zokuダチ。セッション9 集え英雄(ヒーロー)編・1
そして此処。……行方不明のラグナは現在、マンションの地下階を
フラフラと往復していた。実は、此処のマンションは誰も知らない
地下室があったらしく、管理人のジャミルでさえ、その存在を知らず。
……ラグナは今回、謎の地下階へ入ってしまった住人、第一号に
なっていた……。
「はー、まいったねえ、まーた足が縺れてすっ転がっちまった……、
その間にスネークのオッサンはどっか行っちまうしよ、案外
冷たいよなァ、……おや、あれは……」
すっ転び男ラグナ。地下階をふらふらと彷徨う内、いつの間にか、
謎の地下室の入り口に立っていた。
「此処、ドコだい?何の部屋?もしかして、特ダネの匂い?」
ラグナは恐れ知らず、地下室へと入っていった。……部屋の中は、
薄汚れた机が。その上には古い書物、書類など、沢山乗っかっている。
「ほうほう、これは何だい?ふんふん、古い本か、埃だらけだなあ……」
ラグナは埃だらけの本を一冊手に取り、口でふうっと吹いて埃を払う。
急いで中身を確認すると……。
「んと、これは……?所々汚れと翳みだらけだな、?辛うじて、
読める箇所……、……の、……島の危機、現れた英雄、多くの仲間
率いて……、やがて訪れる試練を超える?よっくわかんねえなァ、
取りあえずこの本、貰っておくか……」
本を小脇に抱え、地下室を出ようとすると……、直後、ラグナの頭に……、
いきなり何かが突き刺さったのだった……。
「……んーぎゃあああっ!……がくっ……」
気を失ったラグナに近寄る、何者かの人物の影。その人物はラグナから
本を引ったくると、小声でボソボソと呟いた。
「……困った方ですね、では、記憶を消しておきましょうか……、
この場所は……、本来なら絶対に誰も入って来れない場所なんですが、
まああ、此処で暮らす住人さんはある程度、何処かクセがあって可笑しく、
非常識で個性がなければならないのですけれどね」
「……ぴ、ぴよぴよ、ぴよぴよ……、……グチの刑だあ……」
「暫く倒れていて下さい、……意識が戻る頃には今見た事も忘れている
事でしょう……、では……」
謎の人物は去る。ラグナが目を覚した時には2階の階段の踊り場付近に
倒れていた。
「……うきゅう~……、俺はだれ?此処は何処?……う~……、
俺、一体何してるの?……あらららら?」
ラグナは直ぐに起き上がり、再び階段を爺さんの様にのっこら
のっこら、ひいひい登り始めた。……尚、さっき地下で見た事の
記憶は全て消されている。
「……うう、腰がいてえよお~、あ!……ま、また転がっちまった……、
誰か起こしてくれよう~……」
……その頃、町で一人、怪人達と戦っているレッド……。
「くそっ、こいつら、倒しても倒してもっ……!頭にくるぜっ!
……こうなったら一気にっ……!!」
と、レッドがアルカイザーへのチェンジポーズを決めた処に……。
「おいっ、突貫小僧っ!いつまでこんな処でもたもたしてんだっ!」
「っ、ヒューズっ、皆もっ!来てくれたのは助かるけど、ちょ、
ちょ、……これじゃ変身出来ねえっ!!」
「……」
「はあーい、ボウヤ!うふふ……、本当にいつも元気ね……」
「大型危険物体……、存在場所確認!此処ではありません!!」
「みゅっみゅっ!みゅみゅみゅみゅ!!」
IRPOメンバーのヒューズ、無口な妖魔のサイレンス、紅一点の
ドール、メカのラビット、モンスターのコットンがレッドの応援と
サポートに駈けつけた。
「ラビットが、今回この島に送り込まれたブラッククロス幹部が
新たな基地に選び、制圧に向かった場所を突き止めたの、何時までも
此処で雑魚と戦っていても無駄よ、キリがないのよ、……其処を……」
「キイイイーっ!!」
「……叩かないとっ!!」
ドールがブラックイーグルで怪人集団の脳天を連続で打ち抜いた。
「たくっ、テメエがとっとと戻って来ねえから余計な仕事増やす事に
なるんだっ!……見ろ、この増殖した流れねえウンコの数をよ……!
どうすんだっ!!」
「だ、だってさあ、仕方なかったんだよ……、で、その、ブラッククロス
幹部が向ったって場所ってのは……、何処なんだよっ!!」
「島の中央に立っているマンションだっ!俺らが聴き込みで
入ったとこだよっ!」
「……えっ、えええっ!?それじゃ、ジャミル達がっ!あぶねえっ、
は、早く行こうっ!だけど、何で又、マンションなんか狙うんだよ……」
「奴らの考えなんか分らねえっての、オラ、これ持てっ!
……マンションまで一気に突っ走るぞっ!」
怒りながらヒューズがレッドにアグニMBXを放り投げる。
「……本組織のDr・クライン達の行方は現時点で分かりません、
唯、新たな幹部がこの島の制圧に向けて動き出している事だけは
確かです……」
ラビットが促す様にレッドの顔を見た。
(……今はアルカイザーには変身出来ないけど……、マンションの皆を
助けないとっ!!)
「いくぜっ、……うおおおおおおーっ!!」
「あっ、このアホッ!一人で先走んなーーっ!!」
「フフ、本当に元気なボウヤね……」
「ボー……」
「!?サイレンス、お前、今何か……」
「……」
「たく、本当に訳分らん奴だなあ、こいつも……」
集えヒーロー・8 戦うファミリー
そして漸く、マンション内へと入ったジャミルは……。
「ぎゃあああーー!!たーーすーーけーーてえええーー!!」
「……キイイイイーーっ!!キーキー!!キキキキキ!!」
解放廊下で、大量の怪人と鬼ごっこをするダウドの姿を
目撃したのであった。
「たく、……元の世界の状態に戻っても、やっぱりやる事は変わんねえな、
あいつ……」
「いーーーやあああーー!?あ、あれれ?」
「……ふう……」
「あう……、ジャミルううーーっ!!」
ジャミルがウコムの鉾で敵を一撃で消滅させ、ダウドの危機を救ったのだった。
「ジャミルっ、き、来てくれたんだっ、……あううう~!!」
「泣いてる暇ないぜ、ダウド!早く他の皆を助けに行かねーとっ!
……モタモタしてるとっ!!」
「キイイイーーっ!!」
「うわあ!また出たよおおおーーっ!!」
「……んなろおーーっ!」
再びジャミルがウコムの鉾で怪人達を一掃した。
「こういう事だよ、このゴミを大量発生させてる超本人が
此処に入って来たらしいぜ、そいつを倒さない限り、永遠に
こいつらと鬼ごっこの繰り返しだ……」
「……えええええ!?」
「お前も、協力してくれるな、ダウド、マンション内の何処かで
戦ってるアイシャ達を助けて合流するんだ!戦えないメンバーも
助けねーと!」
「分ったよお、ジャミル……、でもさ、このマンション……、
なんかどんどん中がおかしくなってきてるの分るんだよね、
皆といきなり遠くに引き離された様な……、他の誰とも
会えなくなってるんだもん、迷路みたいだよお……、はあ、偶々
こうやってジャミルと会えたのも、オイラは運が良かったんだねえ……」
「……敵さんが、俺達みんなをバラバラにする為につまんねー
小細工の仕掛けでもしたんだろ……」
作品名:zokuダチ。セッション9 集え英雄(ヒーロー)編・1 作家名:流れ者