zokuダチ。セッション9 集え英雄(ヒーロー)編・1
「何でそんな酷い事するのかな、もう……、でも、オイラだって、
やる時はやるんだ……、戦わなくちゃ、はあ、この話はバトルないって
言った癖に……」
……しぶしぶであったが、今の状況を理解し、ダウドが頷いた。
「よしっ、行くぞっ、俺に付いて来いっ!!離れんなよ、ダウドっ!!」
「……ひいいいいーっ!」
2階、野原家ルーム、再び。
「……私達、これからどうなるのかしら、何でこんな事に……」
ひまわりを抱き締め、ぽつりとみさえが呟いた。
「たいい……」
「母ちゃん、大丈夫だゾ、プリキュアのお姉さんたちが悪いヤツ
絶対にやっつけてくれるよ、だから、大丈夫だゾ……」
「ボー、……ぜった、い、だい、じょ、う、ぶ……」
みさえを安心させる様にしんのすけもボーちゃんもみさえの側に
寄りそう。
「しんちゃん……、そうね、恐いのは皆一緒だものね、ごめんね、
本当はママがしんちゃん達を安心させなくちゃいけないのに……、
……弱音なんか吐いたりして駄目なママだね、本当に……、
しっかりしなくちゃね……」
「……母ちゃん……」
「たいー……」
「ボウ~……」
「クゥゥ~ン……」
みさえも改めて子供達をそっと抱き締めるのであった。
「ねえ、スネークさん、……私達にも何かお手伝い出来る事は
ないかしら?……他の皆さんはどうしているのかしら……」
「ないねえ……、アンタらは何も出来ないなりに此処で大人しく
してりゃいいのさ……、それが今の出来る仕事だ……、他の奴らの足を
引っ張らない、な……」
口に葉巻を銜えて放さないまま、スネークが即答で答えた。
「それは分かってますけど、……そんな言い方……」
「くそっ、……オレにも何か出来る事がありゃあなあ……!!
……このまんまじゃ会社にも行けねえよ……」
「父ちゃん、ただでさえ少ないお給料が減っちゃうね……、
……オラ達の明日からの生活どうなるの?」
「やいあいー!(万年係長しっかりしろー!)」
「しんのすけ、やかましいぞ……、子供はんな事、心配しなくて
いいんだ、黙ってろ、畜生……」
ひろしも悔しそうに拳をぐっと握りしめた……。
……強い絆で結ばれし家族達よ……
「あなた、今、何か言った?」
「え?お、オラぁ別に何も……」
「おかしいわね、確かに今、変な声が聞こえた様な気がしたけど、
気の所為かしら」
みさえはそう言いながら何気なく天井を見上げてみる。すると……。
……どうか、君達にも力を貸して欲しい……
「な、何だっ!」
「おお~?」
ひろしもしんのすけも声が聴こえた方向を剥くと、微かに天井から
うっすらと謎の光が洩れていた。
……私の名はアルカール……、私の声は届いているか……?
光の中からうっすらと声がし、野原ファミリーへと呼び掛ける。
「ああ、聞こえてるけど、あんた何者なんだい……?」
……此処から遥かに遠いリージョンに住むヒーローだ……、
君達の中に悪と戦える熱い心があると確信し、こうして君達に
呼び掛けている、平和に暮らしている筈の君達をこんな争いに
巻き込んでしまい本当に申し訳なく思っている、……だが今は
立ち止まっている時ではないのだよ……、頼む、どうか君達にも
力を貸して欲しい……
「……お、俺達でも……、戦えるってのかい?」
「足が臭いだけで、万年係長なだけのサラリーマンの父ちゃんでも?」
「……だ~か~ら……、うるせーんだよ、おめ~はあ~……」
「いやあ~ん、あ、オラ感じちゃう……、ぐりぐり~ぐりぐり~……」
……うむ、ジョブの力を君達にも分け与えよう……
「こ、これはっ!!」
「私もだわっ!」
「おおー!父ちゃんと母ちゃんの格好がっ!」
「ボオー!」
「たいいー!」
アルカールから力を分け与えてもらったひろしとのみさえの姿が
変化した。ひろしは足臭モンク、みさえはケツデカ黒魔道師である。
「……最初の部分が何か癪に障るが……、わざわざ名称付けんなっての……」
「……誰がケツデカなのよっ!」
「母ちゃんしかいないでしょ……」
〔げんこつ〕
「と、とにかく、これで俺らもどうにか皆の役に立ちそうだ、ヒーローさん、
感謝するよ!」
……守るばかりでは平和は得られない、……どうか皆で力を併せて
悪の組織、ブラッククロスからこの島の平和を守ってほしい……
そして、天井からの導きの声と光は消えた。
「ま、取りあえず、これで俺も此処から漸く出られるか、正直、退屈で
仕方がなかったのさ……」
スネークが漸く口から葉巻を放し、ニヤリと笑って野原ファミリーの方を見る。
「へっ、おっさんも宜しくフォロー頼むぜ……、よしっ!いくぞーーっ!
野原ファミリー参戦!ファイヤーー!突撃ィィィーー!!」
「ブ・ラジャー!オラも戦うっ!秘儀!ケツだけ歩きっ!!」
「……おバカ!いい、しんちゃん、ひまわり、ボーちゃん、シロ、
パパとママからぜーーったいに離れちゃ駄目よっ、いいわねっ!」
「おおおーーっ!!」
「やいやいーー!!」
「ボオオオーー!!」
「アンっ!!」
こうして、野原一家も戦いへと参戦するのであったが……。……けれど
やはり、ピエロとガーネルがいないのには誰も気が付かないのであった。
そして、すっころび男、ラグナの消息は……。
作品名:zokuダチ。セッション9 集え英雄(ヒーロー)編・1 作家名:流れ者