サブエピソード集・続勇者、始めます。
サブエピ編 続勇者、始めます
チビと……不思議な女の子
……でさ、今後の……、竜の涙の事だけどさ……
チビちゃんには……、まだ黙ってた方がいいわ……
うん、まだ、早すぎるもんね……、本当の……親の事は……
……そうだね、僕らがこれからもチビを守ってあげないと……
「きゅぴ……、みんな……、なんのおはなししてるのかなあ~……」
「あっ、チビちゃん、起きたんだ?早いわね!」
アイシャが急いで寝ぼけ眼のチビを抱っこする。
「ジャミル~、アル~、ダウ~、アイシャ~、あそんでほしい
きゅぴ~……」
チビはパタパタ、皆の側を飛んで回り、スリスリスリスリ……。
「ん?今さ、ちょっとさ、皆で大事な会議してんだよ、
終わったらな」
「……かいぎ?おやつのかいぎきゅぴ?」
「あのな、……とにかく、終わったらだよ、それまで一人で
遊んでてくれや……」
「ぴきゅ……、わかった……」
チビは休憩室を出ると淋しそうに、船室まで戻って行った。
「……ぴきゅ~、ひとりはつまんないよお~、はやくだいじな
おはなしおわって……」
……くすくす……
「……だ、だあれ……?」
「こんにちは、小さなドラゴンさん、あなた、私が見えるんだ?」
「みえるよお~、でも、おねえちゃん、だあれ???」
チビは不思議そうに……、突然船に現れた女の子を見て首を傾げた。
「でも、どうして、きゅうにここにきたの?……だまって
おふねにはいってきちゃだめだよお~……、ジャミルがおこって
おならブーするきゅぴ……、おこったときのジャミルのおならは
すごくくさいよ……」
「ふふ、私はね……、風なんだよ……」
「かぜ?ぴゅーってふく、おかぜ???」
どうにも分からないと言う様にチビがまた首を傾げた。
「うん、私……、もうすぐ新しい命に生まれ変わるの……、
生まれ変わったらね、記憶を全て忘れちゃうから……、本当は
いけない事なんだけど……、だから、それまでに……、どうしても
会いたいなと思って……、最後に……、会いに来たのよ……」
「……きゅぴ~?」
「ねえ、小さなドラゴンさん、お願いがあるの……、私の事は……
誰にも喋らないでいて欲しいの、お願い……」
「うん、おねえちゃん……、わるいひとじゃないね、とってもやさしい
においがするきゅぴ……」
「有難う、小さなドラゴンさん……」
女の子はそう言うと……、何故かその場から姿を消した……。
「きゅぴ……?」
そして……、女の子が訪れた場所は……。
「zzzz!ぐうー!!ふんがー!!」
「で、この世界のドラゴンのいる場所だけど……、ジャミル?
聞いてる?おーい!」
「……う、うわっ!ちゃんと聞いてるよ!そんなにスリッパ頭に
近づけんじゃねえっての!アホベルトめっ!!」
「早く、今日の会議終わらせて、チビちゃんと遊んであげましょうよ!
……あんまり長い時間一人にしたら可哀想だわ!」
「……そうだよおお!!」
……ジャミルお兄ちゃん、みんな……、ちゃんといる……、
元気なんだね……、ちゃんと知ってるよ……、皆が……、バラモスを
倒してくれた事……、……もう、お兄ちゃんと……、みんなとお話
出来ないけど……、でも……
そこまで言って、女の子の瞼から涙が一滴、零れた……。
……言葉では伝える事、出来ないけど、風に乗せて……、私の……、
心からのありがとうの気持ち、……最後に伝えたいの……
「……」
「ジャミル、……どうかしたの?」
アイシャが不思議そうな顔でジャミルの顔を見た。
「今、何か……、異様に……、懐かしい風が吹いた様な気が
したんだけどなあ……」
「風?風が懐かしいの……?又、不思議な事言う……、ん?
そう言われれば、何となくオイラの側にも……、何かほんの少し
だったけどさあ、優しい風が一瞬吹いた様な……」
「僕もだよ、……でも、どうしてだろう……」
「本当ね……、あれ?どうしてなのかな、私、何だか涙が
出てきたの、あれ?あれ……?」
「小さなドラゴンさん、本当に有難うね、これ、……はい……」
「きゅぴ……?」
女の子は四葉のクローバーをチビに差し出す……。
「これを持っていると、幸せになれるって言われてるわ、
あなたの大切な、大好きな人達と一緒に持っていて欲しいの、
……どうか、いつまでも幸せでいて下さいね……」
「おねえちゃん、ありがとうきゅぴ!……でも、もういっちゃうの……?
いやだよお……」
「……私は……、今日の事、必ず忘れてしまうけれど……、でも……」
「きゅぴ……」
女の子がそっと、チビの頬に触れた。
「あなたのほんの心の片隅に……、時々でも残しておいて
貰えたら……、嬉しいな……」
「うん、……チビ、おねえちゃんのこと、わすれないよ……」
……うん、ありがとう……
「きゅぴ……」
そっと四葉のクローバーを握りしめたチビに……、再び優しい風が吹いた。
僕の物語のはじまり
……暗い雨の降りしきるその日。誰もいない山中の奥へと……、
小さなドラゴンが歩いていた。産まれた時から、誰にも愛される事を
知らず……、ただ、ドラゴンは歩き続ける。一体、自分は何処へ
向かうのか……、分からないままで……。
……やがて、雨は止み、雲の切れ間から光が差し始める……。
「……光が……憎い……、この明るさも……、全部闇に染まればいい、
ああ、そうしたら……、今の僕の醜い姿も何も……全部見えなくなる、
消えろ、光は……、消えろ……、消えてしまえ、目障りな光め……」
憎い記憶が頭を駆け巡り、ドラゴンを苦しめる。……とても優しい人間に
拾われた時の忌まわしい記憶を……。
「さあ、お食べ、沢山食べて……大きくおなり、そして……」
そしてドラゴンは別の人間の元へ……、見世物小屋へと売り飛ばされる。
怖い人間はドラゴンを毎日狂った様に鞭で叩く、まるで馬車馬の様に……。
襤褸雑巾の様に扱い、毎日毎日傷つけ痛めつけられる……。
……一日の余興が終われば手足を鎖で縛られ、檻にぶち込まれた……。
「……アンタ、どうだったい?今日は……」
「フン、まるでやる気がねえんだか……、困るんだな、こんなんじゃよ、
おまんま代にもなりゃしねえよ……」
……声が、又、聞こえるよ……、人間達の声だ……、僕を又
虐めようとしてる……、バカにしている……
「低俗な奴だからな、ドラゴンの癖に大人しいし、牙を剥いて
襲い掛かってくる勇気もあんめ、もうちょっと様子見だあな、
……もっと拷問の量を増やしてみるか……」
「そうだよ、アンタ!あたしらは散々あいつを可愛がってやったんだ!
今までが甘すぎたんだよ!冗談じゃないよっ!!もっときつい拷問を
しなきゃ、芸なんか真面に覚えやしないよっ!!」
……イヤダ、イヤダヨ……、モウ……、クルシイヨ……、
コワイヨ……、コロサレ……タク、ナイ……
チビと……不思議な女の子
……でさ、今後の……、竜の涙の事だけどさ……
チビちゃんには……、まだ黙ってた方がいいわ……
うん、まだ、早すぎるもんね……、本当の……親の事は……
……そうだね、僕らがこれからもチビを守ってあげないと……
「きゅぴ……、みんな……、なんのおはなししてるのかなあ~……」
「あっ、チビちゃん、起きたんだ?早いわね!」
アイシャが急いで寝ぼけ眼のチビを抱っこする。
「ジャミル~、アル~、ダウ~、アイシャ~、あそんでほしい
きゅぴ~……」
チビはパタパタ、皆の側を飛んで回り、スリスリスリスリ……。
「ん?今さ、ちょっとさ、皆で大事な会議してんだよ、
終わったらな」
「……かいぎ?おやつのかいぎきゅぴ?」
「あのな、……とにかく、終わったらだよ、それまで一人で
遊んでてくれや……」
「ぴきゅ……、わかった……」
チビは休憩室を出ると淋しそうに、船室まで戻って行った。
「……ぴきゅ~、ひとりはつまんないよお~、はやくだいじな
おはなしおわって……」
……くすくす……
「……だ、だあれ……?」
「こんにちは、小さなドラゴンさん、あなた、私が見えるんだ?」
「みえるよお~、でも、おねえちゃん、だあれ???」
チビは不思議そうに……、突然船に現れた女の子を見て首を傾げた。
「でも、どうして、きゅうにここにきたの?……だまって
おふねにはいってきちゃだめだよお~……、ジャミルがおこって
おならブーするきゅぴ……、おこったときのジャミルのおならは
すごくくさいよ……」
「ふふ、私はね……、風なんだよ……」
「かぜ?ぴゅーってふく、おかぜ???」
どうにも分からないと言う様にチビがまた首を傾げた。
「うん、私……、もうすぐ新しい命に生まれ変わるの……、
生まれ変わったらね、記憶を全て忘れちゃうから……、本当は
いけない事なんだけど……、だから、それまでに……、どうしても
会いたいなと思って……、最後に……、会いに来たのよ……」
「……きゅぴ~?」
「ねえ、小さなドラゴンさん、お願いがあるの……、私の事は……
誰にも喋らないでいて欲しいの、お願い……」
「うん、おねえちゃん……、わるいひとじゃないね、とってもやさしい
においがするきゅぴ……」
「有難う、小さなドラゴンさん……」
女の子はそう言うと……、何故かその場から姿を消した……。
「きゅぴ……?」
そして……、女の子が訪れた場所は……。
「zzzz!ぐうー!!ふんがー!!」
「で、この世界のドラゴンのいる場所だけど……、ジャミル?
聞いてる?おーい!」
「……う、うわっ!ちゃんと聞いてるよ!そんなにスリッパ頭に
近づけんじゃねえっての!アホベルトめっ!!」
「早く、今日の会議終わらせて、チビちゃんと遊んであげましょうよ!
……あんまり長い時間一人にしたら可哀想だわ!」
「……そうだよおお!!」
……ジャミルお兄ちゃん、みんな……、ちゃんといる……、
元気なんだね……、ちゃんと知ってるよ……、皆が……、バラモスを
倒してくれた事……、……もう、お兄ちゃんと……、みんなとお話
出来ないけど……、でも……
そこまで言って、女の子の瞼から涙が一滴、零れた……。
……言葉では伝える事、出来ないけど、風に乗せて……、私の……、
心からのありがとうの気持ち、……最後に伝えたいの……
「……」
「ジャミル、……どうかしたの?」
アイシャが不思議そうな顔でジャミルの顔を見た。
「今、何か……、異様に……、懐かしい風が吹いた様な気が
したんだけどなあ……」
「風?風が懐かしいの……?又、不思議な事言う……、ん?
そう言われれば、何となくオイラの側にも……、何かほんの少し
だったけどさあ、優しい風が一瞬吹いた様な……」
「僕もだよ、……でも、どうしてだろう……」
「本当ね……、あれ?どうしてなのかな、私、何だか涙が
出てきたの、あれ?あれ……?」
「小さなドラゴンさん、本当に有難うね、これ、……はい……」
「きゅぴ……?」
女の子は四葉のクローバーをチビに差し出す……。
「これを持っていると、幸せになれるって言われてるわ、
あなたの大切な、大好きな人達と一緒に持っていて欲しいの、
……どうか、いつまでも幸せでいて下さいね……」
「おねえちゃん、ありがとうきゅぴ!……でも、もういっちゃうの……?
いやだよお……」
「……私は……、今日の事、必ず忘れてしまうけれど……、でも……」
「きゅぴ……」
女の子がそっと、チビの頬に触れた。
「あなたのほんの心の片隅に……、時々でも残しておいて
貰えたら……、嬉しいな……」
「うん、……チビ、おねえちゃんのこと、わすれないよ……」
……うん、ありがとう……
「きゅぴ……」
そっと四葉のクローバーを握りしめたチビに……、再び優しい風が吹いた。
僕の物語のはじまり
……暗い雨の降りしきるその日。誰もいない山中の奥へと……、
小さなドラゴンが歩いていた。産まれた時から、誰にも愛される事を
知らず……、ただ、ドラゴンは歩き続ける。一体、自分は何処へ
向かうのか……、分からないままで……。
……やがて、雨は止み、雲の切れ間から光が差し始める……。
「……光が……憎い……、この明るさも……、全部闇に染まればいい、
ああ、そうしたら……、今の僕の醜い姿も何も……全部見えなくなる、
消えろ、光は……、消えろ……、消えてしまえ、目障りな光め……」
憎い記憶が頭を駆け巡り、ドラゴンを苦しめる。……とても優しい人間に
拾われた時の忌まわしい記憶を……。
「さあ、お食べ、沢山食べて……大きくおなり、そして……」
そしてドラゴンは別の人間の元へ……、見世物小屋へと売り飛ばされる。
怖い人間はドラゴンを毎日狂った様に鞭で叩く、まるで馬車馬の様に……。
襤褸雑巾の様に扱い、毎日毎日傷つけ痛めつけられる……。
……一日の余興が終われば手足を鎖で縛られ、檻にぶち込まれた……。
「……アンタ、どうだったい?今日は……」
「フン、まるでやる気がねえんだか……、困るんだな、こんなんじゃよ、
おまんま代にもなりゃしねえよ……」
……声が、又、聞こえるよ……、人間達の声だ……、僕を又
虐めようとしてる……、バカにしている……
「低俗な奴だからな、ドラゴンの癖に大人しいし、牙を剥いて
襲い掛かってくる勇気もあんめ、もうちょっと様子見だあな、
……もっと拷問の量を増やしてみるか……」
「そうだよ、アンタ!あたしらは散々あいつを可愛がってやったんだ!
今までが甘すぎたんだよ!冗談じゃないよっ!!もっときつい拷問を
しなきゃ、芸なんか真面に覚えやしないよっ!!」
……イヤダ、イヤダヨ……、モウ……、クルシイヨ……、
コワイヨ……、コロサレ……タク、ナイ……
作品名:サブエピソード集・続勇者、始めます。 作家名:流れ者