zokuダチ。セッション3 どんどん増えてく住人さん編
「嘘つきっ!今返事したじゃないかっ!ははっ!」
ピエロは勝手にドアを開けて入って来た。
「……今回は何の用だ?」
「今日はねー、ドナルドのお友達を連れて来たんだよっ!
一緒にドナルドのお部屋に入居するんだよっ、洗濯機ー、
プライドチキンのガーネルおじさんだよっ!」
「どうも……、ガーネル・ヨンダースです……」
白タキシードに、眼鏡で小太りのおじさんは、箱を持ったポーズのまま、
……ススス……と、滑ってジャミルに近づいて来た。
「次から次へと……、たく、よくもまあ……、てか、あんたら
商売敵の犬猿の仲じゃねえのかよ……」
「えっ?何だい、聞こえないよー!?」
「……」
耳にわざとらしく手を当てて、ピエロがハア!?、のポーズを取った。
「まあ、いいや、分ったから……、じゃあな…」
追っ払おうとしたが、ガーネルおじさんはジャミルの正面に正座する。
「うげ……」
「あの、私の話を聞いて貰えませんでしょうか、実は私、大昔の
ある野球の試合でとばっちりを喰らいまして……、川に叩き落とされ
まして……、川から発掘されたのが……年後の……、ぺんらぺんら……」
ガーネルは何故かジャミルに身の上相談を始めた。
「……と言う訳で……、この変なおじさんもマンションに入るから
今後も宜しくね!」
「では……」
ピエロはカーネルを引き連れ、部屋を出て行った。
「そういや、ヤニが切れたわ……、買って来るかな……」
と、ジャミルも立ち上がった処で、又勝手にドアが開いた。
「ジャミルっ!どーこいくのっ!?」
「……アイシャか、まーた、うるせーのが来たな~……」
アイシャが島に来る前は来ない来ないと、毎日唸っていたのに、
来ると実際はこうなる、素直になれないツンデレ男、それがジャミル。
「何よっ!これから、アルとダウドも誘って、一緒に
インテリア屋さんに行こうと思ってたのっ!」
「俺は、タバコを買いに……」
「駄目っ!タバコは身体に悪いんだからっ!吸い過ぎたら
駄目だよっ!!」
「ハア!?聞こえなーい!?」
「……ジャミルのバカっ!」
結局、アイシャがギャーギャーうるさいので、タバコを買いに
行くのを止め、ダウド、アルベルト、アイシャとインテリア屋に
行く事にしたのであった。
「んで、インテリア屋って、何売ってんだよ?」
「うーんとね、ミニチュアみたいなので、小さいんだけど、広げると、
大きくなってー、お部屋の模様替えが出来るのー!」
アイシャが説明してみるが、ジャミルは訳が分からんという
表情をする。
「要するに、……お人形ハウスの実用化みたいな物なんじゃないの?」
「……詳しいな、ダウド、そっちの趣味か……?」
「違うよおおー!想像で言っただけだよお!」
「そんな便利な物なら……、僕は図書館の部屋がいいなあ……、
本に囲まれた生活がしてみたい……」
「……うわ……」
ぽつりと呟いたアルベルトを見て、ジャミルがしかめっ面をする……。
インテリア屋に着いた4人はあれこれ見て回る。が……、
どれも高すぎて……、手が出せそうにないのだが……。
「今の処、一番安いので楽屋スタイルだよお……、それでも
6000円……」
「……このお部屋、可愛いなあ~、でも、買えないわ……、
あ~ん……」
「僕も両親に仕送りして貰っているお金だから、無駄遣いは
出来ないなあ……」
「4月限定品の、お花見スタイルは如何ですか?お部屋にいながら
いつでもお花見が出来ちゃいますよ!」
「ハア……、けど、買えねえって……」
迫りくる案内人のお姉さんを避けながら、何か安いのはない物かと、
ジャミルはあちこち見て回る。
「お?これなんだ?特価品?……500円だと……?」
箱にはシークレットと書いてある……。
「何何!?」
アイシャ達も側に寄ってくる。
「中身は開封までのお楽しみですが、お得ですよ、如何ですか?」
「実験用に買ってみるか、試しにダウドの部屋で広げてみよう……」
「……ちょっ、何でそうなるのさあーーっ!!」
特価品を買って、4人はマンションへ戻り、実験室のダウドの部屋へ。
「んで、箱開けて、広げりゃいいんだな……」
「……やっぱ、オイラの部屋使うんだねえ……、いいよ、もう……」
アイシャはワクワクしながら見守っている。
「よっと!」
……箱から出すと、あっという間に、ダウドの部屋の内装が変わったが……。
「うわ!何だこれ!?」
部屋の内装は、ゴミ屋敷スタイルに変わったのであった。
「さすが特価品だな、けど、……こんなモン500円でも高いぞ、
明らかに詐欺だ……」
「……ぼ、僕は……、とてもじゃないけど、こんな処いられない……、
ゴ、ゴミの臭いで頭が……、帰るよ……」
「私も……、気持ち悪い……」
アルベルトとアイシャは速攻でダウドの部屋からすたこら
逃げて行った。
「んじゃ、俺も戻るわ、じゃ……」
「……内装外していってよおおおーー!!」
数日後、マンション内では、内装ブームが広がり、色んな派手な
部屋にリフォームする住人も多くなっていたのであった。
「月末になれば、募金の零れも入るか、……俺も気分転換でちゃんとした
内装にしてみるかな」
「……良かったね……」
ダウドはジャミルの部屋に顔を出すものの、あれから何となく
機嫌が悪いのであった。
「……ちょっと、ジャミルっ!」
勢いよくドアを開け、物凄い剣幕でエレンがジャミルの
部屋に入って来る。
「な、何だよ……」
「あんた、ここのマンションの担当責任者なんでしょっ!……あの変な
ピエロと新しく入ってきたメタボ眼鏡親父、何とかしなさいよっ!
うるさくてしょうがないのよっ!!」
「……騒動みたいだね、はい、管理人さん、行ってらっしゃ~い」
冷めた顔でダウドがジャミルに手を振った。
「お前な、いい加減、機嫌直せよ……」
「ふん!」
オイラは知らんという顔でダウドが横を向いた。
「はあ、仕方ねえなあ……」
嫌々、ピエロとガーネルの部屋に向かうと、中でピエロとガーネルが
殴り合いをしていた……。
「おい、あんたら、何やってんの……?」
「この部屋の内装はねっ、魔クドナルドスタイルにするんだよっ!!」
「いいえ、洗濯機ー、プライドチキン店スタイルにするんですっ!!」
「……てめーら、もう速攻で別々の部屋に住めーーっ!!」
……やはり、ライバル店同士、相容れない者……、このマンション内には
商品の無い、レプリカ店舗の、魔クドナルド、洗濯機ープライドチキンが
それぞれ、出来上がったのであった……。
作品名:zokuダチ。セッション3 どんどん増えてく住人さん編 作家名:流れ者