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サブエピソード集・続勇者、始めます。

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ドラゴンの心に……、今まで無かった何かが芽生え始める……。
……憎しみ、怒り、悲しみ……、そして……。
 
ドラゴンは初めて人間を殺した。元の顔の原型も留めない程、
ズタズタに皮膚を切り裂いた。動かなくなった死体を更に爪で
引き裂き、地面に何度も何度も叩き付けた……。
 
肉を食い千切り、……血だらけになるまで何度も何度も噛みちぎる……。
残った汚い骨を更に貪りつくし……。
 
けれど、それが……、ドラゴンにとっての生まれて初めての
喜びと快感であった。自分を戒めた人間、彼らを甚振りつけ、
ただじわじわと苦しめる、その感覚がドラゴンの本能、獣としての
本来の感情を高ぶらせていく……。
 
ドラゴンは炎を吐き、見世物小屋を燃やし、今まで自分を苦しめていた
すべての悲しみの元凶を排除し、自由を手にする……。
 
「……僕は今、とても幸せだ……、憎い奴を殺す事が……、
僕にとっての幸せ……、けれどどうして、今まで分らなかったの
だろう、こんな簡単な事を……」
 
目の前の、目障りな物を……、すべて全部消してしまう事を……。
 
……そして聞こえる……、闇からの呼び声、ドラゴンを呼ぶ声……。
 
「来るがよい、我の元へ……、我は闇の大魔王ゾーマ、この世の人間を
すべて滅ぼし、闇へと返し者……、哀れなドラゴンよ、お前の中に眠りし
本当の邪悪な力……、我が引きずり出してやろうぞ……」
 
「僕に……更なる力があるというのか……?この僕の中に……まだ……」
 
……やがて主は倒される。異世界から来た4人の聖なる力を
得し者により……、闇の大地、アレフガルドは再び光を取り戻す……。
 
 
けれど、ドラゴンは微かに感じる闇の声に導かれ、新たな闇の力を
手に入れようとする……。
 
「……もう、ゾーマはいない、ならば僕自身が新たな闇の国の
帝王になろう……、……これから産まれし新たな闇の力を持ちし
ドラゴンよ、僕に力を貸すんだ……、聞こえるかい、この僕の声が……、
ふ、ふふふ……」
 
 
……そして、地竜の洞窟……
 
「……ナニモノダ……?オマエハ……」
 
「君は地竜だね?初めまして、こんにちは……、長い封印から
お目覚めの処、失礼するよ……」
 
「ニンゲンノスガタヲシテイルヨウダガ……、オマエハニンゲンデハ
ナイノカ……?」
 
「色々と事情があってね、今はこの姿の方が行動しやすいからさ……」
 
「ナンデモヨイガ……イッタイナンノヨウナノダ……?」
 
「この、ドラゴンの卵を預かって欲しいんだよ、暫くの間ね……」
 
「タマゴ……ダト……?イッタイナゼ、ジツノオヤデモナイワレガ……、
バカバカシイ……」
 
「この子の将来の教育の為、是非とも……、君の力をお借りしたい、
同じドラゴンとしての良美でね……、フフ……」
 
「……オマエノイッテイルコトハイマイチリカイデキヌワ……!!」
 
「君はこの卵を大人しく守っていればいいのさ、簡単だろう!?」
その内卵は孵る、そうしたら僕も又迎えに来る、それじゃあ……」
 
「……ニゲタカ……、ドウニモアヤシイヤツダ、ナニヲタクランデ
オルノダ……!!」
 
 
……これで、下準備は整った、後は……
 
 
「おい、兄ちゃん、本当にその情報は間違いねえんだろうな……!?」
 
「……本当だよ、長い間、ゾーマによって封印されていたんだ、
其処の洞窟に、目覚めたばかりの地竜もいる筈だよ、君達密猟者に
とって、絶好のカモだろう?フ、フフ……」
 
「ふーむ……」
 
「……リーダー、どうします…?地竜ともなれば半端じゃねえ
お宝ですが……、それだけ危険も伴う相手ですね……」
 
「兄ちゃん、アンタを信じてこれだけ払わさせて貰おう、……但し、
俺達も命がけだ、情報がデマだったらお前も命がないと思え……」
 
「よしなに……、では……、僕は逃げも隠れもしませんので……、
ですが僕は危険は好みませんので、洞窟の外でお待ちしております、
是非、その目で地竜の姿をお確かめになったら良い……」
 
「よし、お前らも来い、これから地竜の洞窟へ向かうぞ……」
 
「リーダー……」
 
「フフフ、フ、フフフ……」
 
 
……そして、卵は知る筈だった。人間の残酷さ、卑劣さを……、
すべて吸収する筈であった……。
 
 
「……ドラゴンさん……、ごめんなさい……、ごめんなさい……、私の……、
私の所為で……」
 
「コレデ……ヨカッタノダ……モウ……、ネラワレルノモ……
リヨウサレルノモ……、タクサンダ……コノママ……シズカニ……、
ネムラセテ……クレ……」
 
 
……例え自分が傷つこうとも、卵を守り通した地竜の優しさ、愛情……、
そして洞窟に訪れた真っ直ぐな人間達の心……、それらが闇を遮り、
卵の中で消え掛かっていた、もう一つの光、チビを誕生させた……。
 
……ぬくもりを知るドラゴン、愛を知らない孤独なドラゴン……、
この2匹のドラゴン達を巡り……、全ての物語は始まるのである……。
 
 
「……チビちゃんっ、もう寝ないと駄目よっ!皆まで甲板で揃って
何してるのよっ!」
 
「んー?気持ちいいから、夜風に当ってた、な?チビ!」
 
「きゅぴ!」
 
「風に当りながらの読書も中々、おつな物だね……」
 
「気持ちよくってええ、……死にそう……、アイシャもおいでよお……」
 
「アルとダウドまでっ!!もう~っ!!いい加減にしなさいったら!!」
 
 
……全て、奪い尽くしてあげるよ、……何もかもね……、
今のうちを楽しんでおくがいいさ、……フ、フフフ……
 
いずれはこの夜の闇が……、再び永遠になる日が来るのだから……


不思議な村で…… 1

……それは、チビが産まれる半年ほど前の時間の話。
 
此処、光の戻ったアレフガルドでは彼方此方でゾーマが生前に
封印を掛けた洞窟や塔などがゾーマ亡き後、封印が解かれ次々と
姿を現していた。町や村も例外ではなく、一体何故封印を掛けたのかと
思われる様な小さな村までその姿を見せるのであった。4人は聞いた
情報を頼りに、つい最近、封印が解かれたという、山奥の小さな村まで
やって来ていた。
 
「今日は此処で休みましょ、宿屋はあるかしら?」
 
「幾らなんでも、宿屋ぐらいあると思うが、それにしても小せえ村だな……」
 
「道具屋も見当たらないね……、人もいないんだけど?」
 
「休めるだけでもいいよ、細かい買い物は別の大きい町で
すればいいんだから……」
 
4人は初めての場所を歩いてみるが、宿屋すらも見つかる気配が無い。
 
「駄目っぽいな、誰もいないぞ……、村も人もそのまま
封印されてたんだから、ノアニールの村みたいな感じの筈かと
思ったんだけどな……」
 
「……う~ん、もう少し歩いてみようよ……」
 
と、アルベルトが言ったその時。
 
「あなた達っ!……この場所に一体何の御用ですの!?」
 
「……あ」
 
4人が前を見ると、とても此処の場所には似使わない派手な格好の
女性が仁王立ちしていた。
……頭部にはフードを被り、ローブ、……の下はレオタード装着と、
手には杖を持っている事から魔法使い系の女性と思われたが……。