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Tパロ

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信頼を寄せた部下たちに信じてもらえなかった。それを理解した瞬間、セフィロスの心中が曇り傷ついたのを、クラウドは知った。喉が詰まって、目の奥が熱い。幼き日のセフィロスの心情を思い、クラウドは涙を零した。あんなに憎いと思っていた仇敵の過去に同情を寄せるなどあってはならない。どんな理由があったとしてもセフィロスの罪は雪げない。そう分かってはいても、止めることはできなかった。

「何を泣くことがある?」
背後に降る静かな声に、クラウドは振り向きもせず答えた。
「だって……こんなのってないだろ……」
ここにいる誰もが自分本位の望みで動いていたわけではない。セフィロスの部下たちは亡国の少年を、少年は彼らを生かしたかっただけだ。どちらを選ぶかはセフィロスの選択にかかっていた。どちらも死なせたくなかったのは本心だった。それを信じてもらえなかったことがセフィロスをひどく傷つけた。
「あんたが、望んで、こうしたわけじゃないのに」
「だが、結果はそうなった。お前もそうだったろう?救いたかったものに逆に疑われ、害したと断じられた」
「同じじゃない……あんたは大切なものを失くしたじゃないか……」
「そうかな?失くしたのなら、それは私にとって不要なものだったのだろう。あるいは、ふさわしくないと星に断じられたのだろうな」
「そんな……」
いまやクラウドは完全にセフィロスの心に同調していた。ジェノバの見せる都合のいい幻覚などではない非情な過去は、却ってクラウドを慰めた。同じ痛みを抱えていたと知ったほの暗い喜びすらあった。
「お前の涙は心地いいな」
セフィロスの指がクラウドの頬を伝う涙をなぞる。頬にあてた手が耳の後ろへまわり、後頭部を引き寄せる。セフィロスはゆっくりとクラウドの体を腕の中に抱いた。解こうと思えばあっけなく振り払えそうな緩い拘束をクラウドは拒絶しなかった。途方もない悲しみがクラウドの動きを封じている。ずっとこの悲しみを慰めてほしかった。誰かに理解されたかった。そうすればあの時無力だった自分が許されるような気がしていた。セフィロスも同じ思いを抱いていると、クラウドは確信していた。たとえそうでなくとも、彼の傷を拒絶することは自分の傷をそうすることと同義だった。

おそるおそる、クラウドの腕が持ち上がり、セフィロスの背にまわる。
今、この一時だけでいいから、慰められたかった。それがたとえ仇であっても。
作品名:Tパロ 作家名:sue