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zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 チビ、いなくなる

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「きゅぴ?」
 
……こんな風にして……、ジャミルもチビも、皆も……、何でもない
幸せいっぱいの毎日を送っていたのであった……。
 
 
そして、夜中……。
 
「ふああ、……ションベン……」
 
ジャミルは目を擦りながら用を足しに1階へ降りて行き、
ふと、気配を感じ、台所の前で立ち止まる。
 
「?誰かいるのか……?」
 
台所に入ると……、チビがいて、椅子に座っていた……。
 
「何してんの?お前……」
 
「えへへ、チビ……、何だかお腹がペコで……」
 
「呆れた奴だなあ、腹が減って目が覚めたのか……、
しょうがねえなあ、少しお茶にするか……」
 
「きゅぴ……」
 
ジャミルはチビにホットミルクを淹れてやり、自分は冷蔵庫から
勝手にコーラを出し、コップに注いで飲んだ。
 
「つまみは……、松前漬けか……、まあいいや、食えよ」
 
「ジャミル、ありがとーっ!」
 
……漬物とミルクではどうにも合わない気がするが、それでも
チビは嬉しそうにゴクゴクミルクを飲み、松前漬けを齧った。
 
「……あのね、ジャミル……」
 
「ん?」
 
「……チビ……、アリアハンの皆……、大好き……、皆がチビと
仲良くしてくれて……、チビ、本当に幸せだよお……」
 
「そうだな、俺もお前がいつも笑ってくれてるとさ、本当、嬉しいよ」
 
「えへへ、……でもね……、時々……幸せすぎて……怖くなるの……」
 
「チビ?何だよ、ペースケみてえな事言うなあ……」
 
「……チビと、あのダークドラゴンは……、本当はチビと一緒……、
同じなんだよね……、なのに……、チビだけこんなに幸せで……、
チビ、卑怯だよお……」
 
「チビ……、何も考えるなよ……、ルビス様も言ってくれたろう?
……お前はお前らしくでいいんだ、幸せになれってさ……」
 
「きゅぴ~……、ジャミル、ありがとう……」
 
チビはジャミルの傍まで来て、肩の上にちょんと乗り、
スリスリ甘える。
 
「さあ、もう寝ようや、お前、明日もそこら中からスカウト
来てるからな、忙しいぞお、……大変だなあ、人気者め!」
 
ジャミルはチビの鼻をちょんと突っつく。
 
「うん……、それじゃ、チビ、もう寝るね、おやすみなさい……」
 
「ああ、お休み……」
 
チビはアイシャの寝ている部屋へと戻って行った。ジャミルはその姿を
嬉しそうにそっと見送る。
 
「……さてと、俺は何しに起きたんだっけか…、……べ、便所だった!!」
 
 
翌朝……。
 
「……さてと、朝ごはんの支度……、あ……!!」
 
台所に立ち寄ったファラは……、松前漬けの食いカスと、
出しっぱなしの散らかったコップを見て激怒する……。
 
「まーた、ジャミルだね……!ジャミルーっ!あんた、まーた夜中に
つまみ食いしたねっ!出てきなーーっ!!今日こそとっちめてやるからーーっ!!」
 
「……きゅぴ~……、ん、チビ……、幸せだよお……」
 
……摘み食いの黒幕はまだすやすや夢の中なのであった……。


チビの夢

次の日も、チビは町の皆と出掛けて行き、今日は焼き芋パーティに
参加させて貰った様だった。帰宅したチビは嬉しそうに今日の出来事を
尻尾ふりふり、一生懸命ジャミル達に話して聞かせるのである。
 
「楽しかったよおー!チビ、こーんな大きなおいも、いっぱい
食べちゃったー!」
 
「そうだったの、良かったね、チビちゃん!」
 
ファラが嬉しそうにチビと会話を交わす。
 
「だからね、チビ、おならでる!ちょっとごめんきゅぴ!」
 
ぷっきゅぴ~……、ぶっ!
 
「あははー、やーだ、チビちゃんてばー!」
 
「もう、チビちゃんたらー!」
 
ファラとアイシャ、女の子達は、嬉しそうに笑うが……。
 
(……これが俺だったら……、物凄い剣幕で怒るくせによ……)
 
「仕方ないんだよお、ジャミルとチビちゃんじゃ可愛さが
違うんだよ、わかる?」
 
ダウドがジャミルに向かって指をちっちちっち振る。
 
「……うるせーなっ、オメーはっ!てか、ちゃっかり夕飯に
混ざってんじゃねえよ、人の心も読むなよっ、早く帰れよ!!」
 
「いーじゃん、別にいー!ふんだ、処で明日はチビちゃん、何処に行くの?」
 
「……明日は、ガキ共とデパートの屋上でヒーローショーだとさ、
アルカイザーがやってくる……、だとよ、くっだらねえ……、
フェイスマスク取ったらどうせ中身はおっさんが出てくんだろ……」
 
広告をぴらぴらさせてジャミルがテーブルに頬杖をついた。
 
「こらっ、夢を壊すような事言うんじゃないよっ、チビちゃんの前で!」
 
「そうよ……、楽しみにしてるんだから……」
 
「へーへー、んじゃ、明日に備えて、もう寝ろよ、チビ」
 
「きゅっぴ、はあーい!」
 
「じゃあ、私、チビちゃんを寝かせてくるね」
 
「ああ、頼むよ、アイシャ……」
 
 
そして、先にチビも眠り、夜は更けてゆく……。
 
「……ジャミル、ちょっといい?」
 
アイシャがジャミルの部屋のドアをノックした。
 
「アイシャか?いいぞ、入れよ」
 
「うん、あのね、ちょっと外に来てくれる?」
 
「ああ、いいけど……」
 
何となく……、ジャミルは色々期待してみてワクワクする……。
 
「で、何だい?」
 
「……うん、私もね……、一旦、村に戻ろうと思うの……、
おじいちゃん達も心配してるだろうし……」
 
「そっか、そうだよな……、でも、チビが淋しがるぞ……」
 
「一旦里帰りしたら、きっと又戻ってくるわ、ちょっと時間掛るかも
知れないけれど……」
 
「そうか……、まあ、チビも最近色んな奴らと一緒に居るから
友達も増えたし、行動範囲が広くなったしな、大丈夫だろ……」
 
「そうね、私も淋しいけど……、ジャミル……、チビちゃんの事
お願いね……」
 
「ああ、任せとけよ、……けど、なるべく早く戻ってこいよ……、
俺が耐えらんねえからさ……」
 
「バカねえ、もう……」
 
満天の星空の下……、二人は身体を抱きしめ合い、唇を重ね合わせた……。
 
 
 
 
「……ぴきゅ、ここ、どこ……?チビ……、お布団で寝てたのに……、
知らない所、歩いてる……、不思議な塔の中……?」
 
小さき者よ……
 
「だあれ?誰の声……?誰がチビを呼んでいるの……?」
 
……お前は本当にそれでいいのか……?今が楽しければ
それで良いと言うのか……?此処で今のまま……、人間達と、
のほほんと暮らし……、それが本当にお前の幸せなのか……?
 
「きゅぴ……?」
 
お前もいずれは成竜になる……、人間は短命だ……、必ずお前より
先に別れの時が訪れるのだ……
 
「いやだよ……!そんな事ないよお!……ジャミル達とチビは
ずっとずっと、一緒にいるって、……もう離れないって約束したもん……!!」
 
逃げていては駄目だ……、竜としての寿命、この世に産まれた
宿命をもう一度良く考えるが良い……
 
「きゅぴ……」
 
さあ、今日も朝が来るぞ……、目覚めるが良い、行け、人間達の
いる場所へ……
 
 
 
「え~、……アイシャも帰っちゃうのお~……、何か淋しいよお~……」