zokuダチ。セッション6 トラブルもどんと来い!?編
「……お前も入るか?案外入ってみると癖になるぞ……」
巨大な段ボールからジャミルがぬっと顔を出した。
「バカ言ってないで早く其処から出なよお!代わりの海老煎、
ちゃんと買ってよねっ!」
「あのな、お前の煎餅、俺がちょろっと食った事なんて地球上の
長い長い年月の歴史から比べりゃだな、屁の様なモン……」
「そんな事どうでもいいんだよおーー!早く海老煎っ!!」
やはりダウドには教養は通じない様である。ジャミルはしぶしぶ
段ボールから出ると食ってしまった海老煎を買いに出掛けて行くのであった。
いちごメロンパン探し!
「わあ、いちごメロンパンかあ、おいしそうだねえ!」
「わんっ!」
「それでね、甘くって、サクサクでふんわりで……、ほんっとーに
美味しいんだよっ!!」
「いちごメロンパン、こむぎもたべたい、たべたいよ~っ!ねえ、いろはーっ!」
「でも、こむぎは人間の時ならいいけど、犬の時はパンは絶対に
食べちゃ駄目だよ!」
「わかってるようー!」
廊下で何やら、いろはとはーちゃんが立ち話をしており、それをいろはの
横にいる、ヒトバージョンのこむぎがハッスルしながら聞いている。
「食い物の話だな……、また……」
「あ、ジャミルさん、こんにちは、今、はーちゃんから、とっても美味しい
いちごメロンパンのお話を聞いてたんですよ!」
「わん!あまくてふんわりで、さくさくですっごくおいしいんだって!」
「……メロンパンなのに苺スか……?ヘッ、それはもう、メロンパンじゃ
ないでしょうに……」
「は~?んー、わかんない……」
又、イガラシが通りすがりに一言、嫌味を言い、通り過ぎて行った。
「……マジで可愛げねえな、あの猿は……」
「うう~、こむぎ、お話きいてたらいちごメロンパンますます
食べたくなったよう!」
「……けど、販売時期もあるんじゃね、もうすぐ5月も終盤だぞ……?」
「でも、探してみればもしかしたら……、こむぎ、スーパーに行ってみる?」
「いくワンいくワン!いろはとお出掛け!うれしーわん!」
「はいはい、ふふ……」
「ま、頑張ってくれよ、んじゃ俺はこれで……」
と、ジャミ公が部屋に戻ろうとした時、チビが現れる。
「ぴきゅ!いちごメロンパン、チビも食べたいーっ!!」
「チビ、お前、いつ来たんだよ……」
「さっききゅぴ!びいーっ!!」
チビはジャミルの鼻の穴に又も指を……。
「あてててっ!だからっ、その癖よせっつんだよっ!!」
「わあ、可愛い!このドラゴンさん、ジャミルさんのお友達ですか?
こんにちは!」
「こんにちはー、わたしはこむぎだよー!はじめまして!」
いろはとこむぎがチビをなでなですると、チビが不思議そうな顔をした。
「ぴいー?新しいこんにちはのマンションのおねーさんですか?」
「ああ、お前らは会うの初めてだったっけ、て、ゆうか、前の
シリーズから引き継いで、玉に出番があるんだ、一応此処では、
この島の郵便局員らしい……」
ジャミルもチビの喉をちょいちょいくすぐるとチビも喉を嬉しそうに
ギュルギュル鳴らす。
「はーちゃん、何してるの!中間テストも近いんだから!」
リコが自室からはーちゃんを呼びにやって来た。その後からみらいも来る。
「大丈夫だよ、リコ!はーちゃんは私と違って、余裕なんだから……」
「そうじゃないでしょ、みらい、テストが終わるまでは、私達、
3人で遊びに行ったりするのは控えようって言ったじゃないの!」
「ぷー!私、いちごメロンパンのお話してただけだもーん!
分りましたよー!じゃあ、皆またねー!もしいちごメロンパン
食べたら後でお話聞かせてねー!」
はーちゃんは残念そうに部屋に戻って行った。
「……いちごメロンパン……、たべたいわん……」
「いちごメロンパン、食べたいきゅぴ……」
こむぎはジャミルの顔を見て、目をうるうるする。どうもジャミルは
色々と引っ張り出される運命にあるらしい……。チビもいちごメロンパンを
食べたがっている為、部屋に逃げる事が出来なくなってしまった模様。
「う、……わ、分ったよ、仕方ねえ、俺も行くよ、その代り、
店に無ければ諦めろよ?分ったか?」
「きゅっぴ!」
「わーい!みんなでいこうー!いちごメロンパンたんけんたい、
しゅっぱつだわん!いっちにい、いっちにい、れっつごー
わんだふるーー!」
「……おい……、メロンパン探検隊って……、何だそりゃ……」
脳内お花畑のこむぎに困惑するジャミル。頼むから俺も加えないで
下さい……と、思うのであるが……。
「も、もう~、こむぎってば、……ジャミルさん、忙しいのに
本当にすみません、いつも私達の為に有り難うございます!」
「は、はあ……、いや……、別にいいって、こいつも食いたがってるし、
は、は……」
「きゅぴーきゅー!」
ジャミルに丁寧にお礼を言ういろは。此処まで気を遣われると、流石に何も
言えなくなってしまった……。
「大丈夫だよお、この人いつも暇なんだから……」
「急に出てくんじゃねー!バカダウドーーっ!」
いきなり出て来て暴言を垂れて行くダウドをドタドタジャミルが
追掛けて行った……。して、ジャミル、チビ+こむいろコンビは近所の
スーパーへ足を運ぶ。
「やっぱ、時期的に無理だと思うんだけどなあ~、チビさあ……」
「探してみないと分からないよお!」
「さがすわん、さがすわん!……わんっ!くんくん、こっちかな?
……あっちからおにくのにおいがするわん!あっちからはおさかなー!
スーパーっておいしいにおいがいっぱいだねぇ♡」
「……こむぎっ!またっ!そうじゃないでしょっ!って、此処で
コーフンして犬に戻っちゃめっ!」
「わう~ん♡」
「はあ~……」
……ドラゴン、変な犬っころ娘が普通に徘徊していても、誰も
つっこまない世界、前回の世界よりも本当に自由で平和な優しい
世界である……。
「……ぴ……」
「チビ、どうした?まさか……」
「うんち……」
「……うわあああーーっ!!」
今日はアイシャがいない為、ジャミル自らチビを抱えて、ダッシュで
トイレに駆け込むのであった……。
「……あらら、ジャミルさんも……、大変なんだねえ……、でもでも、
可愛いパートナーだもんね♪」
「わんっ♪」
そして、パン売り場でいちごメロンパンを捜し歩くが……。
「やっぱりないぞ、普通のメロンパンならあるけどな……」
「ぴい~……」
「いろは、いろはー!こむぎね、これがいい!ミルククッキー!」
「……こむぎ、今日はいちごメロンパン探しに来たんでしょうが……」
「たべたいたべたい!こむぎは今、クッキーがたべたいのーっ!
たべたいわん、たべたいわん、クッキーたべたいわん!……かってかって
ええーー!いろはああーー!」
こむぎは床に寝っ転がり、幼児退行我侭炸裂で駄々を捏ねて暴れ出す……。
どうも、いちごメロンパンはいらなくなってしまった模様。
「あ……すみません、ジャミルさん、こむぎがアポ全開状態モード……、
に、なってしまいました……、ですので、私達はクッキーを買って
帰りますね……」
作品名:zokuダチ。セッション6 トラブルもどんと来い!?編 作家名:流れ者