しいくせに、相変わらずツンデレ全開のリィトであった。
 
「じゃあ早速、美味しいミネストローネをね……、あら……?」
 
「……?」
 
ファラがジャミルとダウドに近づき、二人の口元をじろじろ見る……。
 
「あんたら……、口元、鏡で見てみ、クッキーのカスだらけだよ……」
 
「え?えええ、そ、そんな事ないよね、ジャミル……」
 
「あ、ああ……」
 
「ふーん、で、何袋食ったの……?」
 
「二袋あったの全部……、あ……、どうも駄目だね……、オイラ
正直でさあ……」
 
「……馬鹿っ!!」
 
ファラは急いでリビングルームに行き…、残骸を確認する。
 
「全くあんたらは……!!夕飯前にーっ!!食った分、腹に溜めとくなーっ!!
走って全部燃焼させてこーいっ!!じゃないと夕飯抜きーーっ!!」
 
「……ひええええーっ!!」
 
ファラに纏めて怒鳴られ、……バカ二人は足並み揃え、
外に走って行った……。
 
「きゅっぴ!ジャミルとダウ、マラソンよーいどんだあ!オリンピック、
出るのかなあ?ドラマのい○てんのお兄さんみたいに走るの?」
 
「……出られるわけないだろ、たく、もう……」
 
リィトが呆れた様にチビを見た。